605 ウォシュレットこわれちゃった

自宅のウォシュレットが壊れてしまった。
といってもケツ穴を洗う水を止めるスイッチが効かなくなっただけだが。
「だけだが」といっても最初はびっくりした。
止まんないんだもん。水が。何回「止」押しても。
ずーっと洗い続けてんの。俺のケツ穴。

あいにく家には俺しかいなくて(誰かいたからってどうしようもないんだけど)。
あー俺はこのままケツ穴を洗い続けるんだなぁ、とか思っちゃったよ。
ウォシュレットなんか無かったあの頃を懐かしんだりして。
一生ケツを洗い続ける人生と一生ケツを洗えない人生、どっちを選ぶ?とか自問したりして。
でもいつまでもケツを洗い続けるわけにもいかないから、とりあえずコンセントを抜いてウォシュレット地獄から脱出。
脱出には成功したがウォシュレットこわれちゃった。ぼくのだいすきなウォシュレットこわしちゃった。どーしよー。とってもだいじにしてたのに。
ドとレとミの音が出ない。元から出ないよ。水が止まんないんだよケツ洗う水が。
これじゃケツ穴がどんどんきれいになっちゃうよ。ひといちばいケツ穴がきれいな男になっちゃうよ。
いいか。きれいになるならいいか。
いや。
「水清ければ魚棲まず」と言うではないか。
魚なんか飼わないよ、ケツの穴で。シュールな創作落語かよ。

どうすりゃいいんだよ。毎回コンセント抜くのもなんかエレガントじゃないし。
ケツ洗いながらエレガントってのもなんだけどさ。

そこで俺は考えた。
トイレって、座るとなんかウィ〜ンって何かが起動するよね?
ってことはトイレ側で、「誰かが座ったぞ」ってことを認識してるわけだ。たぶんなんかこう、センサーみたいなもんで。
てことは立った時も「誰だかわかんないけど立ったぞ」ってわかるはずだよね?「それが誰かはわからないけどとにかく立ったぞ」って。ね?ね?

ということでチャレンジ。
用を足して、ケツ穴を洗って、センサーが見失わないようにゆっくり腰を浮かす。
この時大事なのは、噴射し続ける水がマトをはずさないコースで立っていくこと。そうしないと水が、ケツの洗わなくていいところを洗ってくれたり、そもそもケツではない、ブラブラしてる「アレ」の裏側に噴射したりするからだ。
「アレ」の裏側を噴射するのはひょっとしたら経験したことのない快感をもたらしてくれるかもしれないが、今回はウォシュレットをエレガントに止めるのが課題なので、「アレの裏噴射問題」の解明は後の研究に委ねる。

ゆっくり。
ゆっくり。
マトをそれないように。
ゆっくり。
便座から100ミリ、150ミリ、200ミリ、
ウィ〜ン、ィン、ン、ン・・・ン・・・ピチョン・・・。
止まった。
成功だ!
前のめりのその体勢のままケツを拭く。
なんてエレガント。

実験成功後、やはりウォシュレット故障問題に悩んでいた妻にこの結果を報告。残された課題は、前のめりの姿勢のままケツを拭かなければならないことであると伝える。
それを聴いた妻はふつーに言った。ふつーに。

「そのまま座って拭けばいいじゃん。一回止まったんだからもう出ないでしょ」

・・・



妻のほうが私よりいくらかエレガントであった。

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