日々棒組み642 「まちんしゃい!」と熊のような男は言った(?)

これを書き始めた今、日曜日の朝4時45分である。
今日は出かける予定もなく、こんな時間に起きる必要は全くないのだが、歳のせいか、明け方に一度目がさめると二度と眠れなくなることが多くなった。
二度と起きれなくなるよりはいいけど。

これが平日の朝なんかだと、ベッドの中で目覚まし時計が鳴るのをじっと待つような状態になって、「なんでこんなことしてんだ?」と考えてしまう。
予定のない休日なら眠くなったら寝ればいいのでとっとと起きることにしている。
というわけでこんな時間にブログの更新をすることもあるというわけだ。

最近歳のせいか(なんでも歳のせいだ)、ふと昔のことを思い出すことが多くなった。
大学時代、柔道部のいっこ上の先輩に、身長が180センチで、体重が100キロくらいある、アイダさんという、怖いけど面白いけどやっぱり怖い人がいて、時々遊んでもらった。
アイダさんはそれまでに会ったことがないタイプの人で(それ以降もあんな人いなかったけど)、いっしょに街中を歩いていると突然、当時体重が75、6キロあった私の両脇腹をがっしとつかみ、高々と持ち上げて(子どもにやる「高い高〜い」の状態)、
「どうだ。この半径1キロ以内で俺が一番力持ちだろ?」
などという人だった。
問われた私は、まったく根拠はないが、
「はい」
と答えるしかなかった。
半径1キロといえば直径2キロということだが、持ち上げられて地上2.5メートルから見回しても、その圏内の力持ち分布状態などわかるわけもない。どんな強豪がひそんでいるか私などには知るすべはないのだ。

ここでたまたま通りかかった髭面の熊のような男が
「いーっやまっちんしゃい、そげなコツいうばってんおいどんと力くらべがこつしてみんしゃい!」
「おう!」
応じるアイダ先輩。すでに私は路上に投げ出されている。「イテテ」とか言ってる。
がっしと組み合う髭クマとアイダ先輩。
力くらべにルールなんかない。おのれのプライドに従うのみ。
たちまち両者の顔面に太い血管が浮き出すが、ともに一歩も引かずこう着状態。
先に動いたのは柔道の心得があるアイダ先輩。左足を半歩踏み出し右へひねりを加え、髭クマの体勢を崩しにかかる。
「なんの!」
髭クマもさるもので、アイダ先輩の動きに抗うどころかその方向に押し込んでゆく。
ふたつの巨体はからみ合い、回転しながら、不幸にもそこで店を広げていた八百屋に転がりこむ。
飛び散るナスきゅうり、ぶちぶち潰されてゆく今が旬のトマト。
叫び逃げまどう八百屋の女房。つるしたカゴの小銭がぶちまかれ、欲は深いが気は小さい店主は頭を抱えてうろたえるばかり。
アイダ先輩と髭クマは、両者の力の相乗効果でその巨体からは信じられないスピードで回転しながら店内を移動し続ける。粉々に粉砕され、果汁やら青汁やらを撒き散らす野菜果物。ヘルシーな匂いに包まれ、店内はさながら巨大なジューサーだ。
そんな、ヘルシーな阿鼻叫喚図を見て私は心から思うのだった。
アイダさん!勝ってくれ!


なんつって。
髭クマ登場からあとは作り話だけどさ。ってわかるか。
アイダ先輩といえば俺にとってはスピニングトーホールドなんだけどその話はまた今度。

ほぼ書き終わった今が6時だからこれ書くのに1時間15分かかったんだな。けっこうかかってんな。
あ、途中で朝飯食ったんだっけ。あはは。
ちょっと眠くなってきたからもう一回寝ようかな。日曜日大好き。

blinkkisi

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