映画『ブレードランナー2049』がダメだった3つの個人的理由

公開から2ヶ月以上経って、ネタバレの解説やら感想やらもいくつか読みました。
「ああそうなんだ。と思うものも、「?」なものもありましたが、劇場で観た時に感じたことも含めて書いておこうと思います(劇場鑑賞時のネタバレなし感想はこちら→酸性雨の降りしきる丸の内で映画『ブレードランナー2049』を観たら)。

ということなので、内容に触れます。ご注意ください。ただ、そもそも私がよくわかっていないのでたいしたことないとは思います。

ブレードランナー2049

 

理由1:開始から30分くらいのところで入眠

「お前、これが理由のすべてだろ」と言われそうですね。ネタバレ解説を読むと、このあたりで、地中から発見されたレプリカントの死体に出産した形跡があるとか、レプリカントは出産しないはずだとか、その事実は主人公Kにとっては大きな意味を持つとか、ストーリー上大切なことが起こっていたようです。
ここをすっ飛ばしたらわかんなくなって当然ですね。ええ。悪いのは私なんです。

理由2:たとえ表面的であれ、わかりやすいスジが無かった

実は、前作を鑑賞した時も寝てしまった私なのですが、前回(大学生時代)は、乱れた生活がたたって極度の睡眠不足状態での鑑賞。対して今回は万全の状態での鑑賞。それでも寝ちゃったところになんらかの問題があるのでは?と思うのです。
「難解」といわれることもある前作『ブレードランナー』ですが、「脱走した四人のレプリカントを見つけて殺す」という分かりやすいスジは最後まで通っているので、難しいことを考えなくても観ていられます。
そもそも『ブレードランナー』は、探偵が事件を追っているうちに意外な事実が次々に明らかになっていって、やがて事件の全貌が現れる、っていうハードボイルドにありがちな展開を踏襲しているので、多少気を抜いても物語自体はつながるというか、観客が補完できるようになってると思うんです。
捜査中に知り合った大物(ギャングのボスだったり、ケタはずれの大金持ちだったり)の女といい仲になりそうになるのもハードボイルドにはありがちですよね(こういうのは読者や観客に「自分だったらどうする?」って思わせて感情移入させるポイントだったりしますが)。デッカードはしっぽりいい仲になっちゃいますが。っていうかそれが物語の終着点になってますね。
そういう、定番といえるようなスジがあったからこそ、劇場公開が終わってから「『ブレードランナー』すごい」みたいな評判が広まった時に、特にSFファンでなくても鑑賞できて、その広がりがあったからこそ伝説的な映画になったんだと思います。
こういうシンプルなスジが『ブレードランナー2049』には無かったように思います。
長いんだから。
ちょっぴり寝ちゃう人もいるだろう。我慢できずに一回くらいトイレに行く人もいるだろう。
そういう観客に優しくなかったと私は思います。
主人公の行動の、少なくとも表面上の動機だけはわかりやすくしてあればなぁ、と思いました。


理由3:なんかこういうの『ギャラクティカ』で観た

これほんと「個人的たまたま理由」にもほどがあるんですが、SFドラマ『ギャラクティカ』をBlu-rayでずっと観ていて、『ブレードランナー2049』を観に行く直前に全シリーズ鑑賞し終わったんですね。
(→秩序の無い不安と恍惚。『BATTLESTAR GALACTICA』視聴完了!

4シーズン続いたドラマと、長いとはいえ1本の映画と並べるのはフェアじゃないとは思いますが、『ギャラクティカ』にも人間そっくりの人類の敵、サイロンという連中が出てきて、それがもうあらゆる面でどういう存在かが語られていくんです。4シーズンかけて。
敵である人間を愛したサイロン。自分がサイロンだと気づいていないサイロン。人間とセックスするサイロン。人間との間にできた子供を産むサイロン。死んでも体は再生する存在であるサイロン。ある特定の人物にしか見えないサイロン。自分がサイロンかもしれないとおそれる人間。と思ったらやっぱりサイロンだったサイロン。
で、サイロンとサイロンの間でも子供ができるとういうことが終盤で明らかになって、それが結構大きな意味を持っていたりするんですね。
なんかそういうのを長期間にわたって見続けた直後だったので、『ブレードランナー2049』を観ていても、「なんかギャラクティカで見たよなーこういう感じ」とどうも思っちゃったんですね。
一度そう思い始めるとどこを見てもギャラクティカのサイロンが思い出されて、映画に入り込めなくなっちゃったんですね。
ただ、『ギャラクティカ』のサイロンも『ブレードランナー』の(原作も含めて)レプリカントなしにはあんな掘り下げ方はしなかったんじゃないかと思うので、キャラクターとしていいライバルなんだと思う。いつかは『エイリアンVSプレデター』みたいに『サイロンVSレプリカント』で映画化してほしいと思っているのは私だけではあるまい。結末はサイロンとレプリカントのハイブリッドの誕生ですかね。

じゃあどうすればいいんですか?

そんなこんなで、『ブレードランナー2049』がダメだったのは、ほぼ私の個人的な事情が原因だったことが証明されました。
なので、このまま「個人的とはいえダメ映画」BOXに収納してしまうのは惜しいので、ソフトを購入してリベンジ鑑賞することに決定しました。
ソフトで観れば、眠くなったら寝てもいい、トイレに行きたきゃ行けばいい、何かに気を取られて見逃したシーンは戻してみればいい。と、みっつの「いい」がもれなく付いてきます。これでダメならあきらめます。
『ブレードランナー2049』の肯定的な感想として「映像美」という(便利な)言葉が使われてるのを少なからず目にしました。私も劇場で観ている時に「タルコフスキーみてぇだなぁ」と思う場面がありました。
が。
「タルコフスキーみたい」はしょせん「タルコフスキーみたい」で、タルコフスキー好きの私にはマイナスポイントにしか見えません。「映像美」を高評価の大きな理由としている人には「家を燃やせばタルコフスキーかよ」と言ってやりたいです。言いません。
映像美は映像美でいいんだけど、『ブレードランナー2049』の本当の価値は別のところにあるんじゃないかと思っています。もうちょっとなんだろう、血なまぐさいかもしれません。それを確認するためにもう一度(か二度、もしくはもっと)『ブレードランナー2049』を鑑賞します。

▼値段もいい具合のこれを発注しました。

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