雨が降る日は思い出すんだ。
何を見てもワクワクしてたあのころを。
はい。
21世紀になってからもう17年あまり。もう何を思い出していいんだかもわからなくなってきた今日このごろ。娘の同級生がみんな21世紀生まれだと思うとクラクラしてきます。
でもやつらは知りません。世界が輝いてたあのころを。ざまーみろ。
というわけで今回の輝いてたあのころは、

月刊スターログ日本版NO.49:1982年11月号 定価680円

 

表紙

目次

表紙ねー。これこれ。『E.T.』といえばこれですね。キービジュアルっていうんでしょうか、ミケランジェロのパクリっていうかそういう意味をもたせてるんでしょうね。
巻頭ピンナップ、表のカラーは『STARTREK Ⅱ THE WRATH OF KHAN』より、エンタープライズ号。裏のモノクロは『Raiders of the Lost Ark』のインディ・ジョーンズ。最初のほうのあの袋に砂入れて重さ合わせてひゅってやるとこの写真。失敗するけど。

そのころE.T.の顔は秘密だった

で、思い出したんだけど、映画公開前は「E.T.の姿は秘密です」って時期がしばらくあったんですよね。
この号でも「E.T.(地球外生物)雑学(オモシロ)博物館」っていう特集があるけど映画のE.T.の写真はありません。
特集の頭にこんなこと書いてあります。

65日後が期待されている。なんたって、今年の映画界最大の見もの “E.T.” が公開されるんだもの。カンヌ映画祭の最終日に大喝采を浴び、アメリカで公開されるや、空前の大ヒットとなった “E.T.” 。すでに、本誌やいくつかの雑誌で “E.T.はすごい” という情報が出ているし、 “E.T.” の顔もなんやかんやといって、出ている

いくつかの雑誌では “E.T.” の顔が出てたんですね。今ならネタバレで大炎上でしょうか?つーか世界のどこかで公開されたものを日本ではまだ秘密だよ、っていうのが今では通用しないでしょうね。
この後スターログでも “E.T.” の顔写真は誌上に載せられ、ストーリーもだいたい知らされた上でみんな映画を観ることになったんですね。
“E.T.” の姿形も、ストーリーも全く知らずにあの映画を観たかったなぁ、と思うのは私だけでしょうか?今さらですが。

特集は 、これまでのSF映画に出てきた “E.T.” を、「良いE.T」「悪いE.T」に分けて紹介したり、“E.T.” と遭遇したらどうしたらいいか?などを解説しています。
「良いE.T」としては、『地球の静止する日』のクラートゥとゴート、『THE MAN FROM PLANET X』の卵頭型E.T.などが紹介されていますが、「最も良いE.T」はスーパーマンだそうです。ウルトラセブンの写真も載ってます。セブンがナースにからまれながらもナースの首を絞めてるあの写真。
「悪いE.T」は、『宇宙戦争』、『金星人地球を征服』、『惑星アドベンチャー・スペースモンスター襲来』などから醜いやつら満載。

『E.T.』公開に合わせて、『未知との遭遇』のテレビ放送も控えていることも報じられていますが、スピルバーグのインタビューなんかも載ってます。
そのインタビューによると、父親はSF狂い(そう書いてあるんだって!)だったのに、スティーブンは映画も夜のテレビ番組を観るのも禁じられていたそうです。そんな父親がある夜(スティーブンが6歳か7歳のころ)、流星雨を見に連れて行ってくれたそうで、そこから宇宙、SF、ファンタジーに目覚めたのだとか。
スティーブンは、父親がホームムービーを撮っていた8ミリカメラでストップモーションやらストーリーのある西部劇やらを撮り始め、15歳の時には2時間半のSFスリラー『ファイヤーライト』に手を染める。ある日霊感を感じたスティーブンは、タイプライターの前にかけつけ、24時間ぶっ通しでタイプをたたき、140ページの台本を書き上げる。

「アイデアは頭の中から吹き出してきた、タイプがおっつかないくらいに」

こういう、やむにやまれないというか、作らずにいられない、という経験をしたことがある人はもうそれだけで幸せなんだろうな、と思う。
ただスティーブン少年はそれを形にしただけでなく、

「初日だけで制作費プラス50ドルの水揚げがあったよ」

作り上げただけじゃなく、しっかり儲けてる。さすが。
“才能がある”というのはこういうことを言うんだろう。

特集の最後にはアーシュラ・K・ル・グインによる『スターウォーズ』と『未知との遭遇』の批評が。
楽しく見たけど全体的には批判的、というトリッキーな批評。批判は主に人間の行動に向けられているようだった。そしてこう結ばれる。

「私は家に帰って “デルス・ウザーラ”の三回目でも見ようか。あれは我々が決して見られない世界や時代について、たとえば外国人について、恐怖や愛についての映画だからだ。それは宇宙(世界)は無限で恐ろしくもありまた美しいものであることを教えてくれるからだ」

 

 

そのころ『STARTREKⅡ THE WRATH OF KHAN』は惜しみなく紹介されていた

『E.T.』公開を控えての苦肉の特集の後は中子真治の構成による『スタートレックⅡ カーンの逆襲』特集。ぎゃくしゅーとくしゅー。
当時はまだ日本タイトルが『カーンの怒り』でした。
今度は頑固な雷オヤジが敵か?と思ったものです(嘘です)。
『E.T.』特集とは対照的にもうほとんど見せちゃってます。
解説はスタートレックのテレビシリーズの終了から劇場版としての復活、続編製作の経緯(要するに一作目が商売になった)、新作のストーリー、SFXスタジオから撮影方法まで至れり尽くせり。掲載写真も、映画のシーン、撮影風景、ミニチュアワーク、チェコフの鼻の穴に迫る気色悪いあの虫、顔が半分焼けただれたカーンまで出し惜しみなし。
もう映画を観る必要がないくらい網羅されてる。
カークのアパートの窓外の景色には『タワーリングインフェルノ』で使われた風景が流用されている、なんて豆知識も書いてある。さすが中子真治。

そのころ「ブレードランナーファンクラブ」はいつまで続くのか心配されていた

いつだったか「ブレードランナーファンクラブ」が消滅していたと嘆く読者の声を紹介しましたが、この号では「ブレードランナーファンクラブ」の入会方法が紹介されています。
イリノイ州の住所に8ドル50セント送ると入会できて、ハリソン・フォードの写真、スピナーの免許証、身分証明書(2019年の)、情報誌などが送られてくるそうです。
「“SW”みたいにシリーズになるわけじゃないから、そんなに長続きするファン・クラブとも思えないが、興味のある人は入会してみてはどうかな?」
だって。まあそうだよな。ふとその記事の横を見ると、
「E.T.のようにキャンディを食べてTシャツをもらおう!」の文字。
映画の中でE.T.が食べているキャンディが実在の会社のもので、お菓子についてるシールを5枚集めて送るとE.T.のTシャツがもらえるという商法を始めたというのだ。
そしてその記事にはこんな図版が。

イラストだけどリアルなE.T.のお姿。
特集の頭で「 “E.T.” の顔もなんやかんやといって、出ている」とあった「なんやかんや」がこんな近距離にあったんですね。

というわけで。
“E.T.” の意外な姿が明らかになったところで「オトーは月刊スターログと」第34回はこれでおしまい。第35回までごきげんよう!さようなら!