







「我がキシワタリ遂げしその時は
新しいその世界で心のまま、生きよ。
ただし驕らず、そして、
災厄の雨はまた必ず降ると心得よ」
「エレインお願い、

この子を護って」


「ここからは私の道ゆき」


(行くね。
お母さん…)










「おやおや」

「ついてきたの」
「シャベルホウダゾ
ヨクモオイテッタナ」
「ずいぶん小さくなって
風に飛ばされそうね」

「ナサケネェ、ツカエルトコロヲゼンブアツメテコレダ。
イイカラツレテケ」
「小さなシシよ
この先は天地の理から外れた闘い
その小石のような牙で
私を助けて」












ズズズズズ…







「くぼやん、…」
「え?、あ?」


「信じよう」

「ね?」
「あ、うん」
「…くぼやん、手、ゴツゴツだね」
「あ、ごめん」
「ごめんて…」
そう
信じて

世世の契りにより渉しの儀を開く
願わくは

















(これは 何が 何処で)
グニュル










(見つけたぞ)

(時の沼を這い出たか)
(卑しく穢れた キシワタシめ)

























も、も、も、もう、
許してくれ


なんて、なんて強い風
こんな中では立ってもいられない
こんな、こんな…恐ろしい、世界

世界は変わっちまったんだ
こんな世界…恐ろしい世界で…俺なんか
家族も守れない、俺みたいな価値の無い弱い者が生きていける世界じゃない
ああ
怖い
怖い
もう…
耐えられない

もう俺は…こんな世界…怖くて…
こんな世界で、、、生きてゆけない
明日美…、















「喰らい 啜り 噛み砕け
我が肉を血を骨を
喰らった我が身を己の身と成せ」

「而して我ら一となり
ともに流れに赴かん」






































美郷
美郷が渉しを
遂げた
「もう大丈夫。封印も解けた。
まだこの町にいるお友達を
春加瀬渉くんを見つけて一緒にこの町を出て」
「え?はるかせ?」
「わたる?…春加瀬渉を知ってる?」」
「そう。私は春加瀬渉くんを知っている。ずっと前から。
とてもいい子。勇気があって、優しくて。
さぁ、こちらから外へ。
私の役目もここで終わり」



「「ありがとう…私を四年間も孕んでいてくれて
あなたがつらかったこと、知っている」

「さよなら」

「…くぼやん…」
「え?あっ」


春加瀬渉くんは
思い出に引かれている
だから
…あなたたちも


一緒に

ここから先、へ


「あ、まぶしっ
ねぇここって…あ!」
「これって…。そんな…」

「ガス爆発?じゃないよね、こんなの」
「こんなの…、
大地震か、でなきゃ戦争だよ」
「戦争…」

「春加瀬は思い出に引かれてる、か。
きのう俺が電車で見かけた春加瀬は小学生ごろのままだったんだ。
学校で春加瀬を追いかけてる夢も見たりしたし…」
「あたしも、この町で私たちの思い出って言ったら学校だなって思う」
「うん。でもこんなじゃどこが学校だか…」
「さっき出てきたのって学校の近くのお稲荷さんでしょ?だったら学校ってこっちだよね」

「こっち?」
「こっちでしょ」

「ねぇ、…くぼやん、
なんか涼しくない?涼しいよね?」
「涼しい。急に秋になったみたいだ」
「案外そうかもよ。ほら、あの花」


「え?あの花?え?」
「彼岸花だよね」
「う…うん?ん?だから?」
「くぼやんて成績いいけど案外ものを知らなかったりするよね」
「そうなんだよなぁ」
「認めるんだね。
彼岸花はね、秋の花なのよ。9月の終わりとか10月に咲く」

「へぇ…」





「…あ、
くぼや、くん?
…なんでここにいるの?」
「え?あ、えと、、、」
「春加瀬くん!え!なにそれ?血じゃない。ケガしてんの?
大丈夫?」

「救急キットなら持ってるけど、」



「まりんだよ、三珠まりん」
「ちょっと印象変わっちゃったからね〜、
お久しぶりね、みたままりんちゃんよ。旧姓だけど」
「…みたまま?りん??…誰?」












「きれいに青く晴れたもんだねぇ」

「しのぶの好きな色だ、青」
「ばぁば、」
「うん。ねぇ、ほんとにきれいな空」

「きっと、
いい神様がいるのよ」



Horizon zone KISHIWATARI 38 2026.02.18
©Masakagemaru Terada/oto-ra.com
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