キシワタリ天涯地 24


ズズズズ…

ガゴッ

 

 

 

 

 

ガシャッ!

ガシャッ!

ガシャッ!

 

 

ガシャァァッ!

 

 

 

 

 

バサァッ!

 24

 

 

ザガッッ!

 ガッ!

 

ガッ!ガッ!ガッ!

 
 「あいつが、町に出てしまう。人の世界に」


「オレガクイコロシテヤル」

「それは私の仕事」

「お母さん…今度は…私が」










「おはよう。
この匂い何?署に入ってからずっと匂うんだけど

「あ、おはようございます。
今朝通報があって全裸で歩いていた男を連行したんですが…」


「そいつの匂いだってのか?これ?人間の匂いかこれ」

「ええ、そうなんですけど、発見されたのが外地周縁地帯でして」

 「まさか外地から出てきたっていうんじゃないだろうな?」

「そこはなんとも…。でもなんか様子がおかしくて」

「そりゃおかしいだろうさ」

「そうですけど…私もいろんな不審者を見てきましたけど、何ていうか…」

「なんだよ」
「なんか人間と違うっていうか…」

「人間と違うぅ?」

「おかしいですか?」

「外地がらみ案件だとしたら笑えないけどなぁ…」
「あ」
「ほら、なんか不気味でしょ?」

「っていうか、こいつどこかで…」

 「おいこれ…、」

「はい?」

藤谷じゃねぇか?」

「ふじたに?」

「5年前。
旭小。
通学路で小学生が殺された。
藤谷圭一」

「エーーーーッ!!」

「でも藤谷だとしたら…、
まさか…ずっと外地に潜んでたのか?
5年?」




 


「なんか変な匂いするね、ここ」

「わぁ、なにこれ人間みたいな形だよ、ほら」

「あ、うん」

「死体が入ってたりして」

 「死体かぁ…」

「冗談冗談。ちょっと人の形に見えるってだけ」

「俺さぁ、

 死体見たことあるんだよね」

うちが引っ越す少し前…
ゴミ捨て場にさぁ、裸の女の人が、す、捨てるみたいにさ。
もう、ひと目で死んでるって…
おじいちゃんのお葬式で棺桶に寝かされてるのは見たことあったけど。
…なんか、ぜんぜん違うんだよね、そういうのと。
体の色とか雰囲気みたいのがさ…。
それだけじゃなくて、
なんかに噛まれたような、挟まれたような跡もあったりして…。

なんだかわかんないけど警察呼ばなきゃって焦ったけど携帯とか持ってなくて。
近くの家は空き家なんだか留守なんだか呼んでも誰も出てこなくて。
もう家に帰って自分ちから電話しようかと思ってたら、大人の、背広の男の人が通りかかったから死体のことを言ったんだ。ここに、って。…そしたら、
「ああ。女だ」


結局家から警察に電話して。
急いで戻ったけど警察もなかなか来なくて。
そこでいろいろ考えてた。

こんなことが起こる町のこと。
死体が捨てられてたり、通り魔や、家族同士で殺しあったり、小さな子供が親に殺されたり、そんなことが立て続けに起こる町。
歩いているとあちこちの家の中から怒鳴り声や物が壊れる音が聞こえてくるそんな町。

うちのお父さんもここにいるとみんなおかしくなっていくって、
早く引っ越そうって住むとこ探したりしてたんだよね。
俺は、旭中の柔道部に入るつもりだったから引っ越したくなかったんだけど。
その柔道部ももう人がいなくなっちゃって、行かなくなって。
で。
冬休みに引っ越したんだ。


「…そうなんだ。じゃ、そのあと何が起こったかは知らないんだね」

「うん。噂はいろいろ聞いたけどね」

「ネットとかでも呪われた町とかいろいろ言われてたけどけっこう本当だったんだね」

「俺たちが住んでたのって呪われた町だったんだ」

「今も…呪われたままなのかなぁ…」




(御子が来られる)

(御子が来られる)



(御子が来られる)

(遅れるな 遅れるな)
(御子が来られる)
(御子が来られる)
(御子は)

(飢えていらっしゃる)

つづく

キシワタリ天涯地 24 2019.08.25

Horizon zone KISHIWATARI 24 2019.08.25
©Masakagemaru Terada/oto-ra.com

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