映画『狼たちの午後』“Dog Day Afternoon”を観たら

超有名作ですが初見です。
タイトルから推して、バンバカ銃撃戦があってカーチェイスギュルギュルでドカドカ人が死ぬ映画かと思ってたら全然違いました。
原題は “Dog Day Afternoon”。狼じゃなくて犬でした。「犬の日の午後」。「Dog Day」というのは「真夏」とか「盛夏」という意味だそうです。「ひどく暑い午後」って感じでしょうか。

『狼たちの午後(字幕版)』

実際にあった銀行強盗事件が元になっているそうです。三人組で強盗に行きますが一人帰っちゃいます。コントみたいです。ダウンタウンのコントだったら板尾創路の役回りでしょうか。
仕方なく二人で決行しますが、どうにもグズグズで、人質の銀行員から「ちゃんと計画は立てたのか」だの「金もって早く出てけ」だの言われてしゅんとしちゃいます。そもそもこの銀行に現金はほとんど無かったのでした。
この辺りのグズグズで人質だけでなく、映画を観ている方も強盗に同情的になるようにできてると思いました。

モタモタしてるうちに警官の大集団に取り囲まれてしまいます。
それこそ何百人もすごい装備でやって来ます。マスコミや野次馬も大量にやってきて、すごい人数で銀行を取り囲みます。ちょっと和んでる銀行内と外の温度差すごいです。『ブルースブラザーズ』のクライマックスを思い出します。

温度差といえば強盗二人組もなんだか温度差があります。主犯格のソニー(アル・パチーノ)はよく喋り色々やってますが(そして失敗してますが)、もう一人のサル(ジョン・カザール)はほとんどしゃべらず、危険なムードを漂わせてます。なんか目つき怖いし。デコ広いし。

当時のアメリカの社会情勢が警察や国家権力に批判的だったため、ソニーは野次馬や民衆に英雄視されるようになりますが、強盗の目的を話すと民衆の反応はガラリと変わります。
2025年現在のアメリカが分断されていると言われますが、ずーっと分断されっぱなしだったということがわかります。

バンバカ銃撃戦のアクション映画ではありませんでしたが、緊張感あふれる傑作でした。
『エイリアン2』のアンドロイド・ビショップや『ターミネーター』の刑事役でお馴染みのランス・ヘンリクセンが出ていたのも嬉しいところ。「世の中楽しいことなんかひとつもない」みたいな顔は若い頃からだったんですね。

過去に吹替版がテレビ放送されたことがあり、ソニーは野沢那智、サルは岸田森の吹き替えだったそうです。
Netflix配信のドラマ『マインドハンター』の第1話に『狼たちの午後』が上映されているシーンがあり、吹き替え版ではこの音声が聴けるということなので観てみました。
ごく短いシーンで、野沢那智の声は聴けましたが、岸田森の声は聴けませんでした。そもそもほとんどセリフの無い役でしたしね。ちなみに警察官役の富田耕生が一番喋ってました。

『マインドハンター』

blinkkisi

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