プロレスというと昭和から平成初期までの日本のプロレスしかわからない私。
アメリカンプロレスは、読んでいた雑誌の情報や、来日レスラーに関することを多少知っている程度です。
あと俳優として活躍している元プロレスラーがちょっと気になるくらいでした。
でしたが。
Netflixで配信している『MR.マクマホン 悪のオーナー』、『レスラーという生き方』を観てアメリカンプロレスへの興味がじわじわ湧いて来ました。
『MR.マクマホン』については、噂は聞いていましたが、噂以上の人物だったとわかり、アメリカの小さなプロレス団体を追ったドキュメンタリーの『レスラーという生き方』では、弱小団体で生きてゆくことを選んだベテラン、WWEを目指す若いレスラーなどが紹介されていてとても面白く視聴しました。母娘レスラーの現実の確執をリングに持ち込んだりとか虚実が曖昧でドキドキします。レスラー同士の恋愛沙汰とかも野次馬的に楽しめました。
そしてどちらにも感じられたのは、(過去はともかく)「WWEがプロレス界の絶対の頂点である」という共通の価値観でした。
プロレス団体の頂点がWWEなら、WWEのイベントの頂点が「レッスルマニア」で、この価値観も当然のこととして共有されているようでした。この『WWE “ 壮大なるドラマ ” の裏側』は2025年4月に開催された「WrestleMania 41」に向かっていく関係者の様子を追ったドキュメンタリーです。初めのうちはダスティ・ローデスの息子とか、リック・フレアーの娘、あたりだけに興味を抱いていた私でしたが、他のレスラーも気になるようになりました。
中でも自分の長い髪を三つ編みにして、鞭のように振り回して武器にしているビアンカが印象に残りました。ビアンカはリングコスチュームも自分で作っているそうで、試合前に来たまま修繕したりしてます。縫い針を自分に刺して悲鳴をあげたりしてました。コスチュームを自作するのにこだわりがあるそうで、試合前日も寝ないでコスチュームを作っていてコンディションを崩したりしてます。
本末転倒とはこのことですが、「個性」というのは「異常」から生まれるんだな、と思いました。
吹き替えで鑑賞したのですが、ビアンカが相手に三つ編みを掴まれて振り回されている場面では実況が「ビアンカは三つ編みを武器にしているのでそれを使って攻撃されても文句は言えません」みたいなことを言っていて、「そうなのかぁ」とゆるく納得してしまいました。
ドキュメンタリーのクライマックスは、引退を表明したジョン・シナ(究極のベビーフェイス)のヒール・ターン(ベビーフェイスがヒールに転向すること)からのWrestleMania 41でのタイトルマッチ(相手はダスティ・ローデスの息子コーディ・ローデス)です。
レッスルマニア アクションフィギュアセット ジョン・シナ
WWE アクションフィギュア コーディ・ローデス 10個の関節ポイント&本物そっくり
ジョン・シナのヒール・ターンはファンも業界関係者も誰も想像がつかないようなことだったので、極秘にストーリーが練られます。レスラーも含む当事者数人以外には絶対秘密で綿密な計画が進行し、実行します。
Netflixの配信以外はアメリカンプロレスを知らなかった私にもジョン・シナのヒール・ターンの衝撃は伝わりました。もう「全米大ショック!」みたいな。小さなお子さんはお父さんに抱きついて泣いています。
この企画を進めていた関係者はこの巨大な衝撃に「ドッキリ大成功!!」と大喜びしてます。
表向きこのヒール・ターンを企んだことになっているザ・ロックは去り際に振り返って「してやったり」と笑顔を見せます。もう心に刻まれるような笑顔。さすが大スターだなぁ。

大人のファンはこういうサプライズがあるからWWEから目が離せないんだと思うのですが、小さなお子さんにはどうなんでしょう?これって衆人環視の元でスーパーマンがロイス・レーンを八つ裂きにしちゃうくらいの衝撃だと思うんですね。大丈夫か?お子さんの心。
WWEが頂点に立つ理由がわかった気がします。マクマホン時代のお下品路線よりはいいのかなぁ。
最終のエピソード5ではシナとチャンピオンのコーディ・ローデスとのタイトルマッチ。かつての英雄シナにブーイングの嵐。お子様がシナに向かって「大っ嫌い!」とか言ってます。プロレスファンは幼くてもタフなようです。心配ないみたいですね、お子様も。
タイトルマッチも意外な結末を迎え、観客は唖然としてます。舞台裏でモニターを見ていた幹部たちはそれを見て大満足。ありきたりな予想を裏切ることこそが成功だと思っている様子です。
この幹部たち、試合中のレスラーにああしろこうしろここであの技を出せとかリアルタイムで指示を出していましたが、あれってどうやってレスラーに伝えているんでしょう?レフェリーかなぁ。ちょっとわかりませんでした。
サプライズはどんどんインフレしていきそうですが、ファンに話題を与えるという点では最高に成功していると思いました。これは語りたくなりますよね、この先の推測なんかも含めて。
巨大なものをコントロールしている壮観さを見せてもらいました。
番組は会場の撤収の様子を映しながら終わっていきます。6万人を収容したイベントなので、ほんの一面だけでしょうが、これは良い締め方だと思いました。
タイトルに「“ 壮大なるドラマ ” の裏側」とありますが、もっと奥に果てしなく暗い裏側がありそうな気もしますが、あまり知らない方がいいような気もします。
来年もドキュメンタリー作ってくれないかなぁ。面白かった。



