オープニングもボーッとするな!エンドロールも気を抜くな!映画『おとなのけんか』を観たよ

子供どうし(11歳)のケンカで片方の子が前歯を折るケガをして、その和解を図るふた組の夫婦のやり取りが延々続く映画で、舞台は被害者側の夫婦の部屋だけなんだけど、まぁなんだろこういうの「計算され尽くした」っていうんだろうな。
映画はみんな「計算され尽くして」いるべきなんだろうけど、なんかもういちいち絶妙。セリフ全般(意味的には字幕だけどさ、まぁリズムみたいのは感じる)はもちろん、エレベーターのドアが閉まるタイミングとか電話がかかってくるタイミングとか。絶妙にコントロールされたコメディ。

加害者の両親と被害者の両親という関係と、家に招いた方と招かれた客という関係が入り混じりながらくるくるして面白いったらありゃしない。
よそのうちに行った時にちょいちょい感じる「トイレわかりにくい感」とかもあって、そういうのって国によらないのかなぁと思ってしまった。ジョディ・フォスター演じる被害者側の母親が、相手の父親の方をトイレに案内するときに家の中のものをちょっとずつ直したり片づけながら歩いて行くとことか芸がこまかい。

きっとどの家にもある「自分ちでしか通じないちっちゃな習慣」やら、夫婦のちょっとしたトゲみたいのをチラチラ見せつつ、スピードや温度に差がありながらも四人はエスカレートしていくが(途中から酒とか飲んじゃう)、お互いの伴侶に対する不満やら世界に対する主義主張やら、スケール感がデタラメなことを言い合う合間に、思い出したように子供のケンカの話が織り込まれる。
初対面のふた組のリアルな会話だなと思ったり、いやいやこうはならんだろうと思ったり、なんかもう作り手の思う壺で見入ってしまった。

で、いがみ合ったり妙に理解しあったりしていた四人の話がぐるぐるして、そのサイクルがいがみ合いの頂点に達し、四人の気持ちがバラバラになった瞬間に、なぜかすごくいい雰囲気で映画は終わる。これは不思議。まぁそのあとのエンドロールの絶妙さもあるんだけどね。
これから観る人は、まずはオープニングのバックの映像、そしてエンドロールの映像。これを気を抜かないで目を凝らして観るように。

2011年ドイツ、フランス、ポーランド、スペインの合作映画。監督はロマン・ポランスキー、主演はジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー(主演も何もこの四人しか出てこない。あとは声の出演が数人)。
元はヤスミナ・レザというフランスの劇作家の戯曲だそうです(映画の脚本はレザとポランスキー)。原題の”Carnage”は、「虐殺」という意味だそうです。ユーモアのように思えますが、劇中のジョディ・フォシターのセリフを思うと深い意味があるのかもしれません。同じ出来事でも人によって感じ方というか重さが違うというようなことかなとも思いました。

ちょっぴり偏った映画ばかり観ている私ですが、これは普通の人にも自信を持ってオススメできる映画でした。

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