前回は1998年の映画『がんばっていきまっしょい』の感想をアップしましたが( →まるで子どもな田中麗奈のハードボイルドな人生。映画『がんばっていきまっしょい』を観たら)、主演の田中麗奈は1980年生まれなので、撮影時は16~7歳でしょうか。役と同年齢だったんですね。
さて。この『福田村事件』は2023年公開。『しょい』から25年。麗奈も大人になりました。ボートには乗りますが漕ぎません。船頭さんがいるから。その代わり不倫とかしちゃいます “おとなれな”。
実際に起きた悲惨な事件を基にした映画なので「面白かった」とは言いづらいのですが面白かったです。
実は「福田村事件」についてはこの映画を紹介する雑誌記事を読むまで知りませんでした。その記事や、映画を紹介するラジオ番組で事件の概略を知った上での鑑賞だったので、話の行き着く先が頭をチラついて、始めから緊張しながら観ていました。どこでどうなってそうなっちゃうんだろう?不倫してる場合じゃないぞ船頭さん。
何が起きるか大体わかるホラー映画を観ている時の気持ちの動きに似ていたでしょうか。
「そっちに行っちゃダメだってば!」とか思いながら観てるあの感じ。
内容は全く違いますが。
朝鮮人と被差別部落民とそうではない村人たち。
ある面では均質な村人の心もデコボコした嫉妬心や劣等感があったりします。
それらと大きな社会的状況が合わさって流れ出し、惨劇が起きます。
どんな事件だったかはこちら →Wikipedia福田村事件参照ください。ただし、そこにあるように、記述に問題がある可能性がありますのでご注意ください。
千葉日報のサイトには映画に対する批判的な記事もありますので併せて参照ください →「福田村事件」史実と異なる映画に憤慨 誤解を解くために語り続ける「この現場で起きたこと」
ドキュメンタリー映画の監督として有名な森達也監督が劇映画として撮った理由はこの辺りの「諸説あります」的な部分に鑑みてのことだったのかな、と思いました。
森達也監督は雑誌「Newsweek日本版」で映画に関するコラムを執筆している他、多くの著作もあります。興味のある方は下記リンクご参照ください。