日々棒組み645 お前ちがうよ、そーじゃないだろと思った暑い朝

久しぶりに真夏が帰ってきたような暑い朝。会社へ向かう道で見かけた、細い道を曲がりきれなくて往生しているトラック。荷台には小型のパワーシャベル。
板橋のこの辺りは、妙に立派なお屋敷があるかと思うとすぐ隣には地面に埋まってたんじゃないかと思えるようなオンボ、、、いや経年劣化がいちじるしい家屋が並んでたりする不思議な地域で、道路も、狭い道が入り組み、一方通行と進入禁止と、車がすれ違えないような対面交通路がガシガシぶつかり合い、さらにとてもじゃないけど車が入れないような路地もそこここで口を開けているダンジョンで、迷い込んで身動きとれなくなってる大型車を時たま見かける。

今朝見かけたそのトラックも見事に狭い道にはまり込んでいて、あまりのハマり具合に私には脱出不可能に見えた。ホント、まれに見るハマりっぷり。
とはいえ、当事者はハマりっぷりに感心しているわけにもいかず、必死に脱出を図っている。当たり前だが。
あまり車が通らない道ではあるが、すでに「高齢者送迎中」の日産セレナが手前で停まっている。

トラックは切り返しを繰り返してなんとか切り抜けようと、バックと前進を小刻みに繰り返している。周囲はぶつけたらあっという間にバラバラになってしまいそうなオンボ、、、いやデリケートなコンディションの歴史的建造物。助手であろう一人の男がトラックを降りて必死の形相で誘導している。

バック。
「オラっオラっオラっオラっオラっ、あ゛ーっ!!」(←家にぶつかりそうになってる)
ストップ。

ちょい前進。
すぐストップ。

再びバック。
「オラっオラっオラっオラっオラっ、あ゛ーっ!!」

ってお前さぁ。
そこは「あ゛ーっ!」じゃないだろ「あ゛ーっ!」じゃ。
そこは、
「オラっオラっオラっオラっストップ!」
だろ。
最後の「オラっ」をいっこ外して「ストップ!」だろ。
ね、「あ゛ーっ!」じゃないよ「あ゛ーっ!」じゃ。

そのトラックの行く末が気にはなったが、私も出勤中の忙しい身の上。ちょっぴりの隙間をすり抜けて会社へ向かった。
すり抜けてすぐに振り向いて様子を見たが「脱出不可能」という言葉しか浮かんでこなかった。
その先は会社までまっすぐなのでそのまま歩き続け、50メートルほど進んでからもう一度振り向いた。
トラックは、さっき見たのと全く変わらない角度でオンボロ家屋にはまり込んでいた。


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