行けなかった展覧会の図録、山口晃『前に下がる下を仰ぐ』を観たよ読んだよ

2015年の水戸芸術館 現代美術ギャラリーでの山口晃の個展の図録。
NHKの『日曜美術館』で観ていろいろ仕掛けのある個展でおもしろそうだなーと思って、思っただけで行かなかったんだけど図録は買いました。

いちばんの目的は、『続 無残ノ介』。
劇画風にストーリーのある作品なんだけど、『日曜美術館』では途中までしか見せてくれなかったので続きが気になってました。
特別の鋼を鍛えて作られた妖刀「無残刀」を手にした剣の達人が乱心して警察、軍隊を相手に大暴れ。ライフルの弾をはじき、砲弾を叩き斬る。1対1や3対1の対決もあって(対巨大からくり人形戦もあり!)、普通の漫画にしたら240ページくらいの物語量。やっと結末まで読めました。漫画のコマ割り形式あり、でかい一枚絵ありの『続 無残ノ介』ですが、物語もアイデアとエピソード満載で、娯楽読み物としてとても上質で、これだけでも独立させて大判の出版物にできそうに思いました。

他の作品も思わず時間をかけて見入っちゃうものばかりですが、まぁ絵なので。買って見てください。
文章も、手書きのもの含めてけっこうな量ありますが、読んでるといちいち面白い。「才能」っていうのはあるところにはたくさんあるんだなぁ、と思ってしまいます。
中に、「自由研究(柱華道)」というのがあって、明治時代、日本に電柱が立てられ始めた頃に、電柱や電線をいかに美しく見せるかを華道家が考案したという話がスケッチ付きで書かれていています。読んだ時は「へー、そうなんだ」と思いましたが、これって本当なのかなぁ。だんだん創作じゃないかと思えてきた。
電柱は、特撮怪獣映画などでミニチュアの重要な要素になるため、外を歩いていても電線の具合とかが気になってしまう私ですが、電線の流し方に名前がついてる(長良川とか、ねこやなぎとか)ってこの柱華道の話はすごく興味あるんですけど、調べれば調べるほど山口晃との関わりしか出てこない。それならそれでやっぱり「才能」っていうのはどこかにドカンと固まってんだなぁって思っちゃうんだけどさ。


山口晃  前に下がる 下を仰ぐ
山口 晃

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