石井輝男監督、高倉健主演、1965年の映画です。私が三歳の時の映画ですね。
私が幼稚園に入る前のあのころ、兄が幼稚園に行っている間だけおもちゃをひとりじめして遊んでたころに、網走ではこんなことになってたんですね。
初期高倉健の代名詞みたいな映画として名前だけ知ってましたが、今回初めて鑑賞しました。
90分ほどの映画ですが色々なことが起こります。
入所風景から始まって、所内の出来事、高倉健演じる橘真一の生い立ちから収監されたいきさつ、脱獄、逃走。どんどん悪い方へ転がってっちゃう真一の人生。
それらが、場面場面でちゃんと感情移入できるようになっていてすごいと思いました。
嵐寛寿郎が自分の正体を告げる場面はドキドキしちゃいました。カッコいいんだけど怖い。あの人怖い。
クライマックスは脱獄から逃走になっていきますが、アクションもいろいろ工夫があって面白いのですが、やはりそこに至るまでに橘真一に感情移入しているので、見ていて「危ない!」とか、「そんなことしちゃダメだ!」とか、素朴にハラハラドキドキしました。最後の場面だけ見るとハッピーエンド風だけど、高倉健がたてつづけに貧乏くじをひき続けたっていうかわいそうなお話だよね。この先絶対幸せにはなれないだろうし。
「寡黙で不器用」な高倉健でありながら「お茶目で人なつっこくておろおろする」高倉健でもあって、このころから高倉健は高倉健だったんだなぁ、と思いました。映画によってどの面を強調するかはあるでしょうが、一本の映画でどれかひとつの面だけ見せようとするとそれはもう高倉健が出る意味が無くなっちゃうような気がします。
他に1965年の映画には、『飢餓海峡』、『兵隊やくざ』、『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』などがあります。『気狂いピエロ』、『アルファビル』もこの年ですね。
と思ったら『続網走番外地』、『網走番外地 望郷篇』も1965年でした。健さん働きすぎ。脱獄したくもなるってもんです。
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