身の程知らずにも、でも、俺もこんなノート作りたいなぁと思わずにいられない、ギレルモ・デル・トロの創作ノート。
ノートがすでに作品になってる。すげぇな。
関わっている作品や、その他のアイデアを文字や絵で記しているが、備忘録的なものではなくて、どのページも観賞に値する完成度。絵は下書きから描いているし、多くが着色されている。ページによっては血痕を描きこんだりしてる。つまり演出してる。
これは出版に値するよなぁ。ということで出版され、ありがたいことに日本語版も出してくれました。
デル・トロ映画に出てくるクリーチャーやら衣装やら舞台装置やらがどう発想され変化し、最終形態になったか、あるいは実現しなかったか、が、ノートの文章の翻訳と、ギレルモ・デル・トロ自身の解説インタビューでていねいに明かされる。
原作のヘルボーイが極端な「なで肩」なのを映画でどう処理したというような話も出てくる。映画のロン・バールマンはヘルボーイ以外の何ものでもないと思っていたけれど、考えてみれば肩だけでなく脚とかも原作通りは無理だよなぁ。ツノの断面も原作と変えてあるとか。なるほど、原作よりずっとゴリゴリしてる。こうして見ると原作と随分違うのね。面白い。
ノートのページを写した写真の周りに小さな小さな字で翻訳文が印刷されていて、ぱっと見ると読むのが大変そうだけど、書いてあることが面白いのでちっとも苦にならない。かなり具体的な文章(カメラのレンズの種類とかの場合もある)もあれば、単語が並んでいるだけのものもあるが、使ったアイデアもそうでないものも映画ができるのに必要だったんだろうと思うと読み飛ばす気になれない。
ノートにはデル・トロが描いたものだけでなく、マイク・ミニョーラが描いた、ヘルボーイが「GOOD LUCK」と言っているイラストが貼られていたり、スティーブン・キングに『パンズラビリンス』を披露し、その後いっしょに食事した際、キングが「WE HAD A BLAST!!(最高だったよ!!)」とサインしたレストランの勘定書きを貼っていたり、なんかもう自由。でもレベルの高い自由。
というわけで。ギレルモ・デル・トロファンでもそうでなくても、映画好きでもそうでなくても、なにか創作する人には得るものが多い本だと思います。
ただ3000部限定らしいので、すでに手に入りにくくなっている様子。amazonでは定価では買えないようです。書店で見つけたら即買いだ!
ギレルモ・デル・トロ 創作ノート 驚異の部屋
ギレルモ・デル・トロ 阿部清美
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