読んだ本報告2022年11月(4冊入り)

感想書いてませんでしたがいいペースで本は読んでました。Kindle Unlimitedの圧力は年寄りには読書する動機の補助力になります。電動自転車みたいなものでしょうか。乗ったことないけど電動自転車。
というわけで、2022年11月に読んだ本4冊です。

11月に読んだ本たち

コンラッド『闇の奥』

コンラッド『闇の奥 (光文社古典新訳文庫) Kindle版』

映画『地獄の黙示録』の元ネタっていうかベースっていうかなんかそういうのとして有名な『闇の奥』。
航海に出られず暇な船乗りが同じく暇な船乗りたちに語った昔話という体裁の小説です。
語り手の船乗りマーロウは、アフリカの奥地で象牙交易を仕切るクルツに会うために船で河を遡ってゆきます。
遡るにつれ何か色々起こり、その描写がされますが、全体として話がどっちに向かっているのかはよくわからないまま話が続きます。
植民地での利権を問題としているようなところもありますが、アフリカのジャングルはそういうのも飲み込んじゃう感じです。
やっと会えたクルツもなんだか息絶え絶えで意味不明なことを言い続けます。
そしてそのまま小説は終わります。
すっきりした結末感は無く、自分も暗いジャングルに飲み込まれたような気分になりました。
読後思ったのは、
「『地獄の黙示録』、ちゃんと観たことないや」
でした。
今度ゆっくり鑑賞することにします。
でも長いんだよなー、あれ。

地獄の黙示録 ファイナル・カット(字幕版)

ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q 知りすぎたマルコ 』

ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q 知りすぎたマルコ 』Kindle版

お楽しみ特捜部Qシリーズの5作目。
4作目までは映画版を観ていましたが、これは全く知らない事件。
どんな事件なんでしょう?マルコは何を知りすぎたのでしょう?マルコはお母さんと会えるのでしょうか?ポンチョに夜明けの風はらませて。

なんていうか。
面白いんです。
グイグイ読めちゃいます。
ただなんだろう、ガチャガチャしてるように思えました。
構成要素が多い感じ。
主人公カール・マークが抱える私生活の数多くのゴタゴタも、「安定のゴタゴタ」みたいに感じました。ゴタゴタしてるのが普通っていうか。その辺シリーズ物の危機なのかな、とも思いつつ、相棒アサドの正体に関わることもチラチラ見せてくるのでやはり続きは読まないわけにはいかないでしょう。

今回の事件は社会派な要素を含みつつ、どっちに行くのか何がどうなっているのかわからないまま進行します。マルコもピンチの連続で、先へ先へと読ませます。細かいことどうでも良くなります。カール・マークの、口には出さないユーモラスな(と本人及び作者は思っているであろう)妙な例えも「いちいちそんなんいいよ」と思いながらもどうでも気にならなくなります。
こういう大きな、力のある物語の流れに細かい引っ掛かりをパラパラまぶすのって作者の意識的な手法なんでしょうか。それとも思いついたこと全部書いちゃうタイプなんでしょうか。
シリーズのファンはそういうのも含めて好きになるんだろうな、とも思います。

私は未見ですが『知りすぎたマルコ』も映画化されています。映画向きのストーリーだと思いますが、製作も出演もすっかり入れ替えで、今までのファンには不評みたいですね。
「誰だこのおっさん?」みたいなこと言われてます。私もそう思いましたが、こっちの方が原作のイメージに近いのかも、とも思いました。

ジェイムズ『ねじの回転』

ねじの回転 (光文社古典新訳文庫) Kindle版

幽霊譚です。
いつかは使ってみたかった「〇〇譚」という表現。今使いました。
みんなで怪談話をする集まりの中で語られた、という体裁の小説です。
『闇の奥』が本人の思い出話をみんなに聞かせるのに対してこちらはある人物の手記がとても恐ろしかったという語りになってます。
あるお屋敷で働くことになった若い家庭教師が幽霊を見る、けれど2人の子供と、使用人はその現象に対して家庭教師とは違った反応を示す、真実はどこに?というようなお話です
語り手、手記の書き手、話の中に出てくる人物、それぞれ何を認識しているのかわからなくて、そういうとこ怖かったです。
ひょっとしたら手記を書いた人が精神的にあれだったのかな、とか思うとめまいがしそうです。
「誰かから聞いた話」(怪談って大抵そうですが)という体裁だと、結末を曖昧にしたまま終わらせても不自然じゃないっていう利点がありますよね。怖い場面を並べるだけ並べてそのまま終わらせても大丈夫、みたいな。

何度も映像化されてるようですが、割と最近の映画はこちら
ねじの回転(字幕版)

開高健 『青い月曜日』

開高 健 電子全集6 純文学初期傑作集/新人作家時代 1960~1969 Kindle版

大量に買ってしまった「開高健 電子全集」。電子書籍1冊で紙の書籍3冊+のボリューム。順番決めてせっせと読んでます。読むものが大量にあるってなんか幸せ。

この『青い月曜日』は「自伝的長編」と紹介されています。
終戦間近の中学生時代から始まって、終戦を経て、戦後の大学生時代あたりまでのお話です。
最初の方は主人公の名前が出ないような書き方をしていますが、途中から「健」という名前が普通に出てくるようになります。
自伝「的」ということなので、全て「健」の経験ってわけでもないんだろうな、と思いながら読んでました。「健的」。
健はいくつもの職を経験しますが、それぞれ丁寧に描写されていて興味深かったです。

戦中はみな平等に貧しかった(と感じていた)のが、戦後に格差が生まれ、不平等になっていく世の中に不条理を感じる描写もありました。
でも全体から感じたのは「世の中がどうであれ、不平等であろうが不満があろうが、何をやっても生きてゆく」という逞しさでした。
「生きてくぞ!」という高揚感のある話ではなく、淡々と、でも強かに「生きる」感じ。開高健の根強い人気はこういう淡々とした逞しさにあるのかも、とちょっと思いました。

というわけで今回は4冊、感想書きました。

今はこれ読み始めたところです『エイリアン3』

ウィリアム・ギブスン エイリアン3 Kindle版

映画『エイリアン3』製作のゴタゴタはどこかで読みましたが、そこから生まれたもうひとつの『エイリアン3』ストーリーがこちらです。
映画『エイリアン2』までの出来事を踏まえて(ひと通り説明して)から、脱出したスラコ号が発見される場面から物語は始まります。
ビショップが!ああビショップが!みたいなとこまで読みました。ほんとまだ初めの方。
映画製作側はエイリアンにサイバーパンク的な要素を注入したくてギブスンに依頼したけれどなんか普通に続編になってたので没になった、という話をどこかで読みました。
しかしさすがはギブスン。SFっぽさがムンムンして面白くなりそうです。
これ読んだら映画シリーズ全作鑑賞したいと思います(←意気込み番長)。

というわけで次回までごきげんようさようなら!

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