あのころ確かに輝いていた映画『新幹線大爆破』を観たよ

1975年(昭和50年)の映画なので、私が中一の時ですね、映画館で鑑賞しました。
いやぁ面白かったなぁ。当時。
今観ると、「そりゃないだろ」というシーンがけっこうある。
以下、内容に触れますが、昔の映画だからいいよね。でも新幹線が爆破されるかされないかは内緒にしとくね。

特に「そりゃないだろ」が多かったのは警察の行動。
金を奪った犯人に逃げられそうになると、通りがかった大学の柔道部(柔道着でランニングしてる)に「捕まえてくれ〜!」と頼んだり、別のシーンでは偶然見つけた犯人が走って逃げ出すと銃で撃ちまくったり。本当は捕まえて爆弾に関する情報を聞き出さなきゃいけないのにパンパンパンパン撃っちゃうのね。で、足とかに当てちゃう。しかも逃げられちゃう。足とかに当てちゃったのに。
もうなんか行き当たりばったり。なんの戦略も方針もない。目の前に犯人がいたら何も考えずただただ捕まえようとする。動物か。アニマル刑事(デカ)か。

警察が失態を繰り返す間も爆弾を仕掛けられた新幹線は走り続ける(スピードを落とすと爆発する仕掛けなのだ)。
車内では一部の乗客が騒ぎ出し、泣きわめいたり、新幹線の歌を歌ったり子供を産もうとしたりしてる。「お客様の中のお医者様」も呼び出される。
この映画、「国鉄と乗客たち」と「犯人たち」は直接には接点がなくて、間に「警察」がいてドラマが進行していく。
「国鉄と乗客たち」は、「命だいじなピュアな存在」、「犯人」は「社会にはじき出された同情すべき存在」として描かれていて、犯人を逮捕できれば他はどうでもいい「警察」がいなかったら「ピュア」と「同情すべき」だけであっという間に事件は終息したような気がする。まーそれじゃいかんだろうけどさ、いろんな意味で。
国鉄側の司令官として宇津井健、主犯役が高倉健という配役を見てもどこにウェイトが置かれているかわかる。警察の総司令官役は丹波哲郎だが、ふたりの健と比べるとちょっぴりしか出ない。高倉健は犯人役だが悪い人的行動は全く無くて、新幹線車内で騒ぐ乗客の方がよっぽどタチが悪そうなのが混じってる。

あと新幹線の運転士の役で千葉真一が出演しているが、新幹線の屋根の上に出てなんかしたり、窓にへばりついてなんかしたり、救助に来たヘリにぶら下がってなんかしたり、というような場面はなくて、運転してるだけ。唯一のアクション的見せ場はガスバーナーで新幹線の内壁を焼き切る場面だが、細かい動きがいちいち千葉真一で面白い。車掌もたくさんいるのになんでお前がやってんだとも思うが、これがないとせっかくの千葉真一がただの「汗っかきの運転士」になってしまうのだ。運転士の帽子もちょっと似合わないし。

千葉ちゃんのこのシーンの後、「国鉄」「警察」「犯人」の思惑や感情が入り混じって一気に盛り上がり、宇津井健の宇津井健的演技も輝いてくるが、この宇津井健的演技が犯人逮捕に利用されるところは面白いなぁと思った。

いろいろあって一人だけ生き残った犯人高倉健は空港で大量の警官に追い詰められるが、その先頭に立つ丹波哲郎が言った。
「絶対に逃がすな。万一の場合は射殺してもかまわん」
えっ?かまわんの?射殺しても?
で、本当に射殺しちゃうのね。健さん逃げてるだけなのに。
今観ると「そりゃないだろ」と思うが、中学当時はこのラストがかっこいいと思ったのね。
絵的にはすごくかっこいいんだよね。追い詰められた高倉健に投光器の眩しい光がガーッと当たって、それでも逃げようとして撃たれて上体が一瞬ガッと浮いて倒れこんでくシーン。かっこいいんだ。
『明日に向かって撃て』とか『俺たちに明日はない』とかああいう感じにしたかったのかなぁ。このラストシーンや、人間としての背景が語られるのが犯人側だけというのも考えると、きっとそうだな、と今思った。アメリカンニューシネマみたいのね。全体としてはいろんなもんが入り混じって妙な味になっちゃってるけどさ。
あ、あとはじめの方の、蒸気機関車が爆破されるシーンが「本物?ホントにやっちゃったの?」って思うくらい良く出来てるんだけどあれ本物かなぁ。それに比べると新幹線のミニチュアがちょっと可愛いんだよね、おもちゃみたいで。うふふ。

監督は佐藤純彌。『人間の証明』『野生の証明』もこの人ですね。
他に1975年の映画には『ロンゲスト・ヤード』『タワーリング・インフェルノ』『ジョーズ』『メカゴジラの逆襲』などがあります。

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