なんか怖い夢見ちゃってさ。
金縛りになってんの。夢で。
右手を上げようとしてるんだけどどうしても上がんないの。
しばらく力んで、
あ、左手だ、上がんなかったの。
左手を上げようとしてるんだけどどうしても上がんなくて力んでんだけどダメだ、こりゃダメだ。金縛りだ、それも超強力な。
何か霊だ、霊の力で金縛りだ、きっと怨みをもって死んだ子供の霊だ。
見えないけど怨みをもって死んだ子供の顔が見えるような気がしてどんどんどんどん怖くなっちゃったのね。
すごく怖いからもうホント死に物狂いで「ぐわりゃっ！」ってやったらやっと右手が上がって金縛りが解けたのね。
あ、左手だ。
で、起き上がったらどこかの旅館の一室で（まだ夢の中なんだね）、突然小学校の時の友達のヤマシタくんがニコニコ笑いながらあらわれて、
「霊がついてるからおとしてあげる」
って言って、手の甲で俺のアゴをチョンって押し上げるようにさわって、
「これでだいじょうぶ」
ってヤマシタくんはニコニコ部屋から出て行って、俺も、ああよかった助かったオシッコしたい。
とここで目が覚めてトイレに行ってまた布団に入ったんだけど、再度眠りに入る前にすごいこと思いついたのね、金縛りに関して。
金縛りって、基本動けないだけなんだから無理に動かないでそのまま寝てりゃいいんじゃん！
動こうとするから動けないんであって、動こうとしなければ動かなくて当たり前なんだからそれはもう金縛りとは言えない何かじゃん！
「何か」ってなんだよ？って問う者もいないだろうけどあえて答えるならそれは、みずから縛られにいくことから「金縛られ」と呼ぶべきものであろう。
こうして長年人類を悩ませてきた「金縛り問題」をスラリと解決して二度目の眠りについた私は、
「あ！もう出発なのに全然荷造りしてないじゃん！旅行いけないじゃん！置いてかれちゃうじゃん！」
という、チョイチョイ見る夢をまた見てそして、いつもと同じ朝を迎えたのでした。
めったに旅行なんかしないのになんであんな夢見るのかなぁ？と考えてひとつの仮説に思い至ったがその話はまた今度ね。
