日々棒組み691 インスタ映えする義母の庭

義母が他界してひと月あまり。
生前義母が日々手入れをしていた小さな庭にみかんの木があるのだが、その枝が隣家の駐車場に張り出してきたため、伸びた枝を妻と切ることになった。
脚立、ノコギリ、枝切りバサミ長短2丁を用意して作業開始。
このみかんの木は、アヤが生まれた時に市役所でもらった苗木を植えたもので、この冬は特に美味しい実をたくさんつけた。
脚立に上り、ガサガサと枝をかき分けて切りどころを探す。
みかんを収穫する時は実しか見ていないので、枝をこんなに見つめるのは初めてだ。
幹から眺めていくとなんか不格好にねじ曲がって勝手気ままに枝分かれしているのがわかる。
張り出している枝の根元にノコの刃を当てギコギコ。
小さな緑色のつぶつぶみたいのが血のように飛び散って私に降りかかる。
痛い痛いやめてくれーやめてくれーとみかんの木が泣いているようには全然思わず、ギコギコ遠慮なく切りすすめる。
一本枝を切ると別の枝が妙に飛び出しているように見え始め、またギコギコ。細い枝はハサミでバチンバチン。ああ面白いバチンバチン。あ、切りすぎちゃった。

ウェディングケーキ入刀以来の夫婦での共同作業を進めていると、生前の義母と仲良くしてくれていたおばさんがやってきて、妻と話し始めた。
義母が世話していたこの庭が気になっていて、ある木に花が咲いたのを見ていたとか、この木はもう花をつけないだろうから根元から切っちゃえばいいとか妻に庭の手入れのアドバイスをしている。
妻は庭の手入れはあまり好きではなく、「全部引っこ抜いて更地にしちゃおうか」とまで言っていたのを知っている私は半笑いで枝の手入れを続ける。
しばらくすると別のおばさんもやって来て同じようにアドバイスを始めた。この松の木はこの辺りで枝を切ったほうがいい、この下にある松はいいものなのよ。あ、松の枝は冬のうちに切らないと、夏だとヤニが出るから。
あはは。もう妻が「庭を継ぐもの」に決定だ。日曜日にはNHKの演芸番組見なきゃだね。
ふたりの御庭番おばさんはひとしきり庭の話をした後、義母に線香をあげて、それぞれの用事に戻って行った。

まあね。近所づきあいなどしなくても生きていける仕組みはあるけれど。そして時にはうっとうしかったりもあるけれど。でもね。なんかふわっとね。ふわっとくらいはいい感じもあるよね。

みかんの木を終え、松の枝も道路に飛び出そうとしていたのを針葉に痛い痛いと言いながら切断、その他のちょちょっと手入れして作業を終えた。

テキストオンリーが原則の「日々棒組み」でありますが、今回は特別に、休日作業の戦利品を写真でご紹介します。

1.インスタ映えする松ぼっくり



2.インスタ映えするホラーっぽい枯れ枝


3-a.地中から発見されたインスタ映えするマンドラゴラ(たぶん)



3-b.その横顔


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