特撮テレビ番組の最終回を振り返るコーナー第6回は、『ミラーマン』、『シルバー仮面』に続いて、同じく日曜日の夜に放送されていた『日本沈没』テレビ版です。
ただでさえ明日から学校やら仕事やらで気が沈みがちな日曜の夜。もっと沈んじまえとばかりに放送されてました。
みんなの心が沈没です。
いや、それとも学校も会社もみんな沈んじまえはいいんだ!沈め沈め!日本全国きれいさっぱり沈んじまえ!とテレビの前で思っていたかもしれません。
『日本沈没』最終回(第26回)「東京最後の日」
オープニングは五木ひろしが歌う主題歌「あしたの愛」。
作詞山口洋子、作曲は筒美京平でございます。
美しいメロディと歌詞のバックで日本に津波が押し寄せ、清水寺が崩壊し、金閣寺が大きく傾いて水中に没していきます。
そしてタイトル「最終回 東京最後の日」
あれ?東京が最後なの?日本が沈んで終わりじゃないの?まぁいいや。
ナレーションで、すでに日本がズタズタになって沈みかけていること、東京も二度の大地震で沈みつつあることが語られ、画面にはあちこち欠損して形を崩した日本列島が映ります。
田所博士が、生き別れになっていた娘マリアと出会ったのもつかの間、マリアが死んでしまったことなどもここで説明されます。
そしてこれも前回からの続きなんでしょう、ナースの白衣を着た阿部玲子さん(由美かおる)とノブ子さん(太った誰か)が地下に閉じ込められている場面から最終回は始まります。
壁を破って迫り来る地下水に恐怖したノブ子は「もうダメよ!私たちここで死ぬんだわ」と絶望します。「バカっ!」弱音を吐くノブ子の頬に玲子の右手が、ビンタというより空手チョップのような角度で叩き込まれます。
「ごめんね、ぶったりして。でも希望だけは最後まで捨てないでね」
汗に光る顔も美しい玲子さんがノブ子さんを励まします。
黙ってうなずく顔の汗がちょっと暑苦しいノブ子。
二人は壁の割れ目を見つけて脱出を試みますが、外の光が見えたところで大きな瓦礫に阻まれます。
落ちていた鉄棒を拾い壁を叩いて助けを呼ぶ玲子。
そこへ通りかかった小野寺俊夫(村野武範)。自力とジープで瓦礫を撤去、見事玲子とノブ子を救い出します。
「ノブ子さん!空よ!空が見えるわ!助かったのね!」
地上に出て俊夫に駆け寄る玲子。抱き合うふたり、咳き込むノブ子。
沈みかけ、廃墟が連なる東京をさまよう三人。車で偶然通りかかった中田(黒沢年男)に、玉川の教会に救出ヘリが来ることを聞き、そこへ向かいます。
中田は、娘を喪って傷心の田所博士(小林桂樹)を迎えに行きます。
荒れ果てた寺で佇む田所。
中田は博士が死を決意してると思い込みますが、そうではありませんでした。田所は語ります。
「死んだものは二度と生き返りはしない。今生きているもののことを、生きてこの国を脱出し、世界の中に散らばっている日本民族の未来のことを考えねばならないのだ」
立派だ。なんて立派な人なんだ田所博士。「娘死んだ日本死ね!」とか言わないんだ。
一方小野寺たちは、富士山大爆発を目撃、さらに、転倒して足を負傷したノブ子をささえながら歩き続け、教会にたどり着く。
そこには先客がいた。床屋のオヤジと身重の妻、その息子の三人だ。
あっという間に産気づく妻。そこへ救助ヘリが。
必死に呼びかける小野寺。しかしヘリに乗れるのは二人だけ。ここに六人、田所と中田が合流したら八人。
すったもんだの挙句、ここは息子のオサムくんとケガ人のノブ子さんを乗せることに。
「また来られるかわかりませんが頑張ってくださーい」
無責任なことを言って飛び去るヘリコプター。
ほどなく田所と中田が到着。
田所が告げる。
「東京は明日でおしまいだよ。小野寺くん、玲子さんに何か言いたいことがあったら今のうちだよ」
そこへ産声が。生まれたのだ。
女の子だった。
この子が日本で最後に生まれた赤ん坊であったことがナレーションされる。
夕日を見つめながら語り合う小野寺と玲子。
「あの赤ちゃんを抱いた時、あなたの赤ちゃんが欲しいと思ったの」と言う玲子に、意を決してプロポーズする小野寺。
「玲子さん、結婚してくれ。今すぐ式を挙げよう」
というわけで急遽結婚式を行うことに。
偶然にもここは教会、そしておっちゃんは床屋さん。髭ぼうぼうだった小野寺もきれいな顔に仕上がりました。
田所博士を立会人に式は滞りなくつつがなく進行、田所の提案で教会の崩れた壁にみんなの名前を刻み、二人はここにめでたく夫婦となったのでした。
小野寺俊夫
妻 玲子
壁にはこう刻まれました。産まれたばかりの女の子もその場で「星子」と名づけられ、床屋家族の末尾に「長女 星子」と刻まれました。
夜明けとともに救助ヘリが到着しますが収容人数は4名。
ここには星子ちゃんを入れると6名います。誰かが残らなければなりません。
ここは小野寺夫妻が残ることになります。若いから多少沈んでも逃げ延びる確率が高いという判断でしょうか?
飛び去るヘリ。手を振り見送る夫妻。
その直後、急激に沈み始める日本列島。ついに最後の時がやってきたのです。三陸海岸は沈み、東京湾一体もすでに沈み、東京タワーも完全に海の中だった。
そんな中小野寺夫妻は高台へ逃げますが、そこにも地割れと濁流が襲いかかります。足を滑らせ崖から落ちかける玲子。必死でその手を掴む俊夫。
「俊夫さん!」「玲子!」呼び合う二人の頭上に飛来するヘリコプター。渦巻く海流。
最後のナレーションがかぶさります。
日本は沈んだ。永遠に海の底へ
おわり
というわけで、サブタイトルが「東京最後の日」だったので、東京だけ沈んで日本全体は沈まないんじゃないかと危惧していましたが、完全に沈んだみたいですね。
あ、最後のナレーション、もうちょっと長かったんですが割愛しました。沈んだってわかればいいや、と。
それでは次回までごきげんようさようなら!