その厚さに惹かれ、古本屋でハードカバーの『ハイペリオン』を手にしたのは、あれはいつのことだったでしょう。
100ページ余り読んだところで一度挫折して放置していたところ、前の会社の先輩が、
「あれを読まないのはもったいない、ほれ」
と続編の『ハイペリオンの没落』文庫版を貸してくれたのにそれもしばらく放置しているうちにその会社も辞めてしまいました。というわけで返してませんごめんなさい。
前の会社を辞めて14年くらい経つので、その間のどこかで『ハイペリオン』に再挑戦。その後ゆるゆると読み進め、ついにシリーズ4部作、読了いたしました。
幼稚園児だった娘も高校三年生。赤い夕日が校舎を染めるお年頃になりました。
壮大なSF小説ですが、読む方にもそこそこドラマがあったのです。
シリーズをハードカバー →文庫版と読み進めてきましたが、『エンディミオン』とこの『エンディミオンの覚醒』は電子書籍版で読みました(前作の感想はこちら → 長いけど幸せに面白いSF小説。ダン・シモンズ『エンディミオン』を読んだら)。
『エンディミオン』と『エンディミオンの覚醒』は、主人公のロール・エンディミオンが死刑囚として捕らえられている監房で書き綴っているという設定なのですが、時々本人が立ち合っていないはずの場面が描写されます。
読んでいて気にならない書き方なのですが、なぜそんなことが可能だったのかが本作の最後に明かされます。
その件だけでなく、シリーズを通して謎だったり曖昧にしていたことが次々に明らかにされていきます。
あの殺戮機械、シュライクについても一応の説明があります。
そのため、『エンディミオン』はアクション満載の逃亡劇だったのが、本作ではしばしゆったりした安全地帯で過ごしながらこの宇宙についての説明が続いたりします。
でもそれも束の間で、安全地帯は次々と地獄のような惨状に陥りますが。
終盤に向かうにつれて、前のシリーズに出てきた懐かしい人も登場します。
シリーズ通して謎の存在として謎の行動、謎の能力を発揮していた殺戮機械シュライクは、悪いやつに追われるヒロイン、アイネイアー(英語だとどういう綴りなのかなぁ。カタカナで書くとほぼ回文みたいになってるけど)を守るかのような行動をとります。
追い詰められてもシュライクが出てくるとなんか安心するようになっちゃいました。『ハイペリオン』のときは謎と恐怖の対象だったのに。
シュライク:身長3メートル、4本腕で、全身が刃物でギザギザしているイメージ。たぶんハートもギザギザ。
何かのSF映画にも「シュライク」って名前の謎の戦士みたいのが出てきたので、神話に出てくるとかそういう名前なのかな、と思って調べたらモズのことでした。鳥の。
些細なことですが、『エンディミオンの覚醒』の原題は“THE RISE OF ENDIMION”なのですが、某有名SF映画のシリーズ最終作も“THE RISE OF ” で始まってましたね。壮大な物語の締め括りにふさわしい言い回しなのでしょう。きっと。
そんなわけで長い長いシリーズを無事に読了。
想像以上に面白かったのと同時に、読み終えてなにやら達成感も得られました。
未読の方、これを読まないなんてもったいない!
ほれ。第一作『ハイペリオン』からさあどうぞ。