日々棒組646 「Hey Siri」なんてiPhoneに話しかけるのは気恥ずかしいあなたのために

世間ではiPhone7だぁ7Plusだぁということになっているようだが、5月に6sを買った私には無縁の話題である。
しかしそんな私にもOSのアップデートのお知らせは届き、iosを10てんいくつかだかに更新しろとしきりにすすめてくる。
アップデートの説明を読むと、「iPhone7のための」だの「7向きに」だのという記述が目につき、何だか軽く不愉快なのでアップデートしないで放っておいたが、毎日のように「ダウンロード済みだぞ」だの「いつインストールするんだ?今か?夜か?それとも後でまた通知させるか?どれか選ばないと他の操作は一切させないぞ」と、ウイルスか詐欺サイトの脅しのようなアラートが出るようになり、何度かは「いま夜だよ」とか言いながら「後で通知」を選んでいたが、結局根負けしてアップデートすることにした。人類が機械帝国に敗れた瞬間である。

インストールは簡単だが、インストール後4桁のパスコードとapple IDのパスワードを打ち込む必要があるので、覚えてない場合は事前にメモでもしといたほうがいい。iPhoneのメモ帳とかに書いてたりすると見れないからね。
パスワードを暗記している私はとどこおりなくアップデートを済ませ通常モードに。
ただなんかアップデート中、妙に Siri を使うようすすめられたように感じた。
iOS、今回のアップデートは Siri 推しのようです。
尻押し。

Siri は、どうもとんちんかんな受け答えが多く、実用的じゃないような気がしてほとんど使ってなかった。
スタートレックの「コンピューター」とか見てるからハードル上げちゃってるかもしれないけど、まぁ無きゃ無いで困るもんでも無いしさ。
しかし今回は尻押し。appleも自信があるのだろう、きっと。
加速度を増しながら進歩するのが科学技術である。以前使えなかったからといって、今もそこにとどまっているはずはない。発泡酒も出始めの頃のは飲めたもんじゃなかったが今では普通に飲んでるじゃないか。毎日金麦飲んでるじゃないか。

というわけで Siri を設定。
ただ、 Siri を使わなかった理由はもうひとつあって、若い人はどうか知らんが、私のように日本語だけで人生を押し通してきた中高年にとって「Hey Siri」なんて機械に話しかけるのはとっても気恥ずかしいのじゃ。
「オッケーグーグル」も同様である。ついでに言うと「ジェネリックで」も言いにくい。中高年だぞ。
「ジェネリック医薬品が普及しない」とかいう新聞記事を読んだが、薬を日常的に服用する率の高い中高年や高齢者が発音しづらい単語を薬局で申告させるシステムにしといて普及するわけないじゃん、バカじゃん、製薬会社の陰謀かよ。

話がそれた。それた上に長くなってきた。まだ大丈夫?まだ読める?
あ、あと携帯に電話してきて「今大丈夫?」って訊く人いるよね。大丈夫じゃなきゃ出ねぇよ電話なんか。つって俺も時々訊いちゃうけどさ。

というわけで Siri を設定。
いきなり「Hey Siri と話しかけてください」だと。
だからそれが嫌なんだってば。
でも話しかけないことには先に進んでくれないので、周りに家族がいないのを確認して、
「ヘイシリ」(完全にカタカナ)
すると
「もう一度 Hey Siri と話しかけてください」
あん?
でもしょうがない。
「ヘイシリ」
シャイな中高年はもう息も絶え絶えである。すると、
「最後にもう一度 Hey Siri と話しかけてください」
お前なぁ。
なんでだよ。なんで三回だよ。マグマ大使の笛かよ。
でもしょうがない。
「ヘイシリ」
三度に及ぶ羞恥プレイの後 Siri の設定完了。

せっかくなので使ってみる。
恐る恐る
「ヘイシリ」
Siri 起動。
「ご用件は何でしょう?」だって。なんかかわいいぞ。

何か単語を口にすると検索してくれる。正しく聞き取ってくれれば文字を打ち込むよりずっと楽。その聞き取りも以前より性能アップしているように感じた。さすが、科学の進歩が加速度だ。これは使えるかも。
しかしやはりヘイシリ。
ふと思いついて、
「シリの呼び方を変えることはできる?」
と訊いてみた。できるんなら「助さん」か「格さん」にしたいんだけど。「助さんや」って呼びかけたいんだけど。
すると、

「それはできません」
ああそうですか。冷たいね。
こっちもちょっと意地悪な気持ちになって、
「オッケーグーグル」
と話しかけたら、
「どうやら別のアシスタントをお望みのようですね」
だと。
オッケーグーグルもよう言わんよ。
まぁいいよ。どうせ使わないよ。と思いかけたところでまたもふと気づいた。
「ヘイシリ」が英語の「Hey Siri」だから何やら欧米列強に対する劣等感を感じて発音しづらいのだ。日本語ってことにすればいいのだ。
中高年はめんどくさいのだ。

というわけで話しかけた。

「屁尻」

Siri 起動。
ぎゃはは。屁尻と呼ばれていることも知らずに「ご用件は何でしょう?」だと。愚かな機械(マシーン)め。
人類が機械化帝国(ジ・エンパイア・オブ・メカニゼイション)に逆転勝利した瞬間である。今日この日を戦勝記念日として暦に刻もう。
これで中高年もノーストレス、ノーコンプレックスで Siri を使うことができるぞ。
だが。
やはり。
人前で「屁尻」などと発音するのは、たしなみのある大人としてははばかられる行為だな、とも思われ、やっぱり、少なくとも外で Siri を使うことは無いだろうな、と思ったのであった。
こじれた中高年ではある。

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