オトーは月刊スターログと #3 1984年8月号

一部地方のみなさんに大人気、ツルモトルーム版月刊スターログを行き当たりばったりに語る「オトーは月刊スターログと」第三回はこちら。ちなみに創刊6周年記念号ですって!

月刊スターログ日本版NO.70:1984年8月号 定価680円

表紙写真:表1表4見開きで大迫力!

 

目次:スーパーガール、なにやってんでしょう?

巻中のピンナップは表が『インディ・ジョーンズ魔宮の伝説』のハリソン・フォード。白いスーツ姿は映画冒頭のシーンから。裏は『スーパーガール』と『グレイストーク』が半分ずつ。『グレイストーク』は要するにターザンね。ターザンものは繰り返し映像化されてますが、スーパーガールも最近テレビドラマが作られてますね。

そのころスタートレックは『ミスタースポックを探せ!』だった。

劇場版スタートレックは製作順偶数の方が面白い伝説をご存知でしょうか?
「スタートレックっぽさ」と「劇場版大作っぽさ」を求められ、ちょっと鈍重になってしまった劇場版第1作。それを反省して娯楽に徹してテレビシリーズの人気悪役を登場させ、コスチュームも派手(真っ赤っか)にして、しまいにゃスポックまで殺して成功した第2作『カーンの逆襲』。そして3作目がこの『ミスタースポックを探せ』。
「偶数面白い伝説」ってことは奇数チームの2番手の3作目(ややこしい)の『ミスタースポックを探せ』評判が良くなかったってことですね。
ちなみにこの号のスターログの記事は公開前で、スポック役のレナード・ニモイが、スポックを殺すことを条件に(もうスポック役はやりたくなかったので)『カーンの逆襲』に出演したことや、今度は自分が監督することを条件に『ミスタースポックを探せ』の出演を承諾したのではないかと伝えている。
新作映画に触れているのはその程度で、後のページではスタートレック世界の基本設定の紹介があり、「平和の担い手 惑星連邦」という見出しで地球人、バルカン人、アンドリア人などが紹介され、「人類に敵対する悪の力」という見出しでクリンゴン人、ロミュラン人、ゴーン人が写真付きで紹介されている。映画公開前におさらいしておきなさいよ、もしくはこれをお友達に見せて映画に誘おうねということだろうか。しかし、誰もが気になっていた、テレビ版と劇場版でのクリンゴン人の外見の変化には特に触れられていない。
ほかにも「スターシップ大図解」として連邦やクリンゴンの宇宙船が図入りで紹介されていておさらいしたい人に親切な記事になってます。

そのころウルトラマンは『ウルトラマン物語』だった

見出しが「驚くぜ!新作で映画に乱入!ウルトラマン物語」。
カラー見開きで紹介してますが、まぁ批判的な記事です(「乱入!」って)。まぁお子様向けなので。激しくお子様向けなので。
現在amazonプライムビデオで見られますので、見ながら書いてますが、まぁ、お子様向けなので。
ウルトラマンタロウの子ども時代から始まりますが、低めの高いところからエイっと飛び降りたり、びっくりするくらい下手な側転をして見せたり、光線の出し方をああかなこうかなと悩んでみたりしてます。ちなみに声は野沢雅子。
こどもタロウのシーンの後は各ウルトラマンの紹介みたいな場面が続きます。そこは昔のテレビ版のシーンを使っているのでしっかりしてます。
と思ったら、ウルトラセブンがボーグ星人に崖から突き落とされて、危ないっ!と崖にしがみついてました。あんた空飛べるのに何やってんの?
そのあとコタロウパートに戻り、コタロウがこども怪獣をいじめたら怪獣が思ったより強くてしかえしされてそのあと怪獣をいじめちゃダメでしょとウルトラの母に説教されてこども怪獣と仲直りするっていうシーンがのんきな音楽のなかで繰り広げられます。
もういいよね、この映画の話。
あ、父が出てきた。
母に「いい怪獣もいるのですよ」とか言われてる。
父がミクラスの事を教えてる。

もういいよね。

そのころその他の映画はファイヤーだった

その他夏の映画とし『E.T.』後のドリュー・バリモア主演の『ファイヤースターター』と、ウオルター・ヒル監督の『ストリート・オブ・ファイヤー』が紹介されています。
あ、タロウの声が石丸博也になった。
もういいって。
『ファイヤースターター』はスティーブン・キング原作で、私は映画は観てませんが、原作は読みました。
ファイヤーをスタートさせる超能力を持った少女が主人公で結構面白かったです。原作は。
『ストリート・オブ・ファイヤー』は公開からずっと後にレンタルかなんかで観たのかなー。日本でいうとヤンキー向けの漫画やらなんやらが好きな人には面白いかもです。そういう志向が無い人が大人になってから観る映画じゃないなぁ。

そのころ高千穂遥は『さよならジュピター』の言いわけをしていた

ブログでこういう記事を書くきっかけとなったのが『有田と週刊プロレスと』だということは#1で書きましたが、プロレス界とSF界で大きく違うのは(そもそもぜんぜん違うけどさ)、プロレス界は事件が多いっていうか事件だらけなのに対してSF界にはほとんど事件というものが無いってことなんですね。
せいぜいハーラン・エリスンが血みどろ映画や科学的に間違っている映画をやり玉にあげるコラムを書くくらい。
そんな平和なSF界で「事件」と呼んでいいのが(呼びたいのが)この「さよならジュピター事件」ではないでしょうか。
『さよならジュピター』に関してはそのうちまとめて書きたいと思ってます。まぁ事件なので。
ホントに事件だった(事故か?)のは、映画に関わっていた高千穂遥がこんな文章を『さよならジュピター』を全力で推していた月刊スターログに寄せたことでもわかる。

要は、公開直後いろんな意味でボロカスだった映画『さよならジュピター』のあまりの言われように、もうちょっと建設的なこと言ってよ、言うべきだろ、だって俺たちSFファンじゃん!みたいなことを語っているわけです。そんなこと言ってるわけです。
後の号で読者が「高千穂遥よ甘えるな」(正確じゃないかもしれないけどこんなタイトルだった)とこの文章に反論していて、当時の私はどちらかというとこの読者の意見の方が自分の気持ちに近いと思いました。
そんな私ですが、今では『さよならジュピター』DVDデラックス版を所有して、ちょいちょい観てます、えへへ。
そのDVDデラックス版のパッケージの帯には樋口真嗣の「私を突き動かし続けるモチベーションの源泉」という言葉が記されている。これだけでも高千穂遥の願いは報われたと私は思いたい。

というわけで、「オトーは月刊スターログと」#3はここまでです。#4までごきげんようさようなら。

オトーは月刊スターログと[総目次]

blinkkisi
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