オトーは月刊スターログと #23:1984年2月号

オトーは月刊スターログと

不確定な未来なんて怖いだけです!みんなで過去に生きましょう!イエスタデ〜イワ〜ンスモア!
というわけで伝説のビジュアルSF雑誌月刊スターログを語るこのコーナーもちょうど第23回となりました。
今回は、しつこくちょっぴり『さよならジュピター』、悪い異星人大行進!、SF美女肉弾猛爆撃、私のメビウス愛、などをお届けする予定です(予定はあっという間に変更になる場合がありますのでご了承ください)。

月刊スターログ日本版NO.64:1984年2月号 定価750円

表紙

目次

巻頭ピンナップは両面1色で、表が「蛍雪ジェダイ」、裏が「帝国通信」、両方ともスターウォーズファンのコーナーとして毎号乗ってるものですが、新聞形式のコーナーなので、ピンナップがよく似合います。付録としてはつまんないですが。字が多くて。

そのころプロレス界でも何かがぶち上がっていた

巻頭インタビューは「小松左京さよならジュピターを語る」。映画公開直前インタビューです。
『さよならジュピター』に関しては増刊号を4回費やして語り尽くしたつもりでしたが、もうひとつだけ、書こうと思ってて忘れてたことがあったので、「また、さよジュピ話かよ」と思われるでしょうが、ちょっとだけ語らせてください。
『さよならジュピター』のあの、構想をバーン!とぶち上げて、でも形が見えてくるに従ってしょぼくなってくのって他でも経験したことがあって、プロレスの話なんですけど、アントニオ猪木のIWGP構想が私(たち)の心の中でちょうど同じような軌跡を描いてぽちゃんと着水しました。
世界中に乱立するプロレスのチャンピオンベルトを一本に統一して本当の世界一を決める、みたいなことを掲げて始まったIWGPは、徐々にトーンダウンして、結局いつものシリーズと同じじゃね?みたいなスケールの大会に落ち着いてしまいました。
今回調べたところ、IWGPは1980年にその構想を発表、第1回の決勝が1983年の6月なので、『さよならジュピター』構想と時期的に重なってるんですね。
プロレスもSFも当時はサブカルチャー(まだそんな言い方はなかったかもしれませんが)的ポジションだったのが、プロレスはタイガーマスク人気、SFはスターウォーズ以後のビジュアルジャンルの盛り上がりで、新しいファンが増えていた時期でした。
ここらでもう一発ぶちかましたるぜ!みたいな雰囲気が両ジャンルに充満していたように思えます。どちらもバブルでしたが。
でも、「真の世界一を決める」とか「世界に恥じない日本のSF映画のために」とか、理想はそれはそれでいいと思うんですよね。その時はファンの夢を煽って金儲けしようとしてただけかもしれないけど、その後のプロレスや格闘技、SFや映画やアニメは、その時夢を信じた人たちが理想に向かって動かしてきたように今では思えます。私みたいに「けっ」と思っただけの人の方が多かったとは思いますが。

IWGP烈伝COMPLETE-BOX 1 1981年IWGP構想〜1987年初代IWGP王者誕生【Blu-ray-BOX】

そのころ世界は核戦争を恐れていた

北朝鮮のミサイルや核武装が話題の昨今ですが、1984年といえば冷戦末期。核の脅威といえばソ連でした。この号ではアメリカのテレビ映画『ザ・デイ・アフター』“THE DAY AFTER”が紹介されています。ソ連の歩兵部隊が西ドイツ国境に進行したことを契機に緊張が高まり、ついにミサイル基地のあるアメリカのカンザスシティが核攻撃される、というストーリーです。
監督はニコラス・メイヤー Nicholas Meyer。前の年に『スタートレックII カーンの逆襲 』“Star Trek II: The Wrath of Khan ”を監督してます。
物語は核兵器が使われた後に生き残った人々の行く末が描かれるそうですが、どのくらいリアルなのかはわかりません。記事には、爆発の瞬間燃え上がる町、キノコ雲、破壊された町の瓦礫の中の大量の死体、避難先で不自由そうに暮らす人々の写真などが並んでいます。
アメリカで放送された時はこの番組の後に、キッシンジャー、カール・セイガン、ロバート・マクナマラ他の出演のディスカッションが放送されたそうです。なんとなくプロパガンダの匂いを感じるのは気のせいでしょうか。どっちも見てないのでわかりませんが。


ザ・デイ・アフターDVD

そのころ宇宙は悪い異星人でいっぱいだった

異星人といえばウルトラマンやスペクトルマンなど一部の例外を除いて悪い奴と決まっていました。スターログ日本版NO.64では悪い異星人の大特集。SF雑誌「ASTOUNDING STORIES」や、「AMAZING STORIES」の表紙を飾った、まぁよくもこんなの考えつくなぁという奇怪な怪物たち、動いてるのは見たことない昔の映画のモンスターから、おなじみのエイリアン、モンスターまで。いやぁ、もう大好き。『惑星ソラリス』の潜在意識を実体化させる生命体も人類の脅威として紹介されてます。確かに怖いし、あいつのおかげで調査だか研究だかが破綻してるので脅威扱いは正しいですね。
ここでは紹介されてませんが、『未知との遭遇』の異星人もかなり理解不能なことしてますよね。友好的みたいな位置づけされてることも多いのですが、散々地球人を誘拐しといて何十年後かに返したから友好的って。万引きしても返せば無罪かよ、みたいな。

そのころ宇宙には美女もいっぱいだった

醜いモンスターの後は美しいものをごらんください、ということで「OH SF GALS」というタイトルでSF映画やテレビに出てくる美女たちが紹介されています。『キャット・ピープル』のナスターシャ・キンスキー、『ある日どこかで』のジェーン・セイモア、『ブレードランナー』のショーン・ヤング、『宇宙空母ギャラクティカ』アテナ役のマレン・ジェンセン、『スター・トレック』の三蔵法師、じゃなかったアイリーア役のパーシス・カンバータ、夫にショットガンで射殺されたことで有名になってしまった『ギャラクシーナ』のドロシー・ストラットン、『スペースサタン』の、というより『チャーリーズ・エンジェル』のファラ・フォーセット、そしてのちのチャーリーズ・エンジェルであるドリュー・バリモアの『E.T.』の時の可愛い写真などが載っている。あと、中川翔子かと思ったら『ダーク・クリスタル』のキアラの写真も載っていました。

しょこたんじゃないよ。ダーク・クリスタルのキアラだよ

 

そのころメビウスに飢えていた

月刊スターログのおかげで知ったことは多々ありますが、フランク・フラゼッタ、シド・ミード、メビウスらの名前も月刊スターログで見るまで知りませんでした。
この号は表紙と、中綴じの真ん中に両観音折でメビウス・ポートフォリオが綴じ込まれています。

閉じたところ

開いたところ

解説によると、インタビュー集にそえられたイラストや絵葉書として発行されたイラストをレイアウトしたものだそうです。
当時はまだ洋書としてしかまとまったメビウスの作品に触れるすべはなく、金銭的にも、入手方法にしてもややハードルが高かったため、月刊スターログが単なる紹介ではなく絵を楽しめる形で掲載してくれるのは本当に嬉しかった。
そんな不自由な時期を過ごした反動か、メビウスの日本版書籍を見つけるとつい買ってしまいます。それなりに高価なのですが、本を手にするとそれ以上の価値を感じられます。
以下、私が「つい買ってしまってでも幸せになれたメビウス関連商品」です。画像にamazonの販売リンクを貼ってますので、詳しく知りたい方はどうぞ。

◆エデナの世界 “Le Monde d’Edena”


長編です。370ページくらいあります。ただ、ストレートに物語が進んでいく370ページではなく、かなり自由にいろんなことが進行してゆきます。長編というより連作でしょうか。でもそんなことはいいんです。370ページもメビウスを味わえるんです。それでいいんです。「わけがわかる」とか「整合性」とかいうものは重要じゃないとわかる370ページです。

◆アンカル “L’Incal”

 


これも長編です。300ページ越えです。原作は映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーで、ストーリー的には『エデナの世界』より一貫性があるというか「長編」になってます。絵も『エデナの世界』と比べるとほんのちょっぴりアメコミっぽいように感じます。

◆ブルーベリー “Blueberry”

 


MOEBIUSではなくJean Giraud(ジャン・ジロー)名義で描かれたウェスタン。上記よりさらにアメコミっぽい画風。まぁウェスタンですし。解説によると大人気作だそうですが、コマが小さい上に大量のセリフがあって読むのが大変でした。アクションものなのにこいつらしゃべりっぱなし。ストーリーは大人向けで、裏切りやらどんでん返しやらあって面白いですよ。でも字がちっちゃくて…。扉絵がカッコよすぎてしびれちゃいます。

◆B砂漠の40日間 “40 Days dans le Desert B”

 


1ページ1コマの贅沢な構成。しかも奇数ページだけに印刷されている(つまり裏は白)横長の上製本。印刷製本に関わってる身からするとハラハラするような高コスト製品。でもそれだけの価値も理由もある本です。納得満足。
モノクロですが、ページをめくっていると、何もないところからブワッと何か生まれ出るような感覚が味わえます。

◆アルザック “Arzach”

 


どこかで「セリフが無い」と読んだのを信じて、手に入りやすかったドイツ版を買ったら何編かはしっかりセリフがあって、あららでした。カラーは濃いめの着色で圧力があります。

◆アルザック・ラプソディ(TVアニメーション)

 


メビウスが監督して『アルザック』をアニメ化したものですが、ほとんど書籍と違うエピソードになっています。フラッシュアニメみたいな単純な動きですが、見せ方が上手いんでしょうね、ちゃんとアニメになってます。

販売リンク貼っていて気づいたのですが、今見ると中古で高額になってるのとかもありますね。普通に買えるときに買っておかないと後悔しそう。というわけで気になってたけど迷ってたこれを注文しちゃいました、

メビウス博士とジル氏 二人の漫画家が語る創作の秘密

インタビュー集だそうですが、もう買っちゃう。しばらく昼飯はコッペパンに水道水だな。
というわけで「オトーはメビウスと」今回はここまでです。腹ペコでお送りする次回までごきげんよう!さようなら!

オトーは月刊スターログと[総目次]

 

 

タイトルとURLをコピーしました