どのエサに喰いつくか?それが問題だ。映画『哭声/コクソン』“곡성(哭聲)” “The Wailing” を観たら

映画・ドラマ

タイトルだけはどこかで目にしていたけどそれだけの映画でした。
が。
町山智浩の『「最前線の映画」を読む』で紹介されているのを読んだら、「ホラー映画」で(それすら知らなかった)、さらに「わけわかんない映画」(パーツがはまらないパズルに例えてました)で、しかもNetflixで検索したらあったのでこりゃ観とかなきゃと鑑賞しました(ちなみにamazonプライムビデオにもありました『哭声/コクソン』(字幕版)

韓国の田舎の村、谷城(コクソン)で、錯乱した村人が家族を惨殺する事件が連続して発生し、警察官ジョングが捜査するが謎が多く、毒キノコのせいだとか、山に住み着いた謎の日本人(國村隼)が関わっているとかの噂ばかりが広がってゆく。
ジョングは殺人事件で呼び出されても普段通り食事を済ませてから出勤、現場到着の遅さを咎められても義母が病気でか嘘の言い訳をするような警官。同僚の反応を見ると、いつもこんな調子みたいです。
ところが、捜査しているうちに娘のヒョジン(小学生くらい)が謎の日本人と関わっているようだと知り、さらに親思いの優しい子だったヒョジンが汚い言葉で自分を罵ったりするようになると、ジョングの態度も変わってくる。
仕事熱心ではなかった警官が、娘のために事件と深く関わっていくわけです。

というようなストーリーなんですが、謎の日本人、謎の女、祈祷師らが、個別に行動したり、関わったり、ジョングにいろんなことを言ったり(みんな言うことが違ったり変わったりする)、ジョングの妄想や悪夢に現れたり、ゲロ吐いたり、物陰から覗いていたりというシーンが続きます。
私は「わけわかんない(わかりにくい)映画」だと知った上で観始めましたが、理解しようとして観ると確かにわけわかんないと思います。
でもなんでしょう、このじわじわくる迫力と緊張感。
映画の冒頭に聖書の言葉が出てきます。土着の祈祷師のお祓いや、事件の分析があります。ジョングは謎の日本人に「ここは俺の縄張りだ。出て行かないとお前を殺す」と言います。
謎の女は謎の日本人を悪魔だと言います。はじめは日本人を悪霊だと言っていた祈祷師はそれは間違いで、その女が悪霊だと言い出します。
韓国の映画に怪しい日本人が出てくると何やら過去の歴史を踏まえたメタファーかな、とか思ってしまいますが、そんなに単純でもないようです。
ただ國村隼は、殺人事件の被害者の事件前と事件後の写真を持っていたり、終盤のシーンでコンパクトカメラを取り出して撮影したりするのですが、それって歴史を忘れて観光に来ては写真を撮りまくる日本人の姿なのかな、とちょっと思いました。
そのあと國村隼がすごいことになりますが。

というわけで、ピースがはまらないパズル映画、解釈しようとあるピースをはめるとさっきまではまっていたピースが外れてしまうような映画、と前述の町山智浩の著書には書かれていました。

冒頭に國村隼が釣りをするシーンがあり、祈祷師が事件を釣りにたとえて説明するセリフもあり、ひょっとしたら映画を理解するヒントになるのかな、と思いました。
この『哭声/コクソン』はどうも、先に餌のついた釣り糸が何本も垂れていて、どれかに喰いつくと他の釣り糸が見えなくなる、そして、どの釣り糸にももっともらしい「筋」があるけれど、中には「ハズレ」もある、そんな映画のような気がしました。
逐一理解しなくても、わけわかんないまま楽しめる人にはオススメです。


『哭声/コクソン』Blu-ray

amalink02
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