この骨折日記「2.「どぅわっ!!」とか言わねぇし」で、リハビリ先生に「「どぅわっ!!」とか言ってもいいんですよ」と言われた時の心のツッコミを「シャネルズじゃねぇし」にしとけばよかったな(ここはラッツ&スターじゃないのね)、と後悔しつつ骨折日記第4回。
初めての「粉砕骨折」。ずーっと痛いということはないけど時々負傷箇所が輪っか状にそこそこ痛くなる。
処方された痛み止めは3錠で1セット。メイアクトMS錠100mg、ロキソプロフェンNa錠60mg、ムコスタ錠100mg。この3種類を毎食後に各1錠。
あと、やはり右肩近くの肋骨も痛んでいるようで、寝転んだり起きたり上半身を動かすたびに痛い。風邪気味だったのだが、咳、くしゃみ、鼻水かみ、いちいち痛い。こっちの痛みの方がイライラする。片手ではうまく鼻がかめなくてそれもイライラする。
それでも布団に入ってじっとしていれば我慢できない程でもなかった(我慢強いし)ので寝ることにした。
夜、何度か目が覚めた。
手が痛かった。変な角度で動かすと痛みがあるようだ。多少は体勢を変えられるものの、自由に寝返りを打てないのもなかなかのストレス。
しかし痛みよりも、目が覚めた時に考えてしまうのは、
「会社になんて連絡しよう」
だった。
こんな状態ではしばらく通勤電車には乗れないだろうし、でもずっと有給休暇ってのもなぁ、そもそも有給何日残ってたっけ?
幸い年間で一番忙しい時期は過ぎていたので、PCを自宅に送ってもらえればリモートでそこそこ乗り切れるだろうなぁとは思ったがしょせんは非正規雇用の契約社員。こちらからこうしてくれなんて言い出せないしがない身の上。
さらに今年から親会社に吸収され、さらにその親会社が何社かと合併したおかげで所帯が大きくなり偉い人もたくさんになり、しかも何かあったら偉い人みんなにメールで連絡するのが作法ということになっている。
あーあ。去年までだったら直近上司に「これこれこういうわけでしばらく出社できないから家で働く。PC送って」で済んだんだけどなー。
あと誰と誰と誰と誰と誰と誰にメール届けばいいんだっけ?
とか考えてると眠れなくなっちゃうかと思ったらそうでもなく、考えてるうちに眠り、痛くて目覚め、考えてメールの文章が頭の中でちょっと進んでは眠り、痛くて目覚め、文章がまたちょっと進み、また眠りを繰り返して朝には文面7割程度の仕上がりだった。
ちなみに起床したのは出勤する時のいつもの時間。通勤しないので余裕がある時間にスマホでメールを作成。頭で考えるより打ってる方が文章が出てくるが、左手で打ち込むのはなかなか難儀で間違い間違いヘトヘトになってやっと完成した。
送信。
何らかの返信が来るまではやることもないのでじっと座って、妻が昨晩のうちに握っておいてくれたおにぎりを食べながらいつものようにNHKニュースを見ていた。
いつもの天気予報もやっていたが「出かけねーから関係ーねーやー」だった。
いつもは観ることのない朝ドラや、録画していた『必殺仕掛人』を観ながら返信を待つ。
「朝ドラ途中から観ても全然面白くねーなー(当たり前だ)」だの「やっぱり藤枝梅安は緒形拳だよなぁ」だのもろもろ勝手なことを考えていると上司からメールの返信が。
お見舞いの言葉や細々指示があったがその中に「PC送るから住所教えろ」ということが書かれていた。
はいはいはいはい。全ておっしゃる通りにいたします。
弱いものが生きてゆくには強いものに従順でなければならないのだ。
なんつって自分の不注意で怪我したのに偉そうなこと言うなってば。
そうだ。
右手が使えないなら左手があるさと描いた絵の悲惨さに目の前まっ暗になった私だが、ふと思い至った。
「水木しげる先生は隻腕で素晴らしい絵を描かれていたではないか!」
恥ずかしい。
俺は自分が恥ずかしい。尊敬する水木先生に恥ずかしい。
というわけで鬼太郎を描いてみました左手で。
なんか点々は別に左手でも大丈夫なのね。根気はいるけど。てんてんてんてんてん……
(*日記本文はまだ負傷後2日あたりですがこの絵は10日後に描いたものです。心に余裕が出てきたのか調子に乗って背景まで描いてます)
水木先生、ぼく、負けずにてんてんてんてんします。
昼はリモートでお仕事、夜は自宅でてんてんてん🎵 たのしいな たのしいな🎵( 楽しいか?)
【つづく】
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