読んでから観る派。小説『正体」を読んだら

昔の角川映画の宣伝ではありませんが。
興味を持った映画に原作がある場合は観る前に読む派です(原作の存在を知らずに観てしまうことも度々ありますが)。
映画を観るより本を読む方が好きということも大きな理由ですが、映画化される時点でそれなりのレベルはクリアしていると期待できると思ってるからです。

というわけで。
Netflixで配信されている横浜流星主演の映画『正体』の原作を読みました。Kindle Unlimited対象だったし。

染井為人『正体』 (光文社文庫) Kindle版

主人公が町から町へ、そこで出会ったそれぞれ事情のある人と関わって紡いでゆく物語です。
アニメでいえば『花の子ルンルン』みたいな感じでしょうか。
『花の子ルンルン』と違うのは、主人公が男で、脱獄した未成年死刑囚、というところでしょうか。
あと、ルンルンは幸せをもたらすと言われってる花を探して旅をしていますが、こちらの主人公鏑木慶一の目的は謎のまま物語は進んでゆきます。

という話なのですが。

始めに「観る前に読む派」みたいなこと言いましたが。
60ページくらい読んだあたりで、
「なんかこの展開、どこかで見たような…」
逃亡中の鏑木慶一が飯場に潜り込んで、そこの連中とあれやこれやあるってあたりなんですが、どうもどこかで見たようなことが起きる。次から次へ。
逃亡犯が飯場に潜り込むというのはありがちな気もするので気のせいだろ、他人の空似だろうと自分に言い聞かせて読み進めましたがいやいやいやいやいや。これ知ってるわ。

検索したきたらこれ、ドラマになってたんですね。

連続ドラマW 『正体』

あーあ。
そういうことね。
妻が観てるのを横目で観てたわ。そりゃ知ってるわけだ。
と、謎は解けたのですが、飯場でのエピソード以外記憶がない。
横目視聴なので他のエピソードは観てなかったのかもしれない。
読み進めるとどうやらそうらしい。飯場以降はまったく覚えの無いエピソードが重ねられてハラハラドキドキ。よかった。

鏑木慶一は名前や姿を変え、それぞれの場所で人々と関わり、影響を残していくが、最終のクライマックスまで本人の内面は全く描写されません。読者には、 鏑木慶一の外面の言動、関わった人たちの細かな心理描写、そして「一家三人(幼児含む)を殺した残虐な殺人犯で脱獄した死刑囚」という世間の評価だけが与えられるだけです。
「 鏑木慶一」という空洞の形をみんなでせっせと描き出そうとしてるみたいです。
そして、最終エピソードに至る頃には 鏑木慶一を信じ、好きになり、助けてやりたいと思うようになっていました。「 鏑木慶一」が私の中で像を結んでいました。そこまで至っての最終エピソードでしょう。切なすぎる結末ではあるけれど。

というわけで。次はどうしよう。
ドラマを観るか映画を観るか。

映画『正体』(Netflix)

映画『正体』公式サイト

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