『シックスセンス』で思い出すことなど

『NARUTO』の作者、岸本斉史氏が、行こうと思ってた映画『セブン』のストーリーを全部聞かされちゃった話は、涙と笑いなくしては読めないが、あれを読んでいて思い出したことがある。

映画『シックスセンス』を妻と観に行った時のこと。
★以下、モロネタバレは書きませんが、これからまっさらな気持ちで『シックスセンス』を観たいという方は読まないでください。

『シックスセンス』にはストーリーだか設定だかに秘密があるから観た人はそれを話しちゃいけないよ、って宣伝してたやつ。
でもその「秘密」以外の情報は流し放題で、幽霊が見える少年と探偵の話だよ、とか、幽霊はこんな感じだよ、とかは見せられてからの鑑賞だった。
「秘密」があるよと言われればそれは何だろうと考えるのが人情というもの。
私は思った。
おおげさに秘密秘密言ってるけど、公開されてる設定から考えれば、秘密はあれかあれがあれに違いない。どっちがあれかってことだが普通に考えたらあっちがあれだが、まさかそんな誰でも想像ついちゃう秘密なわけない、ってことは意表を突いてあっちがあれか、もしくはまったく想像もつかない秘密なのかも?
とかいろいろ考えながら劇場に足を運んだ。

映画が始まってすぐ「この映画には秘密があるけど人に話しちゃダメよ」と念を押されたが、その直後、話が始まって最初のシーンで、一番簡単な、「あれがあれでした」というのが「誰にも言っちゃいけない秘密」だろうというのがほぼわかっちゃって、それでも「まさかそんな簡単なわけない」と、他の秘密を見つけようと一生懸命鑑賞していたが、その後あれがあれであると意識してればわかるようなシーンが続いて、「やっぱりあれがあれってのが秘密とやらなんだ。大げさに言うなよ」と興ざめして観つづけた。

話は進み、終盤、いよいよ本人が、自分があれだと気づくシーンになった。
劇中で、あれが、自分があれなんだと気づいた瞬間。
「えっ?」
妻が隣で声を出した。
(えっ?)私も心で思った。

帰り道。
妻はしきりに、「あれがあれだったのかぁ、そうだったのかぁ」と感心している。
やはりあの瞬間まであれがあれだとは気づかず映画を観ていたようだ。
なんて幸せなんだ、なんて幸せに『シックスセンス』を観たんだ、この人は、と思った。と同時に自分を恥じた。
なんて汚れた人間なんだ俺は。秘密を暴いてやろうだなんて。
素直に観ればよかったのだ、この人のように。素直に観てあそこで一緒に「えっ?」と言えば良かったんだ。それが人間というものじゃないか。

でも、俺が素直に観れなかったのは、「秘密があるよあるよ」と言い立てた宣伝のせいなんだよなぁ。ある意味ネタバレ。「大きな秘密があるよ」とバラしてる。
やっぱり映画は事前情報ゼロに近い状態で鑑賞するのがベストだよなぁ。でもほんとにまったくなんにもわからない映画なんて観に行かないけどさ。


あ、でもね、そういうとこ外せばいい映画ですよ。ってもう遅い。

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