あの有名なアニメの実写版みたいな作り方かと思ったら全然違いました。原作もアニメも知らなくてもちゃんと観られる映画になってました。
原作は読んだことありませんが、ウェイトのかけどころがアニメとは違うのかな、と思いました。
松田聖子のお母さん役はどうかと思って観てましたが、実際出演している場面では松田聖子は松田聖子にしか見えなくて、ああ、松田聖子は松田聖子だなぁ、としか感じませんでしたが、あとで、兄妹が食べたいものを言い合うシーンで、兄が「おなかこわしたらリンゴすってガーゼでしぼってくれたな」っていうセリフがあるんですけど、そこでちゃんと優しいお母さんの松田聖子が擦ったリンゴをガーゼで絞ってるシーンが頭に浮かんだんですね、私の。
ああいうとこで回想シーンとか入れちゃうと臭いだけですが、観客の頭に浮かぶようになってるわけですよ。
これは松田聖子だったからなのかな、と思いました。松田聖子の、あの、ちょっと際立った容姿だからいい具合に浮かんだのかな、と。
あれがもっと現実的な美人の女優さんとかだったらああいう浮かび方はしないかな、と。
すぐあとにちょっと怖い夢のシーンもありますが、あそこも松田聖子ならではかなぁ。
って、決して松田聖子を鑑賞する映画ではないのですが。
松坂慶子の意地悪だけど懸命に生きてるおばさんもいい具合でした。
アニメ版を劇場で観たときは「かわいそうな話だなぁ」くらいの感想でしたが、子どもをふたりもった(ひとりはもう成人してますが)いま観ると大人には責任というものがあるよなぁ、子どもにこんな想いさせちゃダメだよなぁと、当時とは違うところに重さを感じます。
アニメ版がものすごくよくできてるので便乗映画みたいに思われてるかもしれませんが(私も観る前はそう思ってました)、最初に書いたようにエピソードのウェイトのかけ方の違いが興味深かったのと、なにより人間が演じてるよさが感じられる映画でした。
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