625 ペコが教室でスマイルに話しかけたところで呼ばれたよ(いつもの歯医者にて)

まぁほんと、もう驚きもしないね、銀歯が取れてもさ。今朝のことだけどさ。
驚かないっていうより、俺くらいのベテランになると、「そろそろだな」ってのがわかるんだよね。「そろそろガリっだな」ってさ。「ガリカチだな」ってさ。それが今朝だったってそれだけのことさ。
ここしばらく「はずれの波動」みたいの感じててさ。そしたら今朝、ね。もう超能力。テレ歯シー。

というわけで会社を早退して歯医者へ。
年度末有休休暇消化作戦遂行中の私としてはなんか半端で不本意な取り方。
そうだ。歯医者行ったら松本大洋の『ピンポン』読まなきゃ。こないだはすぐ呼ばれちゃってほとんど読めなかったからな。きょうは予約なしだったから待たせてくれるかな。でもちょっと間が空いちゃったから最初から読まなきゃ。
ペコが部活サボったのをスマイルが呼びに行ってペコは賭けピンポンに勝って新しいラバーが買えてなんだかんだあって教室で卓球雑誌を読んでたペコが上海卓球少年の留学の記事を見つけてそれをスマイルに教えててらださ〜ん。あ、呼ばれちゃった。

きょうはずれたのは左下一番奥の歯。
こんどここが取れたら作り直しましょうと、先生と男と男の約束をした誓いの奥歯だ。
「はずれにくいように形を整えましょうね」と先生。
おう。俺も男だ、やってくんな、ばっさりやってくんな。
「痛かったら左手を挙げてくださいね」
おう。俺も男だ、ばっさり挙げてやるぜ。
チュイーン—–
痛い痛い痛い。
「もう少し整えたいので麻酔射ちましょうね」
おう。俺も男だ、射ってくんな。清原なみに射って射って射ちまくってくんな。
三回に分けて麻酔を注射。

麻酔を射つと痛くないのはいいのだが、麻酔を射ってなかったらかなり痛いことをされてると想像するとちょっと怖い。
俺も男だちょっと怖い。
そこで。
妄想力に長けた私はこう想像することにした。
治療をしている左下最奥歯を中心に、私の口の中には、直径6センチほどの穴がぽっかり空いている、と。
さっき射ったのは麻酔ではなく、局部異空間転移薬だったのだ!
治療に必要な部分だけ異空間に転移し、現在の私の口の中には何もない穴だけが空いているのだ!無空間なのだ!
そして異空間での治療を終えた後にまったく痛みをともなわずに(←ここ大事)元どおりに戻ってくるのだ!

「はい、じゃ、もう少し整えますね」
歯科医がチュイーンとやりだした。何も無い空間にチュイーンと。あははバカじゃねーの、何も無いのに。チュイーンチュイーン、か?穴にむかってチュイーンチュイーンチュ、
って痛ってーよ!
さっきほどじゃないけどそこそこ痛いよ!異空間とそこそこ神経つながってたよ。
でも俺も男だ。そこは耐えたね。苦痛に負けて左手を挙げたりしないように右手で押さえたね。こいつなにやってんだと思われたね。でもいいや。

こうして。
思わぬペインに耐えた私の新しい銀歯は来週できあがるのであった。
あーっ!!
今思い出したけど今年の初詣で、「今年は銀歯がとれませんように」ってお願いしたんじゃん!まだ二ヶ月半だぜー。まったく神も仏もありゃしない。

blinktasu

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