本を何冊か並行して読むのは誰にもよくあること。
電子書籍がデカいツラをしはじめた昨今ではなおのことマルチ読書がデフォルトである。エニウェアエニリード。どこでもなんでも読書だ。
読み終わったら感想をブログにアップしようと思いながら読書してるが、読み終わったらなんか「もうおしまい感」に支配されて、どうも「書き時」を逸してしまうことが多い。せっかく読んでいるのにネタにしないなんてもったいない。
というわけで今読んでる本を現時点の感想とともに並べてみるよ。
小説部門
船戸与一『蝦夷地別件』
なんと未読だったんですねー。僕のバカ。現在中巻の終盤、電子書籍でいうところの87%あたりを読んでます。アイヌがついに和人に戰を仕掛けて、でもアイヌたちも分裂して、ってもうなんかハラハラせざるを得ないあたり。
読み始めた時は『砂のクロニクル』と似た構造なのかなと思ったけど日本の話だけにこっちに迫ってくる力が強い。
蝦夷地別件 上 (小学館文庫)
船戸与一
小学館 2012-01-12
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エッセイ部門
村上龍『すべての男は消耗品である』
村上龍の1984年8月〜2013年9月までのエッセイをまとめた電子書籍。
何年ぶんだ?29年?すげー。
今2005年あたり(72%)までたどり着いたけど、面白いんだよね、昔のも。
当時の事件とかにも触れていて「あー、の頃かぁ」みたいな気分も味わえる。
でも昔から正しいこと言ってるよね、この人。
予言とまではいわないけど、「このままだとこうなっちゃうよ」っていうのが今読むといちいち正しかったのがよくわかる。
「スキルが身につかない仕事をしている若者が30歳40歳になって、騙されていたことに気づいた時にどんな行動を起こすか心配だ」というようなことをわりと繰り返し言っていて、今の、重いところでは自暴自棄的通り魔殺人、少し軽いところでは違法行為動画のSNSへの投稿のような、「能力も努力も訓練もひらめきも必要ないけど、人として大事なことを捨てたことを示すことで自己の存在を他人に存在を知らせようとする行為」をするやつの言い草はほとんどこのパターンに当てはまると思うよ。
読む価値のあるエッセイだと思うけど、まとめて読むと文章に癖というかパターンがあるのに気づく。
何か、日本的なやり方や組織のあり方などについて、批判的にとれることをひとしきり書いてから「〇〇について批判したいわけではない」と方向を変えたり、どこか海外で優雅に美味しいワインを飲んでいるというようなことを書いてから「それを自慢したいわけではない」と書いてみたりという文章が多い。
これは、読者を一度ある方向へ引っ張っておいて、読者が「ああ、こういう話か」と思い始めたあたりで、「違うよそっちじゃないよ」と方向を変えさせ、結果的に主導権をとるための著者のテクニックじゃないかと思うんだけどどうだろ?
すべての男は消耗品である。VOL.1~VOL.13: 1984年8月~2013年9月 連載30周年記念・完全版
村上龍
村上龍電子本製作所/G2010 2014-06-16
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評論部門
町山智浩『最も危険なアメリカ映画』
アメリカ映画とアメリカの社会との関係を解説した本。
観たことはおろか、タイトルを聞いたこともない映画が並んでるけど、それぞれに隠された意味があって、この人が書くとその映画を観たくなっちゃうんだよねぇ。現在三分の一くらい、第6章まで読みました。面白い。
最も危険なアメリカ映画 『國民の創世』から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』まで(集英社インターナショナル)
町山智浩
集英社 2016-10-31
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ドキュメンタリー部門
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ (三浦 みどり訳)『戦争は女の顔をしていない』
第二次世界大戦に従軍したソ連の女性から聞きとった話をまとめたもの。
ソ連軍というと日本人には複雑な思いを持つ人もいるだろうが、ほとんどドイツ軍相手の戦闘の話。
500人以上から話を聞いたらしいが、みずから戦争に行って戦いたかったと語る人が多いのが意外に思えた。そうじゃない人もたくさんいるけど。
ひとりひとりの話は短くて、大きな戦争のほんの断片なんだろうけど、その集積は大きな形を描く。
戦後、男の兵士は英雄的に扱われたが、女性たちは「戦争に行った(人を殺した)女」として後ろ指を指されるような扱いを受けることもあったそうだ。
今回紹介した中ではこれだけ紙の本で読んでます。なんかねーそうなってきちゃったんだよねぇ。でも岩波文庫の紙は手触りとかめくり具合がなんかしっとりしてていいんだよねぇ。あと20ページくらいで読了。
戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦 みどり
岩波書店 2016-02-17
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そんなわけで、2017年1月の、今こんなの読んでますのお話でした。本当のところもう何冊かだらだら読んでるのがあるんですが、長くなったのでこんなところで。ではまたいつか。
https://oto-ra.com/?p=2963