オトーは月刊スターログと  #6 : 1985年1月号

その昔発行されていた伝説のSF雑誌「月刊スターログ日本版」。私の手元にある中から行き当たりばったりに選んだ一冊を語るコーナー奇跡の第6弾。今回は新春3大SF映画特集号となった、

月刊スターログ日本版NO.75:1985年1月号 定価680円

 

表紙

裏表紙(今回は特別!)

目次:こいつら誰?

巻中ピンナップは両面カラーで『ゴジラ』と『ゴーストバスターズ』のカレンダー。ちなみに1985年の4月15日は月曜日でした。だからなんだ。

そのころ映画は3Gだった

特集された3大SF映画というのは「3Gムービー」とも表記された『グレムリン』“GREMLINS”、『ゴジラ』“GODZILLA”、『ゴーストバスターズ』“GHOST BUSTERS”の3本。
当時私が劇場で観たのは『ゴジラ』(1984)だけでした。
ゴジラシリーズは前作の『メカゴジラの逆襲』が1975年公開なので、9年の空白の後の再開。ちなみにゴジラ映画空白期間最長は『ゴジラファイナルウォーズ』(2004)と『シン・ゴジラ』(2016)間の11年半です。
長い空白の後は大人向けに舵を切るようで、この84年『ゴジラ』も政治家の対応や国際問題を盛り込んで、大人の鑑賞を意識した映画になってました。ただ、重厚を目指したおかげでちょっともっさりしてるようにも感じました。細かい見どころとしては、田中健が遭難した漁船で死体を見つけて驚くシーンは必見です。
公開直後、池田憲章が「60点プラス1、2点」というような表現で、ダメでもないけど足りないものもそこそこあるというような評価をしていたのを覚えてます。
この号では新作が1954年の第1作の続編であるという設定の部分や、ミニチュアの撮影現場が紹介されています。
月刊スターログは1987年で休刊となってしまうので、1989年の『ゴジラVSビオランテ』は当然掲載されることなく、ゴジラシリーズが新作映画としてスターログに載ったのはこの84年『ゴジラ』が最初で最後なのでした。

当時は劇場にはいかなかったけど後に観てとっても好きになったのが『ゴーストバスターズ』。笑ったなぁ、マシュマロマンが落下するときの顔とか。
記事はメイキングに加えて羽仁未央の「「ゴーストバスターズ」に恋狂い」というエッセイも載っています。本当に愛してるみたいです。
『グレムリン』の記事はジョー・ダンテ監督インタビュー。最初のシナリオは、子供とグレムリンの血なまぐさい戦いが中心で、母親がグレムリンに殺されて首がゴロゴロ転がるようなシーンもあったんだけど、スピルバーグに止められたんだそうです。思わずそっちの方が観たいなーと思っちゃいましたが、スピルバーグが止めた理由は「映画は万人のもので、一部の欲求不満者たちのためだけのものではない」だそうです。はいはい。欲求不満者ですよ。
というわけで完成した映画は恐怖映画風ではなくおとぎ話風になったそうです。
まぁ、血なまぐさくて首がゴロゴロする映画は他でいくらも見つけられそうだからね。





そのころ漫画は『AKIRA』だった

当時「ヤングマガジン」で連載中だった大友克洋の『AKIRA』が、二人のアシスタントへのインタビューという形で特集されている。
なんだ本人インタビューじゃないのかよと思ったけどこれはこれで面白い裏話満載でした。
『AKIRA』に斜線が多いのは、最初のころアシスタントのやることがなかったから斜線ばかり引かせてたのがはじまり、とか、大友克洋は資料がなくてもヘリコプターなどのアングルを変えた絵が描けるけど、アシスタントが自分には描けないというと「簡単じゃねぇか、頭の中でキュッとこうやればいいだけだろ」と言われた、とか。
この「頭の中でキュッと」は、すごく印象に残ってて、私も絵を描くときに意識して「キュッ」っとやってみようとしたけど、たいてい「キュッ」じゃなくて「グニョッ」って、変に歪んだ絵になっちゃったものです。普通の人に「キュッ」は無理なようです。

そのころいろいろ映画化が予定されていた

その他SF映画界の細かい情報も載っていて、アルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』、フィリップ・K・ディックの『追憶売ります』が『トータル・リコール』のタイトルで、A・E・ヴァン・ヴォークトの『スラン』が、映画化予定作品として挙げられている。
この中で映画になったのは『トータル・リコール』だけですね。

そのころ『ターミネーター』は『ザ・ターミネイター』だった。

この号ではアーノルド・シュワルツェネッガーが未来から来た機械人間を演じる映画『ザ・ターミネイター』が紹介されていた。
特集の3作といい、『AKIRA』『ターミネーター』と、今でも誰もが知っていて、続編も作られ続けてる作品が並んでいるこの号はなかなか壮観です。そういえば『トータル・リコール』もシュワルツェネッガーが主演でしたね。

そのころ読者は欲しがっていた

この号の読者コーナー「LOG COMMUNITY」で読者が欲しがっていたのはこんなものたちでした

*マルサンのソフト人形ガラモン(尾の動くもの)
*バンダイの巨大ソフト「モスラの幼虫」を5000円くらいで
*明治から出ていたスーパーマンおかしのおまけ
*タカラのニューGIジョーの初期シルバー仮面
*トリプル・ファイターに関する物

などなど、でした。
それでは「オトーは月刊スターログと」#6はここまで。#7までごきげんようさようなら!

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