テレビ放送の録画や、動画配信で観た映画をひと言感想付きで並べてみます。
ゲット・アウト“Get Out”
Amazonプライムビデオがしきりにおすすめしてきた『ゲット・アウト』。
椅子に座った黒人がすげー顔してるサムネイルが強烈で(何されちゃってるんだこの人)、ちょっと引いてましたが、とうとう鑑賞。
あのサムネイル(DVDのパッケージも同じ写真)を見ちゃうときっととんでもなく嫌なことが起こるんだろうなぁ。と思いながら観ているので、日常的な場面でも、そのうち何もかも嫌なことにつながるような不穏な空気が漂います。
黒人の青年が白人の彼女の両親に会うために、田舎にある彼女の実家を訪れることになるのですが、彼は受け入れてもらえるか心配です。
彼女はうちの両親は「大丈夫」だと言いますが彼の不安は払えません。
メインの「嫌なこと」は徐々に明らかになるのですが、それと直接関係ないちょっとした言葉や態度が「ああ、差別ってこういうのなんだな」と思わせます。
体力だとか体格だとか趣味嗜好だとかの先入観からの会話で神経がすり減っていく感じ。
メインの嫌なことは非現実的なのですが、日常的な差別が積み重なった果てに「メイン嫌なこと」があるとも取れるので、大きなテーマは「差別」なのでしょう。
全体的に狂った不気味な雰囲気のある映画でした。
没になったもう一つの結末というのもあったそうで、それが収録されたソフトもあるようです。
私としては「そうなっちゃうのかな〜。嫌だな〜、でもきっとそうなっちゃうんだろうな〜」と思いながら観ていましたがそうならず、そうならなかった結末が「没になった結末」のようです。
嫌な結末ですが、そっちの方が映画としては完成したんじゃないかなぁ。
ブンミおじさんの森“ลุงบุญมีระลึกชาติ” 英語タイトル“Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives”
タイの映画です。
森の奥で農場を営むブンミおじさん。死期が近いことを悟り、亡き妻の妹ジェンと、親戚の青年トンを招きます(二人は都会から車でやってきます)。
三人で食事をしていると19年前に死んだブンミおじさんの妻フエイの幽霊が現れます。ふわ〜っと実体化して椅子に座ってます。
あの世は風の音ばかりで寂しいけどお祈りやお供物で慰められる、というような話を静かに語ります。虫の声が聴こえます。
そうこうしているうちに今度は全身毛に覆われ、真っ赤な目を光らせた猿人が現れます。
ブンミとフエイの息子ブンソンです(って)。
毛も顔も真っ黒です。フエイに「随分毛が長くなったわね」とか言われてます。
そうです。これは理解しようとしてはいけない映画なのです。ただただ静かに受け入れて味わう映画なのです。
全体的に不思議な空気に包まれていますが、最後に明らかに不思議な、現実ではありえない場面で終わります。
タイの人ならあの場面の意味がわかるのかなぁ。
私は全くわかりませんでした。
タイというとムエタイくらいしか思いつかない私ですが、とっても静かでじわじわ来る映画でした。
リアリティのダンス“La danza de la realidad”
アレハンドロ・ホドロフスキーといえば、「『DUNE』を撮れなかった監督」、として、昔から名前だけは知っている人でした。
別監督によるドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』は以前鑑賞しましたが、ホドロフスキー監督作品は初めて。
映画の最初にホドロフスキー本人が出てきてお金の話をするのでお金にまつわるお話なのかな、と思いましたがそういう話ではありませんでした。なんだったんだろあの場面。
ブロンドのロングヘアーの少年(最初は女の子かと思った)が出てきますが、名前が「アレハンドロ・ホドロフスキー」。どうやら監督の少年時代のことが下敷きになっているようです(ホドロフスキー本人も劇中に登場します)。
でも、たくさんのエピソードのうち、どれが事実に基づいていて、どれが幻想なのかわかりません。現実離れしたような出来事も、少年時代のホドロフスキーにとってはどれも事実だったのかな、とも思いました。
両親がいろいろ無茶苦茶な人たちで、アレハンドロ少年は苦労してます。
でも基本両親を愛してるので、二人の期待に答えようと頑張ります。
なかなか遠慮がない映画で、両手両脚を失った傷痍軍人が上半身裸で出てきたり、回想シーンのアレハンドロのおじいさんがちんちんぶらぶらさせたりしてました。
映像の話で言うと、はじめの方の、海から大量のニシンが打ち上げられて、それを大量のカモメが追ってくるシーンはびっくりしました。なんかこう、押し寄せてきましたよ。
『ホドロフスキーのDUNE』も今ならプライム対象で観られます。
ホドロフスキーはバンド・デシネの原作も書いていて、メビウスの『アンカル』なんかもホドロフスキー原作ですね。
霊魂の不滅
1921年のスウェーデン映画。
元々はサイレント映画だと思いますが、音楽と日本語字幕が付いています。
人は死ぬけど霊魂として残るよ、みたいな話だと思うのですが、そういうとこはどうでもよくて、付いてる日本語字幕が翻訳ソフトまんまで、なんとなくわかるところと「何言ってんだ?」みたいのとあって気になってしょうがないです。
原語を解さないので字幕の良し悪しを論じられるわけないのですが、まぁ、それ以前の問題ですよね。
過去の映画自体が観られなくなるより、こんな字幕でもあったほうがいいのかな、とは思います。
それでちょっと思ったのですが、字幕作成AIみたいので字幕を自動でアップデートするようにできないかな、と。
どんどん字幕の精度が上がってくのね。それをちゃんと表示する。「字幕ver.2.1」とか「字幕ver.3.2.5」とか。
お好みで前のバージョンも見られるようにしてさ。
「バージョン2のほうが味があったよね」みたいな会話もできるわけですよ。
そんなことに気を取られて集中して観られなくなったので途中で観るのやめちゃいましたが。
死神(?)が馬車で死人の霊魂を集めるシーンはちょっと怖い感じでした。