いつも読んでいるブログで紹介されていて、面白そうなので購入して読んだら面白かったです。
実は篠田節子という作家を知リませんでした。今回Wikipediaで調べたところ、作品名だけは「なんか聞いたことがある」というのがいくつか。
多作で多くの受賞歴があり、紫綬褒章も受章している大ベテランの大物。SFやホラー系の小説も多いようで、日本SF作家クラブにも所属しているそうです。
知りませんでした。
カテゴリー名「活字の子」とかかましといてこんなもんです。まだまだ子どもです。というか、いろいろ知らないままこの体は朽ち果ててゆくのでしょう。
9章立てで、登場人物が少しだけ重なり合いながらも入れ替わり、時代もやや過去から始まって、近未来、ほぼ現代、太平洋戦争中と、行ったり来たりします。
行ったり来たりしながら北海道にある「岬」の謎が語られます。
ある条件が重なった時にしか辿り着けない「岬」に、どうしても行きたい人がいて、大事な人がなぜそんなところへ行きたいのか理解できなくて、でも理由を知りたいという人が右往左往して最終章で「岬」の謎が明かされる、という構造になってます。
その、「なぜそんなところへ行っちゃうの?そもそも岬ってどこ?そこでは何が起こっているの?」という謎に引っ張られてどんどん読み進んじゃいます。読者は完全に「右往左往側」で右往左往しちゃいます。
この辺りで登場人物と一緒にいろいろ想像するのがいいですね。
「岬」へ行ってしまうのはなんていうか「清廉」な人ばかりで、世俗から縁を切ったような発言をするので、カルト宗教みたいのに騙されているんじゃないかとみんな思います。私もそう思います。
でもなんだかそうでもないみたいなことになって、じゃあなんだよと思いながらさらに読み進むことになります。
こういう小説は謎の答えを想像しながら読んでいる間が面白くて、謎が解けると「ふぅん」みたいになることも少なくないのですが、これは、解決編にもじっくりページを割いているため、あっけないとか「なんだそんなことか」という気持ちにはなりませんでした。
この本の中での謎が全て解けた直後にある災厄が起きて物語は幕を閉じるのですが、私はそこで映画『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』のラストを観た時の気分を思い出しました。災厄は終わらない。問題は次々襲ってくる。現実とフィクションが地続きになる瞬間。
そういえばヒグマに襲われるシーンは「怪獣映画」とまではいきませんが、よくできた「モンスターパニック映画」みたいで怖かったです。
謎とサスペンスにアクションも有りの娯楽要素に作者の、現代社会や文明に対する危機感みたいのも織り込まれ、ちょっと村上龍みたいだな、と思いました。
ややマイルドな村上龍。
タイトルに書きましたが、NHKでドラマ化したら面白そうだと思いながら読んでいました。
90分枠で六夜連続、とか。
ほとんどが中年以上の登場人物なので、そのままだとかなり地味なビジュアルになるでしょうが、そこはほら、ね、なんかいい具合に脚色してさ。
というわけで初めての篠田節子、大当たりでした。
他の本も面白そうなのがたくさんありましたので、今後の読書計画に織り込んでいこうと思います。
とりあえずこれとか面白そうなんですけど↓
もうね、「ロズウェル」って響きだけではぁはぁしちゃう。