これもあれもたぶん愛。映画『必殺! III 裏か表か』を観たら

「そんなに必殺好きなのか?」
と問われれば
「いや、そんなでは…」
と曖昧に言葉を濁したい私ですが。
「シリーズ一挙放送」とか言われると全部観たくなっちゃう。そんな性癖。

というわけで若干義務のように『必殺! III 裏か表か』を鑑賞。「! III」の部分が老眼には判別しにくいですね。どうでもいいけど。
前作『ブラウン館の怪物とは』とは正反対のハード展開でした。
今回はネタバレ的感想になりますのでご注意ください。

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両替商が悪いやつで、そいつをゆすろうとした主水の同僚が殺され、それ以外の事情もあって主水が巻き込まれ、ハニートラップ的なものに引っかかってたら相手の女が死に、上司から暗に「腹切れ」みたいなこと言われたり、仕事中でも危険な現場に一人で放り込まれ傷を負ったりと、身も心も追い詰められていきます。
しかし主水はそのたびに「こんなことで腹は切らない」「俺はこんなことでは死なない」と、しぶとく生き残る宣言をします。
この辺カッコいいです。
テレビ版ではユーモア担当の筆頭同心田中様やせんとりつも主水をかばったり励ましたりといつもと違います。そのあたり、私は感動しましたが、主水の反応は極めてクール。どんどんハードボイルドになってます。

自分にハニートラップを仕掛けた女が自殺に見せかけて殺されたと知り怒り心頭の主水は反撃に出ますが、それがまた敵の怒りを買い、卑劣な罠で捕えられ、ある島にある敵本拠地に連行されます。
敵用心棒がウヨウヨいる島で絶体絶命中村主水!でしたが、危ういところを仕事人仲間の竜、政(鍛冶屋に転職済)、壱と参、そして秀(ニュー髪型)に助け出され、島内に潜伏します。
そうです。テレビシリーズ『必殺仕事人V・激闘編』に登場したはぐれ仕事人、壱(柴俊夫)と参(笑福亭鶴瓶)が出ているのですこの映画。その頃ってことなんですね。ちなみに弐(梅沢富美男)は出てきませんでした。

主水救出には成功しますが、参は逃げ損ねて殺されてしまいます。
斬首され、晒されます。このシーン、かなり怖いです。頭の造形がちょっとアレかな、とも思いましたが、あの首がリアル過ぎたら怖すぎて見ていられないかもしれません。

逃げ延びた仕事人たちは小屋に潜伏し、加代も加わり情報交換。みんなで「あいつらみんなぶっ殺してやる」という意思確認。
ひたひたと小屋に迫って来る大量の追手。
ここからはクライマックスの長い長い戦闘シーンが続きます。先陣を切った竜は殺されてしまいますが、他のみんなはラスボスのいる屋敷に乗り込みます。

しかし敵は数多。主水はともかく、かんざしや鍛冶屋のなんか尖った道具で刀を持った相手に敵うはずがありません。
中でも「素手」の壱はかなり頑張り、敵の刀を奪って検討していましたが、ついに追い詰められ刺し殺されてしまいます。
そもそも彼らの技術は暗殺のためのもの、正面からぶつかる戦闘では勝ち目はありません。
その分、中村主水が大活躍。斬って斬って斬って斬りまくります。多分中村主水最高記録ではないでしょうか。めちゃくちゃかっこいいです。

というお話なのですが、実はちょっとわかりにくい作りで、繋がりがわからないところが結構あったりします。
話を線で繋げなきゃならないところを、点を粗く打ってる、みたいな感んじ。その「点」の完成度が高いので、繋げられないのは自分の集中力不足のせいかと思ってしまいます。
松坂慶子が謎の多い女、みたいな役で出ていて、ことの発端から結末まで関わっているのですが、話が進んで色々明らかになってきてもちょっとどういう人で何をしたいのかよくわからないままでした。意味深なセリフもたくさんあるのですが、意味がわからず、「綺麗な人だなぁ」とポカンと画面を眺めているばかり。
秀といい仲になるのですが、それも取って付けたような印象でした。


鑑賞後調べたところ、本来上映時間3時間程度を見込んで製作していたところが、2時間程度(2時間6分)の上映時間に変更になったのだそうです。
ファンの間で3時間完全版を求める声も根強いそうですが、3時間の完成版があったわけではなく、本編未使用のカットがそこそこある、という程度らしく、完全版公開は夢でしかないようです。残念。
主水の主観以外はみんな周辺事態、くらいに割り切って観れば腑に落ちる作りなのかな、とちょっと思いました。

そんな欠点もありますが、「最終回が悲愴なほど傑作」というのが私の「必殺評価基準」なので、知ってる仕事人が3人も殺され、結末も「悪い奴らを皆殺しにしてスカッと」しない(全然しない)この映画はかなり楽しめました。

最後に蛇足。
今回もBS松竹東急の放送を録画して鑑賞しました。
録画一覧のサムネイル画像がちょっと笑えたので写真を貼っておきます。

殺!以上!
わかりやすい!
ちなみにその下の『必殺仕掛け人』もBS松竹東急です。
BS松竹東急の映画放送、CMは入りますが基本ノーカットで、なかなか渋い映画をやってくれるので割と好きです。

前作『必殺! ブラウン館の怪物たち』の感想はこちら↓

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