娘(中1)が夏休みの宿題用に買ってきた課題図書が面白そうだったので読んでみたら期待以上に面白かった。これは映画化されるよ、きっと。長さもちょうどいいし、アクションもサスペンスも気の利いたセリフもある。
個人的に大きな厄介ごとを抱えた13歳の少年イールが、社会的な大きな厄介ごとと関わり、どちらも解決してゆく物語。
その解決の力となるのが、「誠意」「義務感」「隣人愛」「友情」「合理性」「教育から得た知恵」といったものなので、読後本当に気持ちがいい。
現実世界でも、そういう正しいものこそが問題解決の力であってほしい。
冒頭から主人公イールは、どうにも絶望的な状況にいる様子なのに子ネコや小さな子どもに優しかったり、困ってそうな隣人に声をかけたりと、不幸に負けない強くていい子として登場する。でもこの冒頭のエピソードも単に主人公の現状を描写するだけでなく、後々重要な意味を持ってくるので、丁寧に心に刻んで読むべき。
イールの個人的厄介ごとは小出しに明かされて、物語の引きになっているが、その間に社会的なほうの厄介ごとも進行していき、イールがそちらにも関わり、役目が大きくなるにつれて、ふたつの厄介ごとがいつぶつかるのか読んでるほうは気が気じゃない。
それもこれもイールがいいやつだから、何もかもうまくいってくれって願っちゃうんだな。
作者はデボラ・ホプキンソン(Deborah Hopkinson)、原題は『THE GREAT TROUBLE』。翻訳サイトで機械翻訳したら「ものすごい悩み」だって。うーむ機械じかけめ。映画化の際の邦題は『ブロード街の12日間』のままがいいかな。
実際にあった事件を元に書かれているが、どこがどうで誰が実在で誰が創作かなどは、最後の「著者の覚え書き」に詳しく書かれている。
現在の状況に絶望を感じてる人に勇気を与えうる良書。
ブロード街の12日間
デボラ ホプキンソン 千葉 茂樹
あすなろ書房 2014-10-20
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