長い!エロい!でも長いのにもエロいのにもわけがある、半村良 著『完本 妖星伝』を(やっと)読んだよ。

半村良の『妖星伝』がなんかすごいらしいと聞いたのはあれはいつだったろう?
でもそれを知った時には何冊も出ていて、なんか「追いつけない感」から手を出せなかったのは、あれはいつだったろう?
それから幾星霜。半村良作品がamazon Kindleストアでお買い得価格で並んでいたのはあれはいつだったろう?
もうなんにも覚えてない。歳だから。

というわけで、今回、電子書籍版で読みました。ええ読みましたとも。文庫で約 2,500 ページの分量。読み続けましたとも。そして読み終わりましたとも。
やまない雨はない。明けない夜はない。そして。
読み終わらない本はない。

最近は寄る年波で目が疲れやすいので、愛用のkindleの文字を大きくして通勤電車で読んでいたが、ちょいちょい出てくるエロシーンを大きな文字で読むのはなんだか気恥ずかしい。
誰も私のkindleを覗き込んだりしないだろうが、「全裸」だの「乳房」だの「股間」だのといった単語(さらにはここに書けないようなもっとエロい単語)がデカイ文字で表示されている端末を読み続けるのはちょっとした羞恥プレイである。
もしも。
もしも偶然誰かに見られたら。「女体」だの「たわわにうれ切っている」だのといった文字を見られてしまったら。何しろデカイ文字だし。
デカくてエロいその文字列を目にした人はきっとこう思うだろう。
「このオヤジ、エロいぞ。エロい上に老眼だぞ。エローガンだぞ」

しかし。
読み始めた頃はいわゆる「つかみ」のためにエロシーンを取り入れているんだと思っていたが、終盤になって、そのエロこそこの「妖星伝」という物語の大事な要素であると明かされる。
なぜエロいのか?なぜこの星に生を受けたものはすべてエロに邁進するのか(してないか?)?
このエロの秘密は物語の設定上のものだが、現実でも、「そうか。エロでいいんだ。っていうかエロっつたってそもそもは生殖のためのものじゃないか。何を恥じ入ることがある」という気持ちにさせてくれる。
生きればいいのだ。たとえ心はエロくても。

長い物語だが、宇宙、時間、進化、生命、といった大きなものから、人間ひとりのささやかな幸せの感じ方まで、大小の要素で構造されていて、これだけの長さは必要だよな、と思った。
前に書いたけど吉川英治の『宮本武蔵』の水増し感とは正反対。納得の長さ。
読み始めた時には、先は果てしなく長く感じたけど、どういう話か見え始めてくると、いつまでも読み続けたい気持ちになる。長い物語はこうでなくちゃね。

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