燃えつきろ特撮最終回#8『ファイヤーマン』

昔々の特撮番組の最終回を、よせばいいのに今さら視聴してネタバレ紹介する企画の第8回は、地底の大陸からやってきて地球の平和を守る『ファイヤーマン』。
地底人も地球人ではありますが。


1973年の1月放送開始なので、私は小学3年生でした。担任の伊藤先生に、掃除をサボってるのを叱られてた頃です。
なんていうか普通に観てました。特に好きでもなかったと思います。
大人になってから観た感想は、「ファイヤーマン、弱そう」。
目玉が異様にでかくて、そのためか頭部も大きめ、体には仮面ライダーの胸に付いてるのに似た筋肉っぽい形状がみとめられますが、体と同じ赤色の素材が薄く貼りついてるだけなので、パワーを感じさせる筋肉というより、肋骨が浮いているように見えて、かえって貧弱に見えてしまいます。変身しないで岬大介のままの方がよっぽど強そうです。角刈りだし。
あと、主題歌は子門真人なんですが、なんでしょうこの「力が余ってます」みたいな歌いっぷり。あらためてすげーな、と思いました。

というわけで、弱そうに見えるけど地球を地球を守り抜いたファイヤーマンの最終回です。

『ファイヤーマン』最終回(第30話)「宇宙に消えたファイヤーマン」

 
ファイヤーマン

土手に乗用車が停まると野球のユニフォームを着た少年たちがとび出してきました。ひとり、ふたり、さんにん…、8人!
少年たちは土手を駆け降り腰くらいまでの雑草の中で野球を始めます。
8人の少年たちを乗せて車を運転していたのはファイヤーマン岬大介。地球を守る防衛組織SAFではよくある光景です。
そんなのんびりした日常を過ごすSAFに緊急通信が!
宇宙を監視する有人衛星にミサイルが接近しているというのです。もう逃げることはできないくらいに接近しています。
さらに、宇宙ステーションに常駐しているのは、さっき岬大介が土手で降ろした野球少年のひとり、橋村タカシくんのお父さんであることがわかります。
SAFはアンチミサイルで迎撃しようとしますが間に合わず、監視衛星は破壊されてしまいます。
ミサイル攻撃の後に地球にやってきたのは、これはなんでしょう、岩みたいな肉みたいな球形の本体から銀色の金属質のとんがりやアンテナみたいなメカが飛び出してる不気味な “飛行物体X” でした。ちょっと蜂の巣アートのようにも見えます。
飛行物体Xは圧倒的に強く、迎撃に出動したSAFの戦闘機マリンゴンもあっという間にやられてしまいます。
被弾して戦闘不能になったマリンゴン。このままでは墜落、乗っている隊長、水島隊員、岬大介は全員死亡してしまいます。
脱出装置は故障していてひとつだけしか使えません。

「よし!ひとり脱出しろ!」

あいまいに命じる隊長。でも水島も岬も辞退します。このままでは全滅です。地球を守る者がいなくなっていしまいます。地球が地球が大ピンチです。
脱出を譲り合っているうちについにマリンゴンは墜落してしまいました。
絶体絶命!山に激突!
と思いきや、いい具合にこう、たまたまあった平らなところに偶然うまいく滑り込む感じでズズズズみたいに着陸できて3人とも無事でした。
ただ岬大介だけ、怪我はないようでしたが意識が戻りません。意識のない岬の脈を取った水島が言いました。

「大丈夫です」

その機内に、東京が攻撃されて火の海だとの通信が入ります。そうこうしているうちにSAF本部も飛行物体Xの攻撃を受け壊滅状態。格納されていた潜水艦シーマリン号、地底探検車モグリアンも次々と破壊されていきます。留守番のマリちゃん隊員も瓦礫の中で気を失ってしまいました。脈を取ってくれる人もいません。
地球は地球は大丈夫なのか!?

(ここでコマーシャル)

 


いつの間にか怪獣ダークマンダーも現れ、人類大ピンチ。地球人の武器は全く役に立ちません。
様子を見るためにマリンゴンの外に出る隊長と水島。
岬は機内で目を覚まし、マリンゴンを発進させます。墜落したのにあっさり飛び立つマリンゴン。でもそれはとても危険なことだったのです。飛び立つマリンゴンに気づいて水島が言います。

「非常に危険です。火災が起きる怖れがある。それに、ミサイルの発射スイッチを押すと、40発のミサイルが同時に爆発するようにセットしてあるんです」

なぜそんなセットをしたのかわからないが、あまりに危険だということはよくわかった。
必死に岬を止める隊長と水島。しかし岬は聞き入れず、飛行物体Xに向かって飛んで行きます。Xの攻撃を受け炎上するマリンゴン。コントロールを失い、山に激突して大爆発。本日二度目の墜落でございます。
岬も死んだのか!?
その時、爆炎の中から飛び立つ真っ赤な巨人。爆発の炎なんかへっちゃらです。ファイヤーですから。
怪獣に襲いかかり殴る蹴る、持ち上げて頭から落とす、顔面に膝蹴り、尻尾をつかんで振り回す、ファイヤーマンのえげつない攻撃が続きます。
最後は必殺技ファイヤーダッシュ!怪獣は大爆発しますが、ファイヤーマンもガックリ膝を着きます。ファイヤーダッシュはほとんどのエネルギーを使い切ってしまう大技なのです。
野原に倒れこむ岬大介。
そこへ飛来する物体X。
別の野原に集結するSAF隊員たち。別に行動していた千葉隊員はマリンゴンの残骸から、焼け焦げた岬のヘルメットを見つけ、岬の死を予感します。岬はそれかぶってなかったけど。

河原を走り岬を探す隊長たち。物体Xと戦うすべのないSAFにはそのくらいしかやれることが無いのです。

一方その頃、岬は再びファイヤーマンに変身、物体Xと最後の決戦に臨みます。変身はしたものの、エネルギーが残っていないファイヤーマンにできることはただひとつ。ファイヤージャンプで飛び上がり、特に名前が付いていないらしい光線を黙ってビヨヨヨンと発射して物体Xの動きを止め、そのまま宇宙へ押し出して行ったのです。
地上でそれを見送るSAF隊員たち。ファイヤーマンの行動に特に感想は無いのか、無言です。
そこへ合流した千葉隊員から岬の焦げたヘルメットを見せられた隊長は言います。

「岬は無事だよ。無事でいてくれ岬」

悲しみのあまり誰に何を言っているのかもわかりません。

その間も飛び続けるファイヤーマン。眼下に青い地球が見えます。一瞬だけ振り返るファイヤーマンでしたが、そのまま飛び続け、そして大閃光。
子門真人が歌う挿入歌をバックに、それまでの岬大介の思い出のシーンが映し出されます。にっこり笑う遺影のようなモノクロの岬大介。通信機を手に何か喋っている岬大介。泣き叫ぶ岬大介。誰かの手紙を読む岬大介。変な歌だなこれ。海に沈む夕日を見つめてたそがれる岬大介。それと、何だこれ、えーと、真ん中に岬大介の顔があって、そのまわりを四つ同じ顔がぐるぐる回るエファクトの岬大介。そして最後に、燃えさかる炎の中に立つ岬大介が映っておしまい。
遺影から始まって思い出を語り、火葬で締め。岬大介のお葬式がラストに流れたわけですね。

というわけでファイヤーマン最終回こんなでした。
昔の特撮テレビにツッコミを入れるのは野暮だと思って、このシリーズもできるだけ番組を観ていた子供の頃の目線で書こうと心がけていましたが、今回は冒頭の車から少年が後から後から降りてくるシーンがあまりに面白かったので、それに引っ張られてツッコミ度が高い回になってしまいました。
墜落したマリンゴンがあっさり飛び立ったり、ミサイル40発が同時に爆発するようにセットされているとか、びっくり展開多すぎです。見せ場のためなら理屈も捨てるど根性。
また、出ている役者さんが大人向けの演技をしている感じで、余計変なところが目立ってしまうのかもしれません。
あとまぁ、放送当時小学3年生から4年生だった私にもあまり面白くなかったというのもツッコミ入れちゃった理由の一つかもしれません。思い入れが薄いので。
お絵かき好きだった私は、円谷ヒーローでいうとウルトラマン、ウルトラセブン、ミラーマンくらいまでは上手く描けるように練習しましたが、ファイヤーマンは描いた記憶がありません。上手く描けてもうれしくないものは描きませんから。
ではまた次回。次回こそは力いっぱい思い入れをブチ込める特撮最終回にしたいです!

→[特撮最終回総目次]


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