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「え?」 |
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「くぼやん、久しぶり」 「え?」 |
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22 |
「おまえ、…ま、」 |
「…みたま?」 |
「三珠…なんでここにいるんだよ。こんな…朝から」 「くぼやんもね。行かなきゃ、俺、あそこへ。あれ、くぼやんだったんだ」 「え?何?三珠なに言ってんだ」 |
「なんか、私もわかるようなわかんないようなかな。あ、私もう三珠まりんじゃないから」 |
「え?何年だ?」 |
「くぼやん、」 「ん?」 「まりんの家って、…やっぱでかいよね」 「うん…でかい」 |
「くぼやん、ああいうのなんていうか知ってる?」 「え?ああいうのって?」 「ああいう、仕打ち」 「仕打ち?」 「ああいうの “もんぜんばらい” っていうんだよ」 「ちょっと違うんじゃない?」 |
「そうか…。逆ドタキャンかなぁ」 「なにそれ。でもインフルエンザじゃしょうがないよ」 「でも、… まりんのお母さんって、きれいだな、と思ってたけど近くで見るとやっぱおばさんだよね」 「おばさんだもんな」 「…、ねぇ、くぼやん」 「ん?」 |
「これ、もらった時にさぁ…」 「うん…」 「…、まりんの声、聴こえたよね」 「……」 「気がつかなかった?」 「…いや、…。…聴こえた」 |
「なんか、叫んでたっていうか…。なんて聞こえた?」 「うん、…こないで、って」 |
「…だよね。…こないで…」 |
おばさん、聞こえないふりしてたよね、あれ」 「…うん」 |
「腹へったなぁ。俺、お母さんにお昼いらないって言ってきちゃったんだよなぁ」 「俺も」 |
「これ、お菓子かなんかかなぁ」 「…どうかなぁ」 |
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「…、ねぇ、どうしたの?どうしてここ開かないの?」 |
「ねぇ、まりん?」 |
ボドリ… |
「まりん?まりん?」 |
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「私あの後、…入院して。くぼやんにもらった色鉛筆でたくさん絵を描いたんだよ」 「病院で?絵を?」 「なんか…そういう病院」 「そうか…」 |
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「え?まじ?」 |
「うん。お父さんが、引っ越したいみたいなんだ」 「転勤かなんか?」 「じゃなくて。この町が。なんていうか、おかしい、って」 「あ、ああ」 「うちもそんな話ししてた」 「あと幽霊とか見たって人も多いんだって」 「ホント?」 「うん、それとかUMAも出るって」 「ユーマ?」 「夕方とか変な生き物が、あ!」 |
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 「地震だ…最近また多いよね。 こういうの全部余震なんだってね」 「ふぅん」 |
「御子よ |
「たれめいずるか このむじんの世界をすべるおうたるものに たれめいずるにあたうか けがれしものよ」 |
「御子よ! ここはお前の世ではない!」 「やがて因果滅し ひとのよに 災厄の 雨がふる(ふたたび) みこは すべて ゆるされる みこは いんがをこえる」 |
つづく |
キシワタリ天涯地 22 2018.05.05 |
Horizon zone KISHIWATARI 22 2018.05.05
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