はい。2016年芥川賞受賞作ですね。
どーだ。
前回の『むらさきのスカートの女』に続いての芥川賞受賞作読破。連続読破。
「読んで破る」と書いて「読破」。どーだ。破ったったぞ芥川。
『むらさきのスカートの女』が2019年の受賞作なのでこの『コンビニ人間』の方が先ですね。
逆順で読んでしまいましたがこの2作、なんだか印象が似ていると思いました。
どちらも「普通」から外れた女性の生態を丁寧に言語化しています。
ただし『むらさきのスカートの女』の登場人物たちは「普通」から外れていることを意に介していませんが(終盤でやや変化あり)、『コンビニ人間』の古倉さんは「普通」を偽装しようとします。そうしないと周りがうるさくて鬱陶しいので。
本人は周囲の価値観が全く理解できません。就職、結婚、出産みたいなものに価値を感じません。
ただただコンビニ店員という生物、または店の部品であることで心の平穏を保っています。
でも周囲は「その歳で就職も結婚もしていない」古倉さんを「あっち側」の人間として扱います。「こっち側」じゃない、理解し難い「あっち側」の人間として見下して説教します。
家族が心配するのはわかるんです。
愛情とかじゃなくていつか自分の荷物になるんじゃないかって心配するのは当然だと思います(「見捨てられない」という愛情はあるわけですが)。
でも他人は説教じみたこと言うなよ、と読んでいて思いました。
「普通」じゃない人間には上からものを言ってもいい、優越感を味わいたい、「普通」じゃないダメな人を導く「善い人」になれる。そんなところでしょうか。
読んでいて嫌な思いでしたが、でもきっと自分も似たようなことを誰かに言ってそうだなーとちらっと思いました。
男は女性作家の小説を読んで自分の中に無かった「構図」みたいなものを知るべきだと思います。
もっともっと本を読まなければ。
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