全ての人はある日“虫”になる。映画『カフカ「変身」』を観たら

カフカといえば『変身』。
有名な上、本が薄いので感想文の宿題で選びがち。
人間が虫に変身するってなんか面白そうだし。改造されたのかな?とか。
でもいざ感想文を書こうとするとかなり手強いやつ。
大人になって家庭を持つ前は、家族に厄介者がいるとか、自分が厄介者扱いされてるとかしないと実感できないのではないでしょうか。

という手強いやつの映画版がAmazonプライムビデオにあったので鑑賞しました。

カフカ「変身」(字幕版)

2020年の映画です。つい最近ですね。
原作を読んだのはずいぶん前なので、定かではありませんが、ほぼ原作に沿っているのではないでしょうか。
原作を読み上げるようなナレーションで進行していきます。

変身したグレゴール・ザムザの姿がどんなか興味津々だったのですが、なかなかアレでした(ちなみに、映画のサムネイル画像のようなデカいハエみたいなのは出てきません)。
極端に虫が苦手な方は観ない方がいいかもしれません。
かといって不快に見せるだけの演出は無く、物語上必要な程度、例えば母親がその姿を見て失神するとか、面倒を見る妹が顔を背けるとかが納得いくくらいに不快な姿や描写になってます。

デカい目玉が付いてますが、そこだけ人間的なんですよね。まばたきとかするし。余計気持ち悪いけど。
観終わってから気づいたのですが、子供向けのアニメに出てくる虫のデザインを色を地味にして実写版にしたような感じがちょっぴりありました。

人間たちの演技もちょっとクセがあるというか、妙なユーモアを感じる場面がありましたが、それらも子供向けアニメの演出に見えました。

ザムザ家の唯一の稼ぎ手グレゴールが虫に変身して職を失っても家族は彼を受け入れ面倒を見ようとします。
家計を支えるため仕事を始めたり、部屋を貸したりと収入の道を探ります。
ところがいろいろな出来事もあり、だんだんグレゴールが邪魔になってきます。というか、邪魔だということを隠さなくなります。家族の気持ちはわかる。でもグレゴールかわいそう。

いろいろな読み方ができると思われる『変身』ですが、私のように老いてくると、その意味なんか考えたくないですね。怖くて。
「虫になんかなりたくねーなー」
くらいで思考停止することにします。

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