597 人生はブロックメモである

日々ヘラヘラ生きているように見せかけている私だが、そんな私の人生にも時々嫌な出来事が起きる。
たいていは「バカ」が原因だ。
ブルーハーツの歌ではないが、人生には常に一定量のバカヤロウがついてまわる。
前の会社を辞めて、もうあのバカこのバカと顔を合わせなくていいんだとせいせいしていたのもつかの間、新しい会社にも、種類はちょっと違うが同じくらいのバカ量が存在していて苦労させられた。させられている。今も。
せっせと人の落ち度を数えるバカ。せっせと自分の不幸を数えるバカ。不機嫌を振りまいて自分を通そうとするバカ。説教したいだけのジジィのバカ。スマホを見ながら突進してくるバカ。満員電車でもパズルゲームをやめられないバカ。バカバカバカ。

最近、歳のせいだろうか、考えてもしょうがないことをふと思い出しては怒りに後頭部をチリチリさせることが多くなった。今それを考えてもしょうがないだろ、ってことや、ずっと昔に起こった腹の立つ出来事をわざわざ思い出してはチリチリしている。バカに言われた言葉や、バカが俺に罪をなすりつけたことを思い出してはチリチリチリチリしてる。

よくない。
それはよくない。
なにより健康に良くない。
バカのために健康を害するとしたらそれもバカだ。

ということで。
考えてもしょうがないことでわざわざ腹を立てない方法を編み出したね、俺は。こういうとこすごいね、俺は。

バカのために健康を害さない方法。
まず、思考は天ノリのメモ帳だと考える。ダーッと分厚い、10センチ角のブロックメモ。
嫌なことを考えそうになったらその瞬間、メモを一枚、ペリッとめくってヒラリと捨てる。
まだ嫌なことが心に残っていたらもう一枚、ペリッとめくってヒラリと捨てる。
天ノリのメモを切るときに伝わる感触を思い出しながら一枚めくり、そしてヒラリと捨てる。

丸めたり破ったりしてはいけない。ボールペンの先で突き刺したり火をつけて燃やしたりしてはいけない。
あくまで軽く、めくり切るか切らないかのその瞬間、指の力を抜いてヒラリと捨てる。
そのくらい軽いものなのだ。あのバカヤロウもそのバカヤロウの言動も。
考えてもしょうがない「それ」が消えるまでメモをめくり続ける。
ひらりひらりと捨てたメモは足元で山になるかもしれない。歩きながらだったら、あとにメモの道ができるかもしれない。
でもいいんだよ。収集しなくていいゴミだから、捨てっぱなしで。ほっとけば風でどっかに運ばれちゃうよ。
メモもいくらめくってもなくならないから大丈夫。死ぬまでめくれるメモだから。人生は死ぬまで続くブロックメモ。健康のため、めくりまくれどこまでもメモ。

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