秩序の無い不安と恍惚。『BATTLESTAR GALACTICA』視聴完了!

Blu-rayセットを購入した時は全エピソードに感想をつけるようなこと言ってましたが、そんなことはできるはずもなく(参照→『BATTLESTAR GALACTICA』序章「ジェノサイド」前後編を観たよ)。

でも淡々と見続けて、このたび全4シーズン視聴完了しました。「序章」の感想をアップしたのが2015年の11月なので、まる2年かかりました。長い。でもアメリカでのテレビ放送は2005年1月から2009年3月ということなので4年間。その半分で観たんだからそれでいいじゃないかということにしてください。


エピソードごとに感想をつけられなかったのは、第一に私の怠慢ですが、設定やストーリーに謎が多くて、それぞれのエピソードでそれなりに事件が解決しても、でもやっぱりほんの一部分しか見せられてないよね、って感覚になってしまうからです。で、次の回でその視野が広がるかというとそんなことはなくて、また違う一部分を見せられる。忘れた頃に前のエピソードのその後みたいな話が始まる。その繰り返し。
全体としては、911テロ後のドラマだなぁ、という印象を強く受けました。
過去の大戦争後にそれなりに保たれていた秩序が破られ、大惨劇、何が起こっているのかわからないまま逃げ続けるしかなくなる。
誰が敵か味方かわからない状態は、序盤ではサスペンスだが、シーズンが進むにしたがって何か重いものを問いかけてくる。敵とは何か?味方とは何か?「敵はサイロン」と言っていられるうちはまだ迷いなく、生き延びるために行動していればよかったけど、それがどんどん曖昧になっていく。
同じように宇宙の果てから地球を目指す宇宙船が舞台の『スタートレック:ヴォイジャー』とはえらい違い。『ヴォイジャー』では、未知の敵や怪現象に遭遇しても最後は元の秩序が回復される(基本1話完結だから当たり前なんだけど)。ギャラクティカでは何かが失われることはあっても元通りに戻ることなどなく、憂鬱に飛び続ける。

そもそもギャラクティカが目指しているはずの「地球」もどこにあるのか、存在するのかも曖昧なまま船団はジャンプを繰り返す。もうなんだろ、「世界が進むべき方向なんか誰にもわからないけどいやでも進んでいかなきゃいけない人類(現実のね)」を見せられているようで、重い気分になることもある。
でも戦闘シーンはかっこいいし、泣かせるエピソードもちょいちょいあるので、重い方にドスンと落ちきったりはしません。
シーズンをまたがる謎が多く、はっきり明かされないまま終わる謎もありますが、私はそこはあまり気になりませんでした。
クライマックスに、目的のはっきりした、困難な燃える作戦の大戦闘シーンがあり、その後にちゃんとオチがあったからだと思います。ぐちゃぐちゃだった世界がきっちりすっきりエンディングを迎えます。最後の最後でこちらに問いかけてくるものもありました。
未見の方は是非。
観ていて暗くなるようでしたら合間に『スタートレック:ヴォイジャー』を鑑賞することをおすすめします。いい具合に中和されて、明日からまた生きていこう!って気になれますよ。

 

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