梅雨の晴れ間の休日。
せっかくの天気なのでカメラを持って自転車に乗って公園へ。帽子も忘れないで。
風がそよそよふいている。
田んぼの稲が濃い緑で伸びている。
知らず知らず口笛が。
これは甲斐バンドの『レイニードライブ』。
雨で車で失恋の歌。
なぜかたった今の状況と真反対の歌。
コンビニで発泡酒とサンドイッチを買って公園の高台の屋根付きベンチへ。
知らないおじいさんが真っ赤な顔で座ってる。
反対側に座って昼食。
ほんとに静か。
遠くからなにかの部活の声が聞こえてくる。
ほんとにのどか。
虫がしぎしぎ鳴いている。
ほんとに、泣きたいくらいのどか。
孫ができたら「のどか」という単語の説明に使いたいくらいのどか。
食べ終え飲み終え、さぁ、写真でも二、三発取ろうかと立ちあがりふと見るとおじいさんはぐったりポーズで目を閉じている。
まさか。
まさかまさか。
ここでシャッターを切るべきか。
鑑識気分が味わえるのか?やっぱりここはモノクロか?
とドキドキしていたら。
ぶふっ
おじいさんが、あれはなんだろ?咳なんだか不規則な呼吸なんだか、とにかく生存の兆候をしめしたのでシャッターは切らずにそこを去った。
あっちの方の紫陽花がもう見ごろだろうとあっちの方へ。
ベンチに座ったおじさんがそこそこ大きな声でかぐや姫の『神田川』を歌ってる。なにも怖くない。怖くないから。
紫陽花はつまらないくらい見ごろで、ほかにもちらほら撮影する人が。
自分が紫陽花の植え込みに入って、紫陽花越しに道に立つ人を撮っている人もいる。なるほど。あれなら紫陽花バックに立たせて撮るのとちょっと違ったかんじになる。なるほど。
私はひとりなので、自分が紫陽花の中に入って同じように紫陽花越しに撮影しても寂しいだけなのでやめておいた。
公園をぐるっとまわって帰ってくると『神田川』は『贈る言葉』になっていた。悲しみこらえて生きていくよ。
あんまりいい写真は撮れなかったな。でもまぁいいやとペダルをこぐ。帰りも自然に口笛が。
これは。
なんだ?スーパーロボット大戦のなんかのテーマ曲だ。なんかガンダムだ。
まぁいいや。
まぁいいやまぁいいやで生きていくのね。
そのうちいい写真も撮れるだろうさ。