人面グモは手堅く怖い。映画『ヒルコ/妖怪ハンター』を観たら

随分前に一度だけ観ました。VHSのレンタルビデオだったような気がしますが、定かではありません。
細かいことは忘れてしまいましたが、なんか微妙な気持ちで観ていたような記憶があります。
否定したくない。でもなんだかなぁ、みたいな心の揺れ。
1991年公開の映画なので、私が観たのはそのもっと後ということになりますね。

Netflixで配信されていたので鑑賞してみました(下記リンクは2021年に発売されたBlu-rayのAmazon販売ページです)。

ヒルコ/妖怪ハンター

初見で微妙な感想だったのは、諸星大次郎の原作漫画に出てくる稗田礼二郎と、この映画の稗田礼二郎(沢田研二)のあまりのキャラクターの違いっぷりに戸惑ったのが大きな理由だったと思います。

漫画のキャラクターデザインをそのまま実写化すると大事故になったりするので、あの長髪真ん中分けに黒スーツを再現しなかったのはまぁいいとして、性格も全く別人になってました。
アパートでゴキブリを見つけて悲鳴あげてキンチョール噴射してました。

今回は観ながら「ああそうそうこういうやつ沢田礼二郎」と思い出しましたが、映画版キャラとして割り切れば納得できる範囲だなと思いました。
ゴキブリ怖いとキンチョールも後のシーンに関わる要素になってます。

そんな稗田の元にかつての恩師、八部(やべ)高史(竹中直人)から、「これまでの定説を覆す古墳が発見された」という手紙が届きます。

過去の稗田は考古学者として異端ながらすごかったけど、八部の妹でもある妻の死もあって、今は一線を引いて地味に生きていることがわかってきます。

八部の誘いで、稗田は八部の住んでいる(亡き妻の実家のある)村へやって来ます。
村に着くと八部は行方不明で、行きがかりで八部の息子まさお(中学生)と古墳の謎を探ることになります。

沢田稗田は、過去は切れ物だったっぽいので、漫画の稗田礼二郎のイメージなのかな?とも思いましたが、後に出てくる回想シーン(っていうか幻覚だけど)では奥さんとほんわか幸せそうにしていたので、昔からのんびりした人だったのかも知れません。
奥さんの葬式でちょいロン毛の喪服姿の場面でもちょこっと挟めば原作ファンがニヤリとしたかも知れませんが、そういうのもありませんでした。

あちこち懐かしい感じで、アクションも特撮も古墳のセットも、テレビのヒーロー番組を観ているような、妙な既視感がありました。
あと、そんなに出さなくてもいいだろ、ってくらい血がドバドバ出てましたが、流行りだったのでしょうか。

原作漫画のヒルコのデザインは「この世のものじゃない感」が強烈でしたが、映画版はただの人面グモでした。まぁ手堅く気持ち悪くはありましたが。

ちょっと「あれ?」という箇所も多々ありましたが、クライマックスはちゃんと盛り上がってハラハラ観てしまいました。
原作版稗田礼二郎以外許せん、という人でなければそこそこ楽しめるのではないかと思います。
安徳様(のようなの)がみんなで “ ぱらいそ” さ行く(ような)シーンもあります。
「何だこりゃ?」でしたが。

事件が終わり、稗田は村を去りますが、何でしょう、沢田稗田の人柄もあって、金田一耕助映画のラストを思い出しました。
こういう感じの、怖すぎないホラーとしてシリーズ化してくれたらいいのになぁ。

ちなみに怖いヒロイン月島令子を演じた上野めぐみは、『うたう!大龍宮城』第38話にフジツボ役で出演していたそうです。番組は観ていましたが、フジツボの顔までは覚えてません。最終回が「リュウグウノツカイ」だったのはよく覚えてます。

というわけで『ヒルコ/妖怪ハンター』、Amazonプライムのレンタルでも観られますのでリンク貼っておきます。

ヒルコ/妖怪ハンター

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