映画『異端の鳥』“Nabarvené ptáče / The Painted Bird ”を観たら

以前雑誌の紹介記事を読んで気になっていた『異端の鳥』がAmazonプライム対象になったので鑑賞しました。

Amazon primeビデオ →『異端の鳥』(字幕版)

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紹介文を読むと、ホロコーストを逃れてひとりで叔母の元へ疎開した少年のお話だとありますが、そういう説明一切なく映画は進行します。はじめのうちは時代も国も判然としません。
ただわかるのは10歳くらいであろう主人公の少年が次々に酷い目に遭うということです。
この少年、冒頭からよく殴られます。さらに殴られるどころじゃない酷いめにも遭います。
最初は叔母の元、次は女祈祷師の元、と、やむをえずだったり無理矢理だったりで身を寄せていきます。たいてい酷い目に遭いますが、少年はなんとか生き抜いてまた次の誰かのところにたどり着きます。

しばらく「誰も笑わない映画だなぁ」と思って観ていましたが、最初に笑顔が映ったのは、鳥を飼っている老人が鳥の羽にペンキを塗りつけて群れに返す場面でした。
ペンキを塗られた鳥は群れに受け入れてもらえず、それどころか寄ってたかって突き殺されてしまいます。
老人はそれを見てニヤリニヤリと笑うのです。
英語タイトルの「The Painted Bird」はここからきています。
ペインティングされて群れに受け入れられなくなった鳥は、どこにも居場所が無い少年そのものです。

少年はどんな目に遭っても感心するくらい逞しく生き抜いていきますが、映画が後半に向かうにつれて生きるためにやることも広がっていきます。そしてそれは全て大人たちがやることの反映だったり教えられたことだったりします。
ただそれも「大人が悪い」みたいなあからさまな描き方ではなく、淡々粛々と行われます。「大人も大人で生きにくいとこ生きてる」という感じもありました。「こいつだけは許せねぇ」って奴もいましたが。

説明的な部分がほとんど無く、「見てわからないものはわからない」作りになっているので原作小説を読みたいところですが、レビューを読むと映画よりもっと悲惨なことが起こっているみたいでちょっと腰が引けちゃいます。

イェジー コシンスキ『ペインティッド・バード 』

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