「〇〇と言えば△△」みたいなあの人登場。浅田次郎『中原の虹』を読んだら

お楽しみ「蒼穹の昴シリーズ」第3弾『中原の虹』を読了しました。
私は電子書籍で読みましたが、文庫本で4冊分の物量。長い。けど面白いので全然気にならない。通勤時間があっという間。娯楽小説はこうでなくちゃと。

中原の虹 全4冊合本版 (講談社文庫) Kindle版

滅亡に向けてまっしぐらの清朝。
西太后、袁世凱その他らがそれぞれの思惑でいろんなことしてる当シリーズ、清朝は意外としぶといようにも感じもしましたが、あちこちでいろんな事が起こって(ずっとそうだけど)いよいよダメみたい。
そんな中、今回は新たな登場人物が。
張作霖。
知ってるその人。
歴史には疎い私でも知ってる爆殺された人。
張作霖爆殺。
でも知ってるのはこれだけで、爆殺された以外どんな立場で何をした人か全く知らない。
それだけインパクト強いワード、「爆殺」。
「張作霖爆殺」という言葉もいいリズムで覚えやすい。
タンタタタンタンタッ
これで心に刻まれています。

『中原の虹』では、その(私にとっては)謎の人物の張作霖(チャンヅオリン)が最重要キャラクターになっていて、「爆殺」だけでない張作霖情報を色々知ることができました。

張作霖、馬賊の大親分でした。
登場から大物感を纏っていましたが、どんどん大物になっていきます。でもどんな地位についても馬賊独特の、そして自分の価値観や矜持みたいのはぶれません。
「何百万人殺しても百年後に十億の民が腹いっぱいに食えればそれでいい」というのが彼の行動基準です。なのでどんどん人を殺します。とにかく人を殺します。
本人も、そして統率力抜群の子分たちも戦闘力抜群で、清朝や革命政府の思惑など歯牙にもかけず大暴れです。

おかげでアクション場面が多くて痛快なのですが、あまりに強いので、「こりゃ爆殺でもしないと排除できないよなぁ」と思えてきます。

そんな、凡人の理解を超越した張作霖の行動を中心に、お馴染みの登場人物たちの運命も描かれます。名のある人たちもどんどん死にますシリーズ第3作。
時々清朝成立の時代の話も出てきます。
太祖ヌルハチとか。
ヌルハチって『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で名前が出てきますが、スピルバーグがでっち上げた名前だと思ってました。この場を借りてお詫び申し上げます。スピルバーグと、太祖ヌルハチに。

あともう一人、「闇の王子」みたいのが出てきます。
とても重要な事をしますが、まだまだ何かしでかしそうです、この人怖いです。

というわけでシリーズ第4作はこれ。

マンチュリアン・リポート (講談社文庫) Kindle版

文庫本で1冊なのですぐ読めそうですが、他に読む本が山ほど溜まってますので、何か別の本を挟んでからこれにかかることにします。
何を読もうかな。

『蒼穹の昴』感想はこちら →歴史に弱くても大丈夫。浅田次郎『蒼穹の昴』を読んだら
シリーズ第2作『珍妃の井戸』感想はこちら →浅田次郎『珍妃の井戸』を読んだら

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