クトゥルー、もしくはクトゥルフ、はたまたク・リトル・リトルなどとも表記されますが、全部同じもの。
「人間には発音できない」ので、表記にぶれがあるのだそうです。
私は初めて知った「クトゥルー」が馴染めます。
クトゥルフはまだしも、ク・リトル・リトルはちょっと違和感あります。むしろ可愛い語感リトルリトル。ちっちゃいちっちゃい。サンリオのキャラクターみたいです。
今回読んだ新潮文庫版は「クトゥルー神話傑作選」となってました。
クトゥルー神話7本入りです。
収録作は、
「異次元の色彩」
「ダンウィッチの怪」
「クトゥルーの呼び声」
「ニャルラトホテプ」
「闇にささやくもの」
「暗闇の出没者 (ロバート・ブロックに捧ぐ)」
「インスマスの影」
生まれた時から怪異な容貌だった者の正体だったり、洪水の後、謎の生物の死体が川を流れてきたり、文通相手から謎の怪物や邪教の信者の存在に身の危険を感じているという手紙を受け取って心配していたらある時から「あれは私の思い違いでみんないいやつだったよ。君も会いにこいよ」という手紙が届き、行ってみるともうとんでもないことになってたりとか、そんな話が満載です。
ホラー映画でもありがちですが、「なんでそこに行っちゃうかなぁ」とか「そこで引き返すだろ普通」みたいな展開が多いです。
まぁそうしてたらなにも起こらないわけですが。みんな好奇心に負けちゃうんですね。身の安全より好奇心。
「インスマスの影」だけは事前に身の危険を察知した主人公が逃げ出します。逃亡のサスペンスがかなりの部分を占めていました。ネチネチしつこくて飽きるくらい。
逃亡に至るまでも、かなりネチネチと進みます。主人公は怖い話をたくさん聞かされて、精神的に追い込まれていきますが、ネチネチしてるので途中でちょっと飽きちゃいました。
ところが、隠されていた真実がわかると、そこまでのネチネチがみんなでドバッと襲いかかってくるような恐怖感がありました。
学生時代に創元推理文庫の「ラブクラフト全集1」という文庫本を読みましたが、多分1冊だけしか読んでいません。創元版のレビューを見ると「読みにくい」とか「挫折した」という言葉が目につくので、まぁ私もそうだったのでしょう。正直当時はあまり面白いと感じませんでした。
今回の新潮文庫版ではもう1冊、『狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選』を先に読んでいて、こちらでやっとクトゥルー神話の壮大さや、細かい描写の手触りを感じられたように思います。30年越しにやっと面白さがわかったということでしょうか。
Amazonプライムビデオに「インスマスの影」を原作とした映画がありました。
私は未見ですが、紹介を読むとかなり原作と違うようです。機会がったら観てみようと思います(そんなにそそられてない)。