オトーは月刊スターログと #16: 1985年2月号(前編)

オトーは月刊スターログと

会社では頭のおかしい役員にからまれて悔し涙を飲み込むおっさんも、思い出があれば生きていける。そんなあなたの思い出雑誌「月刊スターログ日本版」を泣きながら懐かしむコーナー第16弾。

月刊スターログ日本版NO.76:1985年2月号 特別定価750円(前編)

今回は特別定価750円になっていることからもわかるように盛りだくさんサービス号。というわけでこのコーナーも初の前後編に分けておおくりします。いやほんと。切るには惜しいネタ満載号でしたぜ。

表紙

目次(読みにくいデザイン!)

巻頭ピンナップは無し。そのかわり綴じこみ付録「メトロポリス・ポスターブック」が付いてます。これは豪華!
表紙によると「幻のアッカーマン監修盤復刻なる!」となってます。以前の号の付録の復刻のような気もしますがよく覚えてません。
この付録、広げるとスターログ本誌の8倍の大きさ。ほぼA1判に近いくらいでしょうか。
片面はあの塔を中心にしたメトロポリスの街の様子が全面に印刷され、その裏は左半分に映画の様々なシーンの写真と場面解説、右半分はアッカーマンのコレクション自慢も兼ねた資料(フリッツ・ラングからアッカーマンに当てられた直筆のメッセージも見られる)。

そのころ『メトロポリス』はジョルジオ・モロダー版で賛否両論だった

『メトロポリス』“METOROPOLIS” は1926年のドイツ映画で、もともと3時間の長さだったそうですが、初公開後に短縮版が作られたり、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどでそれぞれのバージョンが作られたりするうちにフィルムが紛失してしまったそうです。
私の手元には、NHK-BS2で2001年1月に放送されたものの録画がありますが、放送時間で1時間58分、冒頭で「フィルムの4分の1以上が紛失していて、このバージョンは現存する部分を編集して、原版に近づけたもの」と説明が入ってます。オリジナルより1時間以上短いということですね。
モノクロサイレント映画である『メトロポリス』ですが、表紙のロボットマリアは金色ですね。これはこの号が発売されたころにジョルジオ・モロダーという人が、着色・音楽入りバージョンを作っていたのでそれを使ったんだと思います。
マリアはスターウォーズのC3-POのデザインの元になったといわれてますが、色はどうなんでしょう?モノクロ版ではメタリックだということしかわかりません。まぁ昔のメタリックといえば金か銀だろうから確率は半々でしょうか。
このマリアは、マッドサイエンティストのロートヴァング(右手が機械!)が、死んでしまった愛する人をよみがえらそうと作ったものでしたが、最後の仕上げに人間そっくりにするときに、労働者たちの指導者であり、マドンナ的存在であったマリアからその姿を写し取ったんですね。だもんでロボットマリア。
機械的なロボットマリアの横に人間マリアを寝かせて変な機械で光線をビロビロ〜ンってやってるとロボットマリアは人間そっくりに。ロートヴァング、頭はおかしいけど腕は確か。
このシーン、ロボットマリアの体を通すように光の輪っかが何本も上下に抜けていくんだけど、立体的で見事な合成。ドイツ映画人腕は確か。
そしてロボットマリアの機械の体の登場はここまで。姿は有名だけど登場シーンは短い。前回紹介のメタルーナ・ミュータントに通じるものがあります。
人間の姿を得たロボットマリアはエロいドレスでエロいダンスを踊って男たちを虜にし、男たちの間に不和を広げる(マリアを奪い合って決闘とかしちゃうのね)。この辺りの描写がとてもわかりやすい。踊るマリアを見て興奮してる男たちの演技とか。なんかもうはぁはぁしてる。

マリアのダンスで欲望全開になる男たち

どう見てもはぁはぁしてる。目つき怖いし。

本誌内の記事は、モロダー版の着色写真を使っての映画の紹介になっている(両面カラーの中綴じピンナップもそれ)。
ちなみにオリジナルを製作した映画会社ウーファ社は当時ヨーロッパ最大の映画会社でしたが、『メトロポリス』に製作費をつぎ込んだ割に配給収益が上がらず、倒産してしまったそうです。あらまぁ。

私が持っている録画版が作られた以降もフィルムの捜索、復元は行われていたようで、ソフトを検索すると、収録時間が2時間半くらいのものもありますね。

 

メトロポリス / Metropolis
コンプリート ブルーレイ モノクロサイレント映画
(フリッツ・ラング監督) [Blu-ray] [Import]

 

ちなみにジョルジオ・モロダー版は83分。『メトロポリス』を素材にした長めのプロモーションビデオみたいな印象でしたが、着色してあるので一見の価値ありかもです。モロダーによると、着色は、屋内シーンはセピア、機械はブルー、地底都市はグレー、登場人物の空想や幻覚は赤系、精神的なモチーフはゴールド、という基準で行ったそうです。ロボットマリアは精神的なモチーフとして捉えてるってことかな?

 

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そのころゴジラ(’84)は61、2点だった

復活ゴジラ公開後ということで、池田憲章の評論が載っている。「特撮怪獣映画の明日のために「ゴジラ」考」というのがそのタイトル。
この記事はよく覚えていて、1984年版『ゴジラ』を観た後のなんとなくモヤモヤした、「面白かった」と言えない自分、でも「全然ダメじゃん」と切るに切れない自分の心にぴったりくる記事でした。こういう、モヤモヤしたものに形を与えるのも評論の価値なんだなぁと思いました。
最初に「100点満点でいえば61〜62点といったところか」と採点して、そのプラスマイナスを解説する構成。
ゴジラの話の前に『宇宙からのメッセージ』や『さよならジュピター』など酷評の多い映画に関して、良いところを解説してアピールできなかった自分への反省が語っています。
以下、

“東宝特撮陣の伝統は生きているしチャレンジ精神も旺盛であるのに映画全体としてなぜ空転したのか”
“東京の街という街を紅蓮の炎で包んでしまう圧倒的なゴジラの吐く放射能火炎とパワーが要だ”

という見出しで進みますが、こういう絵が見たかった、こういうセリフがあればと、ちょっとしたところでもっと面白くできたのに、という悔しさが感じられます。
やっぱりゴジラがねぇ。ゴジラにもっと暴れて街をぶっ壊してほしかったというのが怪獣ファン共通の感想ではないでしょうか。
最近の映画と比べるのはフェアではありませんが、私は『シン・ゴジラ』を観ていて「東京はどうなっちゃうんだろうか?」と結構本気で心配になりました。そういう緊迫感は薄かったように思います。政治家の皆さん立派で落ち着きはらっていろいろ対処してるので、任せときゃ大丈夫かな、みたいな気持ちになっちゃいます。


ゴジラ’84

というわけでNo.76前編はここまで。後編は『2010年宇宙の旅』、デビッド・リンチ監督の『デューン砂の惑星』などを中心にフンワカ語る予定です。それまでごきげんよう!さようなら!

オトーは月刊スターログと[総目次]

 

kiridasioto

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