昔はホントによかったのかしら?よかったんだよ娘さん。ほらこんなにね。
というわけで、昔はよかったを確かめるため毎週論考を重ねるコーナー(そうだっけ?)「オトーは月刊スターログと」も今回で18回目。昔はよかったのもほどがある。
今回昔はよかったのはこの号です。
月刊スターログ日本版NO.40:1982年2月号 特別定価680円
あれ?また2月号だ。前回は1985年の2月号、今回はその3年前の2月号です。32年前の3年前はこんなでした。
巻頭ピンナップ、表のカラーはヨーダがサンタクロースの格好で雪の中に立っているイラスト。その下には “A Happy New Year from The Lucas Famiry” なんて書いてあります。2月号でヨーダサンタが Happy New Year 。日本のせせこましい年末年始と違っておおらかというか余裕がある感じでうらやましいです。
ピンナップ裏のモノクロは『未知との遭遇』のマザーシップっぽいイラストの「間違い探し」。
ゴチャゴチャしたイラストが並んでいて、「8カ所間違いがあります」ということなので探してみましたが、1カ所しか見つけられませんでした。間違い探しってホント時間の無駄。
そのころ怪獣王ゴジラは死んでいなかった
ゴジラ映画を中心に、東宝特撮映画の特集が16ページもあります。
前半8ページは、1954年の第1作から1975年の『メカゴジラの逆襲』までを1作ずつ紹介していますが、なぜか3作目である『キングコング対ゴジラ』がありません。海外との著作権的な何かの関係かもしれませんが、後半で『キングコングの逆襲』は紹介されていて、キングコングとメカニコングの写真は載っているので、私の想像を超えた理由なのかもしれません。
ゴジラ映画に関しては、1964年の『モスラ対ゴジラ』までには好意的ですが、同じ年公開の『三大怪獣 地球最大の決戦』、翌年の『怪獣大戦争』あたりからやや批判的になり始め、『南海の大決闘』から『メカゴジラの逆襲』までは見開き2ページにまとめられて、見出しは「ゴジラが人類の味方になった時、怪獣王としてのヒーローが死んだ」。
あれ?『オール怪獣大進撃』(1969年)も無いぞ。触れたくもないのかな?わかる気もする。まさかの夢オチだもんなぁ。
『メカゴジラの逆襲』でいったんゴジラ映画の製作が中断になりますので、この特集は、ゴジラがいなくなって7年後、次のゴジラが日本を襲う2年前、というタイミングだったんですね。
『メカゴジラの逆襲』から1984年のゴジラ復活までの間の東宝特撮映画というと『東京湾炎上』(1975年)、『HOUSE』(1977年)、『惑星大戦争』(1977年)、『さよならジュピター』(1984年)などがあります。
ゴジラが留守の間に、日本では角川映画がダーっと出てきて(『犬神家の一族』が1976年)、と思ったら『スターウォーズ』が大ヒットしたりと、状況はどんどん変わっていきました。
特集には石上三登志と手塚真の対談も載っていて、そのリードは、
日本SF映画のヒーロー “ゴジラ ”は不滅だ。必ずや復活し、その勇姿と恐怖を現わす。日本映画かアメリカ映画かはわからないが…
このリードどおり、というかそれ以上に日本映画でもアメリカ映画でもゴジラは復活しましたね。しまくりましたね。
ちょっとおかしかったのが手塚真の紹介。
「熱狂的なファンを持つフィルムメイカー、というよりもTV “ もんもんドラエティ ” のお茶の子博士としての方が有名になってきた」
あはは「お茶の子博士」。「もんもんドラエティ」。あははは。
そのころ年末年始はテレビにクギ付け!だった
2月号は前年の暮れに発売になる関係で、年末年始放送のそのスジテレビ番組が紹介されている。
12月27日 新・悪魔の棲む家 フジTV
12月28日 ゴジラ対メガロ フジTV
龍の子太郎(アニメ) フジTV
12月29日 怪獣大戦争 フジTV
犬神の悪霊(たたり) テレビ朝日
12月30日 金田一耕助の冒険 テレビ朝日
海底軍艦 フジTV
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち NTV
12月31日 宇宙からのメッセージ フジTV
1月1日 恐竜時代 TBS
1月2日 手塚治虫の夢対談 TBS ゲストは小松左京、西丸震哉、五島勉他
天国と地獄の美女(江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』)テレビ朝日 脚本:ジェームス三木 主演:天知茂
1月3日 柳生一族の陰謀 テレビ朝日
1月4日 松本零士のSF漫画誌講座 全5巻(8日までの5夜連続)NHK教育
地球(テラ)へ テレビ朝日
なんか素敵な年末年始を送れそうなこの並び。中でもフジTVには拍手を送りたいと思います。大晦日に『宇宙からのメッセージ』。いいなぁ。今では映画はお手軽に鑑賞できるものが多いけど、こういう番組表を見て放送を楽しみに待つのもそれはそれでよかったなぁと思うわけです。
そのころレイ・ハリーハウゼンが来日していた
モデル・アニメの神様レイ・ハリーハウゼンが映画『タイタンの戦い』の公開直前に来日していて、その時のインタビューが載っていました。
新作映画の話や、日大芸術学部で特別講義をした話、人形の構造の話やらの合間に、『キングコング』のウィリス・オブライエンと『猿人ジョー・ヤング』で一緒に仕事をしたなんてことをさらっと語ってる。なんかもう伝説の人なんだけど、このインタビューの時点で61歳。今の私と6、7歳しか違わない。って35年前の61歳だけどさ。
この『レイ・ハリーハウゼン大全 』、絶対日本語版なんか出ないだろうなと思って英語版で買っちゃったんですが、そのあとすぐに日本語版が出ました。もうくやしくて、無影やり英語で読んでやろうと思ったのですが、ちっとも進みません。ほとんど意味がわかりません、チクショー!
(ハリーハウゼンタイゼンという響きが面白いから翻訳版の企画が通ったに違いないんだ。ハウゼンタイゼン)
というわけで「オトーと月刊スターログと」第18回はここまで。#19までごきげんよう!さようなら!