そして特撮最終回#15『ウルトラマンタロウ』

最近では「ウルトラマンタイガの父」としてちびっ子に認知されているウルトラマンタロウですが、現役で地球を守っていた1973年当時はウルトラ兄弟の末っ子として元気いっぱいでよく失敗もしていました。
天狗になってウルトラの兄さんたちにたしなめられたこともありました。

今回はそんなタロウの地球での現役最後の闘いをご紹介します。なんか意外な展開でびっくりしました。

『ウルトラマンタロウ』最終回(第53話)さらばタロウよ!ウルトラの母よ!

海岸の岩場に立ち夕日(だか朝日だか)を見つめている東光太郎。

そこへ母の声。

「光太郎さん」

「お母さん」

光太郎が母に駆け寄るとそこは不思議な別空間。バックに星がまたたいています。

「もうすぐあなたの人生を変えてしまうような大きな事件が起こりますよ」

母はそう言いながら光太郎の恩人、白鳥船長の乗るタンカーが怪獣に襲われ沈没してしまうシーンを光太郎に見せます。

焦る光太郎。

ベッドでうなされてます。

どうやら夢のようです。

夢の中で母は、白鳥船長を救うことはたとえウルトラマンタロウでも不可能だが、「あなたにはしなければならないことがあります。命をかけてでもしなければならないことがあります。それは、あなたが自分で見つけなければなりません」と告げます。

「光太郎さん、光太郎さん」

ベッドでうなされる光太郎を、父の船長棒を被った健一くんが揺り起こします。

その帽子を見た寝起きの光太郎は、思わず「船長、無事だったんですか!?」と喜び叫んでしまう。

健一は一緒にいた親友の中西一郎くんを光太郎に紹介する。一郎くんも船長の帽子を被っている。一郎くんのお父さんもタンカーの船長で、父親どうしも親友どうしなのだ。

今日は二人でもうすぐ帰ってくる父たちのために船長帽を被ってお祝いをしていたのでした。本人たちが帰って来る前にお祝いしちゃうなんてさすが現代っ子です。

光太郎は夢のこともあって悪い予感がします。

ほどなく、ZAT基地には伊豆沖でタンカーが怪獣に襲われたとの一報が入ります

襲われたのは「第三日本丸」。一郎くんのお父さんの船です。

爆発炎上する第三日本丸。

ZAT全員出動!

現場に急行するスカイホエールとコンドル1号。この怪獣が白鳥船長のタンカーを襲うのではないかと心配する光太郎。

しかし生存者も怪獣も発見することはできなかった。

帰宅した光太郎を待っていたのは、父を失い傷つき、その悲しみを役に立たなかったZATと、何もしてくれなかったウルトラマンタロウせいだと罵る一郎くんであった。

なぐさめる健一くんの声も届かず、ウルトラマンタロウのソフビ人形を床に叩きつけ、その上、健一くんのお父さんの写真立ても床に叩きつけて壊してしまう。

「君のお父さんはまだ生きてるじゃないか!」

夜を徹して怪獣捜索を続けるZATの前に海から怪獣反応。

そしてそこに一隻のタンカーが。

あれは健一くんのお父さん、白鳥船長のタンカー!

あっという間に爆発炎上するタンカー。

光太郎はタロウに変身しようとするが、機内に北島がいるため変身できない。

海上に姿を現した怪獣サメクジラにミサイル攻撃をかけるが、海中に逃げられてしまう。

タンカーの船員は全員死亡。

2度の怪獣襲撃を防げなかったZAT基地の空気は重く沈んでいた。

謝罪する副隊長に、

「謝ることはない。手抜かりはなかったんだ。この次は必ず成功させるんだ」

と励ます朝日奈隊長。

引き続きの怪獣捜索を隊員に命じた後、光太郎を呼び止める。

白鳥船長の死亡を知り辛い光太郎を励ますとともに、白鳥家へ帰って健一くんを支えてやれと告げる。

今は白鳥船長の死を健一くんに伝えたくないという光太郎に、

「しかし、いずれはわかる時がくるぞ。その時のお前の態度が、健一くんにとってかけがえのないものになる。ZATのことはわれわれにまかせろ。お前はそのことだけに専念すればいいんだ」

大人になった今ならわかる朝日奈隊長のこの度量。

光太郎が帰宅すると走って出てきた健一(船長棒着用)が、

「なぁんだ、光太郎さんかぁ。お父さんかと思っちゃったよ」

親友が父親を失ってもやっぱり自分の父の帰りを楽しみに待つ無邪気な健一にかける言葉も無い光太郎。

その時、父の死を知らせる会社からの電話が。

泣き崩れる白鳥姉。

光太郎に詰め寄る健一。

「光太郎さん、知ってたんだね?」

そこへ怪獣サメクジラ出現。

窓から怪獣を目撃する光太郎と白鳥姉弟。

「健一くん。あの怪獣だ。あいつが君のお父さんをやったんだ!」(殺ったんだ?)

*ここでコマーシャル*

街を破壊する怪獣サメクジラ。逃げ惑う人々。

そんな人々と逆方向に走り抜け、変身する光太郎。

ウルトラマンタロウ怒りの闘いが始まった。

気のせいかいつもより闘い方が荒っぽいように見える。

怪獣の角を手でもぎ取ってそこらに投げたりしてる。

ビビって逃げようとする怪獣。

そこへ突然現れる謎の宇宙人。

誰だかわかんないけどタロウに襲いかかる。

怪獣と2対1ではタロウが危ない!と思いきや、怪獣は頭が悪いのか連携攻撃のようなことはできず、ZATが到着したこともあって怪獣はタロウがストリウム光線で爆殺、謎の宇宙人は光とともに姿を消した。

街の中にひとりで立つタロウの背中がなんかカッコいい。

しかし。

「ちきしょう!えい!ちきしょう!」

健一は波止場でウルトラマン人形を叩きつけて壊していた。

セブンが、父が、新マンが、コンクリートに叩きつけられバラバラになってゆく。

「やめたまえ健一くん!」

駆け寄る光太郎。

「光太郎さんに、僕の気持ちがわかるものか!」

ウルトラマンタロウが来てくれなかったから一郎くんのお父さんも僕のお父さんも死んでしまったのだと光太郎に訴える健一くん。

そんな健一を、お父さんやタロウがいなかったらどうやって生きていくんだと叱咤する光太郎。

「それは…」

答えられない健一くんに光太郎は自分がウルトラマンタロウなのだと告白する。

そして、

「君がお父さんやタロウのことを忘れて、自分の力だけで生きていこうとするのはたいへんなことだ。だが。そんな苦労を君にだけはさせない。僕も一人の人間として生きてみせる」

ウルトラ兄弟に見守られて誕生したあの日を思い出すタロウ光太郎。

しかしウルトラのバッジ返納の決意は堅い。

バッジを海に投げ捨てると空中に現れた母(人間体)の胸にバッジが留まる。

「光太郎さん、とうとうあなたも見つけましたね。ウルトラのバッジの替わりに、あなたは生きる歓びを知ったのよ。さよなら。タロウ」

姿を消す母」

「ヤーっ!!」

柵を飛び越えて現れる宇宙人(バルキー星人)。

タロウがバッジを捨てるところを見ていてこれはチャンスと現れたのだ。

「見たぞタロウ」

「タロウではない。東光太郎だ」

ZATガンでおでこを撃たれ巨大化するバルキー星人。

「健一くん、よぉく見ておくんだ。人間には知恵と勇気があることを」

駆け出す光太郎と健一。追う巨大バルキー。

光太郎は健一を逃し、バルキー星人と対峙する。

バルキーおでこ光線が連弾で光太郎を襲う。

ZATガンで応戦しながら、工場の燃料タンク地帯にバルキー星人をおびき寄せる光太郎。

そうとは知らず追い続けるバルキー星人。燃料タンクを蹴とばして爆発させたりしている。工場地帯は火の海だ。

なおも光太郎を追うバルキー星人。足元の石油のタンクを蹴飛ばすと、今度は爆発せずに、石油が吹き出してバルキー星人を真っ黒に染め上げた。

真っ黒いバルキー星人にZATガンを発射する光太郎。

燃え上がり、炎とともに倒れるバルキー星人。

なぜか一度起き上がったがまたすぐに倒れ、爆発炎上。

大爆発を繰り返し壊滅的な被害の工場地帯とともに息絶えた。

体に火がついた光太郎が、駆け、転がる。

駆け寄る健一。

「健一くん、見ろ。人間の力で星人をやっつけたぞ」

爆発炎上し続ける工場地帯を見ながら満足げな健一と光太郎。

原っぱを駆け、寝っ転がる満足げな光太郎と健一。

そこへウルトラの母の声が聴こえてくる。

「光太郎さん。ウルトラのバッジに頼らなくてもやれましたね」

場面は変わり私服でZAT隊員達とお別れする光太郎。

勉強のためにZATを、離れ、旅立つのだ。

手を振るZAT隊員達を残し、歩いて去って行く光太郎。

都会の歩行者天国を歩く光太郎。

幸せそうな人々の姿に、光太郎も幸せそうである。

タロー!ウルトラマンナンバーシックス!!

[終]

というわけでこんなでしたウルトラマンタロウ最終回。

隊長や光太郎の公私混同もはなはだしい言動に「?」な部分は多々ありますが。

1973年といえばオイルショックがあった頃ですね。

タンカーが襲われたり、工場地帯の石油タンクで星人をやっつけたり、なにやら意味がありそうな気もしますね。

石油が無くても知恵と勇気でなんとかしろよ、みたいな。

違うかな?

まあいいや。

ちなみにバルキー星人はタロウの後番組「ウルトラマンレオ」のNGスーツだそうです。

かっこわりーっすよね。

もひとつちなみに、タロウとセブンは従兄弟で、セブンの息子がウルトラマンゼロで、タロウの息子がウルトラマンタイガなのでタイガとゼロは「再従兄弟はとこ」ということになります。

以上、ウルトラ豆知識でした。

これを書くためにAmazonプライム・ビデオで『ウルトラマンタロウ』を何本か視聴していたのですが、主題歌を聴いていた娘(高2)が言いました。

「この歌ちょっとはしょってない?」

ウルトラの父がいて、母がいて、その後すぐタロウがいるのは唐突ではないかと、しかるべき過程を経て子の誕生に至るべきだと、そう言いたいようです。

天下の阿久悠先生の歌詞になんて言いがかりだと思いつつも、ウルトラの父と母はひょっとしたらいわゆる「できちゃった結婚」だったのかもと考えたりもしました。

さすが阿久悠先生です。子供番組の主題歌に深いテーマをぶっ込んでいました(そうなのか?)
そんなところで特撮最終回第15回『ウルトラマンタロウ』はこれでおしまいだよ。またねっ!

blinktasu
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